令和時代のお笑い公論

心が腐る、その前に。

三度目の『うるう』日。(2020年1月18日・19日)

ゼロ年代を代表するコントグループ、ラーメンズ。その芸術的とも称された数々のコントの台本を手掛けてきた小林賢太郎が、二〇一一年から上演し続けている舞台がある。タイトルは『うるう』。作・演出・出演を小林が一人で担当している意欲作だ。『うるう』は過去に二度ほど上演されている。一度目は二〇一一年から二〇一二年にかけて、全国七都市で行われた。二度目は二〇一五年から二〇一六年にかけて、全国九都市で行われた。……そう。『うるう』はその名の通り、常にうるう年に行われているのである。そして二〇二〇年、三度目のうるう年とともに、三度目の『うるう』が開催されることになった。

……と、このような情報を知識としては認識していたワタシだったのだが、実際の公演を観に行ったことは一度もなかった。何故ならば、いずれソフト化されるだろうと踏んでいたからだ。過去、小林賢太郎が作・演出を担当している舞台公演は、ラーメンズの本公演・演劇公演・ソロ公演“ポツネン”を問わず、その多くがDVDないしBlu-rayとして映像化されてきた。そして、いずれは『うるう』も、同じ道を辿ることになるだろうと思い込んでいたのである。ところが、一度目の『うるう』が終わっても、二度目の『うるう』が終わっても、そういった話はまったく耳にしなかった。やがてワタシは頭の中で一つの推論へと考え至る。「あれ? これソフト化されねーんじゃねーか?」。こうなると能天気に待ち構えている場合ではない。いつまでもあると思うな親と推し、という言葉もある。ワタシはすぐさま三度目の『うるう』公演のチケットを入手したのであった。地元から近い会場には広島と大阪があったが、大阪は日頃から遊びに行くことも多かったので、今回は広島公演のチケットを購入した。

そして迎えた公演当日の朝。ワタシは父に車で最寄り駅まで送ってもらい、ホームで特急列車を待っていた。普段から当ブログを読んでいただいている方ならば不思議に思うかもしれない。ワタシはいつもなら高速バスを利用しているからだ。その方が安いし、乗り換えの不便もない。だが、この日は些か、事情が違った。母が同行していたのである。実は母もきってのラーメンズ(ないし小林賢太郎)好きで、以前から公演を観に行きたいと話していたのである。故に、母の心身に過度の負担がかからないよう、今回は高速バスではなく新幹線を、カプセルホテルではなくビジネスホテルを利用することになってしまった。予算が……。

午前九時、最寄り駅を特急列車しおかぜで出発。岡山駅で新幹線に乗り換え、広島駅へとひた走る。二時間後の午前十一時ごろ、広島駅に到着。着替えなどを入れたキャリーバッグをコインロッカーに預けて、まずは腹ごしらえだ。広島駅ビル・アッセ内にある『お好み焼き ねぎ庵 アッセ店』にて、大量の大葉を乗せた「大葉スペシャル」を食べる。お好み焼きの濃いい味付けの後に、ふわっと大葉の香りが残って、とても美味しかった。底に敷かれた焼きそばもパリパリで食感が楽しい。

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食後、少し駅周辺をぶらついてから、路面電車に乗り込み原爆ドーム前へ。まだ時間に余裕があったので、平和記念公園を抜けて、今回の会場であるJMSアステールプラザを目指そうという算段だ。ワタシは広島の大学を卒業しているのだが、在学中に平和記念公園を訪れることはなかったので、目に飛び込んでくる景色がどれも新鮮で美しく映った。それでも高校生ぐらいの頃に、学校の行事で一度訪れている筈なのだが……やはり、こういう場所には、それなりに年を取ってから訪れた方が良さが理解できるようだ。午後一時ごろ、JMSアステールプラザに到着。しかし、何故か入り口には、「夏川りみコンサート」と書かれた看板が。さては日程を勘違いしていたのか。慌てて確認してみたところ、どうやら施設内には二つのホールが存在し、大ホールでは夏川りみコンサートが、中ホールでは『うるう』が行われるようだった。ほっと胸をなでおろす。

施設の中に入ると、中ホールの入り口で早くもチケットがもぎられていたので、すぐさま我々も突入する。すると、そこには物販コーナーへと連なる長い行列が。どうやら物販コーナーのあるロビーだけが開放されているらしい。無論、我々も並ぶ。コーナーの手前にサンプルが置いてあったので手に取ってマジマジと眺めていると、列に並んでいないカップルが反対側からサンプルだけを物色し始めたので、久しぶりに殺意が芽生える。図々しいにもほどがある。Tシャツ、木製しおり、カジャラ公演のDVD・Blu-rayなどが売られている中、『うるう』公演をモチーフとした絵本とノートを購入する。絵本は一般の書店でも取り扱っているけれど、いい機会なので買ってしまった。

