白昼夢の視聴覚室

この世は仮の宿

さよならはとつぜんに

三豊鳥坂インターチェンジから高松自動車道を降りると、四国の大動脈として知られる国道11号線に突き当たる。これを西の方角へと突き進んでいけば、高松市を発祥とするスーパーマーケット『マルナカ』が見えてくるので、この十字路を左折する。ここに隣接するホームセンターの『西村ジョイ』、NTTドコモの携帯ショップ『ドコモショップ』を過ぎたところに、かつて愛媛県松山市に本社を置くドラッグストア『レディ薬局』のチェーン店舗があった。一応、過去の話ではあるため、ここでは「かつて」というように表現しているが、つい先月までは元気に営業していた店舗である。それこそ、私も先月、同店を訪れて駄菓子や飲み物を購入している。それが突如として、何の予告もないままに閉店してしまったのである。通常、スーパーマーケットやドラッグストアのような一般向けの販売店が閉店する場合、その旨が一ヶ月前から告知されるものであると考えられる。その際には、これまで店を利用してくれていた客への感謝の意や、市内にある同チェーン店への案内など、何かしらかのメッセージが添えられるものだろう。ところが、同店はそういったことを何も行わないままに、店を閉めてしまったのである。なにやら落ち着かない。もっとも、ただただ私が告知を見逃していただけのことなのかもしれないので、さして深く考える必要のない話である……と、そのように思っていたのだが。つい先日、車で偶然に同店があった場所の前を通ると、かつて存在した店舗が重機で解体され、完全に更地になろうとしているところに遭遇した。仕事が早い。あまりにも早い。もっとも、これもまた、さして深く考える必要のない出来事ではある。あるのだが……なにやら引っ掛かってしまった。そこそこに客も入っていただろうと思われる店を突如として閉店させ、更に建物まで解体する理由とは……? 考えたところで答えの出るものではないので、とりあえず記録として、ここに書き記した。特にオチはない。