白昼夢の視聴覚室

犬も食わない

『キングオブコント2024』視聴直後の感想。

キングオブコント2024』視聴。ロジカルに“面白いコント”が研究され、そこにセンス、更には人間臭さ・泥臭さも混ぜ込まれたキラ星の如き無敵のネタが次々に産み落とされる現代において、真っ直ぐに人間の「理屈の埒外にある感情の爆発」に着目したコントを見せつけたラブレターズ、まさしく別格だった。久しぶりに人間の血がはっきりと感じられるコントを観させてもらった気がする。もっとも通常のネタ番組であれば彼らのようなコントはむしろ異端として片付けられていた可能性の方が高い。事実、昨年大会の決勝で披露したコントにしても、サルゴリラの熱狂の渦にまんまと飲み込まれてしまった。それでも今年の結果が違ったのは、ファーストステージで披露したコントが評価されたことによって観客や審査員の信用を勝ち取ったからに他ならない。引きこもりの息子に悩まされている両親が、たったひとつのドングリで感情を爆発させてしまう、日常生活の延長線上にある狂喜乱舞の説得力。これが先にあったからこそ、ファイナルステージでのコントのアヴァンギャルドな設定もまた受け入れられたのだろう。それにしても、一番手のロングコートダディが高得点を叩き出したことで、「これは令和ロマンの再来か?」と思わせていたところに、十番手のラブレターズが二本連続でネタを披露して一気に逃げ切ってしまう「ウエストランドの再来」を彷彿とさせる展開を見せてくれるとは想像もしていなかった。改めてリアルタイムで見られなかったことが残念でならない。あと、個人的にちょっと印象に残っているのは、470点前後の点数が続いていたところに、明らかに一段下がった点数をつけられていたコットンの点数発表直後の二人のリアクション。あれもまた人間であった。