白昼夢の視聴覚室

犬も食わない

徳島県に行ってきただけの話。

なんにも用事はないけれど、「徳島県へ行こう」と思い立つ。

先週末、妻がサッカー観戦のために二泊三日の旅行へ出掛ける予定だったので、せっかくの一人で過ごす休日を有効活用したいと考えて、そういうことになった。用事も目的もないので、高速道路は使わずに国道を利用することにした。Googleマップでの計測によれば、片道で二時間半ほどかかるらしい。日帰り旅行であることを思うと、なかなかの移動時間に思えるが、一人なので気にしない。何時に到着しようが、何時に帰宅しようが、何も気にすることはない。自分のペースで出かけられる快感を味わおう。

午前10時、自宅を出発。西讃地区から徳島県へ向かうルートには、国道32号線から香川県県道13号線を経由して国道11号線へと接続する香川県ルートと、国道319号線から徳島県県道12号線を辿る徳島県ルートの2パターンがある。今回は後者のルートを利用することにした。国道32号線も国道11号線も普段から利用しているので面白みに欠けるだろうという判断である。緑に包み込まれているかのような素朴な田舎道を走り抜けていると、国道32号線に繋がる。ここから道は一気に南下。2020年に開通したバイパス道路・猪ノ鼻道路で新猪ノ鼻トンネルを抜けていく。新猪ノ鼻トンネルは全長4,000メートルを超え、イノシシというよりはゾウの鼻を思わせる長さだ。時折、Googleマップのナビゲーションの電波が途切れるところに、山の奥深さを感じずにはいられない。

猪ノ鼻道路の先に待ち構えているのは徳島県高知県を流れる一級水系吉野川だ。日本三大暴れ川のひとつとして数えられ、“四国三郎”という異名でも知られている。幸い、この日の天候はそこまで悪くはなかったので、川の流れも穏やかだ。この吉野川を四国中央橋で渡って、それから川を沿うように通る国道192号線へ入り、東に向かっていく。道沿いには、見慣れたスーパーマーケットやドラッグストア、家電量販店などが立ち並ぶ。山林に囲まれた道ということもあって、とてつもない田舎を想像していたのだが、ライフラインはしっかりと整っているようだ。東みよし町、つるぎ町美馬市へと抜けていく。途中、素麺の製造工場をやたらと目にする地区を通過する。美馬郡つるぎ町の名物・半田そうめんである。そうめんと名前が付けられているが、その麺はかなり太くて食べ応えがある。個人的にもかなり好きな質感の麺である。

そのまま更に東へ向かっていると、有名チェーン店が多く立ち並んでいる賑やかな地域に入る。吉野川市である。徳島県内では、徳島市阿南市、鳴門市に次いで四番目に人口が多い自治体とされている。まったくの余談だが、某有名新興宗教の教祖が生まれた町としても知られており、部外者でも入ることの出来る生誕館なる施設があるらしい。興味本位で訪問するには、やや敷居が高い。

やがて国道192号線は国道318号線に接続、石井町を通過したところで、やっとこ徳島市へと入るころには午後1時を回っていた。ここから、市内を散策したり、鳴門市にある道の駅“くるくるなると”を訪問したり(お土産に購入した“いくら醤油”が想像以上にいくら感強めで驚いた)、MEGAドン・キホーテに突撃したりしたのだが、その辺りの詳細は省く。なんだかんだで午後6時。流石にこれから国道を使って帰るのは面倒だったので、徳島自動車道を利用してサクッと帰宅したのであった。およそ1時間半ぐらいで帰ることが出来た。やはり高速道路は便利である。次に来たときには、ちゃんと徳島ラーメンを食べよう。

徳島市内で見かけたアレの看板。