白昼夢の視聴覚室

犬も食わない

元凶。

小林賢太郎が引退である。

あくまでも出演者として引退するだけで、裏方としての活動は今後も続けていくそうだ。なるほど、それならば……と、容易に受け入れるのは難しい。何故ならば、私が愛した小林賢太郎のコント世界において、パフォーマーとしての小林賢太郎の存在は決して欠かせないものだったからだ。今後、それを見ることは出来なくなってしまうのかと思うと、ただただ寂しくて仕方がない。ラーメンズの復活、カジャラの最新公演、それらに対する期待が泡となって消えてしまったことも哀しいが、なにより、小林賢太郎という稀有なパフォーマーが舞台に立つことを止めてしまったことが、とにかく寂しい。あの控え目な態度で目立ちたがりな男を舞台で見ることは出来ないのか……。

今の私がいるのは、間違いなく小林賢太郎の存在があったからだ。学生時代、ラーメンズにドはまりして、単独公演のDVDをかき集めようとしなければ、芸人DVD収集を趣味にすることはなかっただろう。芸人DVD収集を趣味にしなければ、それらのレビューを書くブログも始めなかっただろう。ブログを始めなければ、ゴシップ誌やフリーペーパー、電子雑誌でコラムを手掛けることもなかっただろう。故に、小林賢太郎は、今の私を作り上げた元凶である。その元凶が居なくなってしまうというのは、なにやら故郷が無くなってしまうような感覚である。

とはいえ、演劇公演においても、裏方に回っていた筈なのに、いつの間にか表舞台で主演みたいなことをやっていたような男である。引退だのと言っておきながら、しれっと戻ってくる可能性も否めない。なんかこう、三谷幸喜みたいな出方をしそうな気もしている。なので、まあ、さして期待しない程度に、ただほのかに期待したりなんかしながら、今後も生活していこうと思う。

???「お前、本当は出たがりだろ!」