白昼夢の視聴覚室

この世は仮の宿

田舎者の通うスーパーを老朽化で閉ざさないで

香川県の県庁所在地・高松市の中央インターチェンジから高松自動車道に入り、西に向かって車を20分ほど走らせていると、善通寺インターチェンジで降りることになる。真言宗の開祖・空海の生誕地であり、四国八十八か所第七十五番・善通寺があることでも知られている土地である。インターチェンジを降りて、すぐさま突き当たる国道319号線を北に進んでいくと、左手方向に大きなスーパーマーケットが見えてくる。【スーパーセンターPLANT 善通寺店】だ。PLANTは福井県坂井市に本社を置いている大型スーパーセンターである。ホームセンターにスーパーマーケットが併設されており、生鮮品・お惣菜から日用品・医薬品・衣料品まで幅広く取り扱っている。現在は全国14県に店舗展開が行われており、そのうちの一つがこの善通寺店である。2014年に閉店した天満屋ハピータウン(1996年開店)の店舗を、そのまま引き継ぐ形で同年に開店した。店の特徴は、なんといっても売り場面積の広さにある。その敷地面積は驚異の34,176平方メートル(東京ドームのグラウンド)、店舗面積だけでも10,872平方メートルとなっている。平屋の店舗としては広すぎる……と、思う(他店舗の面積に詳しくないのでテキトーなことを言っている)。店舗が広いということは、それだけ幅広い品物を取り扱うことが出来るということだ。PLANTは一般のスーパーマーケットではあまり取り扱っていないような商品を販売していることが多く、非常に助かる存在であった。PLANTのように巨大なスーパーマーケットは、しばしば田舎の象徴として自虐的嘲笑を食らわされることがあるが、巨大であるからこそ成し得る選択肢の広さこそが、都会に対抗し得る一つの手立てであるように私は思う。笑っている場合ではない。敬意をもって崇め奉るべし。ところが、このスーパーセンターPLANT 善通寺店が、なんと2024年6月16日をもって閉店するという。店舗・設備の老朽化が理由であるといわれている。改装やリニューアルといった表現がなされていないことを考慮すると、本当に閉店してしまうのだろう。当然のことながら、PLANTで買い求められる商品の多くは、ネット通販などの手段で購入が可能である。だが、そういう問題ではない。そういう問題ではないのだ。探して買い求めるのではなく、「そこに行けば、何かがあるかもしれない」という場所の喪失こそが問題なのである。それに、PLANTが閉店してしまうということは、ここでのみ購入することが出来た総菜はもう二度と手に入らなくなってしまうということでもある。あのバカみたいにデカいおにぎりがもう食べられなくなるのかと思うと、無念である。残念である。残り二カ月、限られた時間の中で、出来るだけ店舗を愛でようと思う。重ねて言う。無念である。残念である。