うるうのもり

うるうのもり

 

午後一時半、客席が解放されたので中へ。一目見て、その狭さに驚く。客席に入った途端、かなり近いところにステージがあるように見えるのである。我々の座席は最後尾だったが、それでもまったく距離を感じなかった。ただ、椅子の質があまり良くなくて、ちょっと座り心地が悪いように感じられた。公演が終わるまで、ワタシの尻は無事でいられるだろうか……。

午後二時開演。午後四時終演。

話の舞台は日本の何処かの森の中。他人と関わりを持たずに一人で生きているヨイチと、彼と偶然出会った少年の物語である。恐らく、四年後も、八年後も、この舞台は上演され続けるだろうから、ここで細かいことを書いてしまうとネタバレになってしまうので触れないが、社会に上手く馴染めない人、孤独を感じながら生きている人ならば、少なからぬ何かを感じてしまう舞台だった。恐らく、最初の公演が行われた当時よりも、今の方が突き刺さるものがある人が多いのではないだろうか。それほどに今、社会は孤独に苛まれている。

終演後、再び路面電車に乗り込み、広島駅へと舞い戻る。コインロッカーに預けた荷物を回収し、今宵の宿である東横イン広島駅前大橋南へ。チェックインを済ませ、部屋に荷物を置いて、再び外へ。広島駅から歩いて数分のところにあるフルフォーカスビルの六階にある「駅前ひろば」へ向かい、事前にチェックしていたお好み焼き屋『お玉のキャベツ 駅前ひろば店』へ。生中と牡蠣を投入したお好み焼き「ザ・みやじま」を注文し、飲み食いする。牡蠣が美味い。とにかく美味い。牡蠣の苦味がキュッと締まっていて、それが酒とよく合う。

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食後、もう一軒ハシゴしてみようという話になり、同じ階層にある『電光石火』へ。オススメの「夢(海鮮系)」を注文し、食べる。しかし、そこそこに呑んでいたこともあってか、味の方はあまり分からず。また、お店の看板メニューである「電光石火」を頼まなかったのも、良くなかったように思う。その真価は次回で感じ取りたい。

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すっかり満腹になった我々は、それから再びホテルへと戻る。ここで母と別れ、ワタシは再び広島の街中へ。久しぶりにやってきた広島の街を散策するとともに、母と一緒だとなかなか行けなさそうな店を巡ろうという考えである。路面電車に乗って、原爆ドーム手前の紙屋町で降りる。それから『メロンブックス』『フタバ図書』『ブックオフ』などを歩いて回るが、これといった収穫はなし。何か面白いものがあればと思っていたのだが……今回は運の巡り合わせが良くないらしい。これといった収穫のないまま、広島駅へととんぼ返り。途中、セブンイレブンで酒とツマミを買い込み、午後九時を過ぎた頃にホテルへ戻る。霜降り明星が一日に一度のペースで配信している動画チャンネル『しもふりチューブ』を見ながら飲み食い。最近、DVDよりも、YouTubeの動画配信をチェックする回数が増えてきた。とりわけ『しもふりチューブ』はユルめの内容と動画時間、そしてなによりポップな編集が絶妙で、ついつい見てしまう。真面目にネタ動画を配信するよりも、こういう遊び要素の強い映像の方が今の時代には合っているのかもしれない。適当に風呂に入って、午前一時ごろ就寝。

翌日、午前八時ごろ起床。諸々の用意を済ませて午前九時ごろチェックアウト。広島駅まで移動し、駅ビルの中にある喫茶店UCCカフェプラザ 広島アッセ店』にてモーニングを注文。レタスと目玉焼きを挟んだサンドウィッチを食べようとするも、黄身をこぼしてしまう。黄身の名は。

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午前十時、広島駅前にある蔦屋家電へ。ワタシが大学に通っていた頃、ここには怪しげな雑居ビルが建っていた。当時はこのイカガワシサこそ美しいと感じていたので、それが失われて、整然とした施設になってしまったことは、実際に暮らしている人たちには良いのだろうが、些か寂しいものもある。事実、我々は蔦屋家電を随分と楽しんだ。よくよく見ると、あくまでも大衆向けに用意された見せかけのオシャレ空間なのだが、田舎者にとってはそれでも有難みを感じてしまう。午前十一時半、『あじよしアッセ駅ビル店』にて昼食。カキフライ丼を食べる。ややボリュームに物足りなさを感じたが、なかなか美味しかった。次回は蕎麦も合わせて食べようと思う。

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食後、一階のお土産物売り場へ移動、家族や会社の同僚へ買って帰るためのお土産品を探し回る。ここはやはり、もみじ饅頭がよろしいようで。ついでに夕飯用の駅弁も買う。午後十二時半、広島駅を出発。岡山駅で乗り換えて、午後二時半ごろ地元の最寄り駅に到着。午後三時、帰宅。

こちらからは以上。お疲れさまでした。