白昼夢の視聴覚室

この世は仮の宿

「じわじわチャップリン」(2016年6月25日)

  • マツモトクラブ43/50】

「やまなか」。2週勝ち抜き。ストリートミュージシャンが高校の同級生だと気付いた男が彼に話しかけようとするも、何故か歌を止めようとせずに、そのまま歌詞で返事される。一回目の挑戦で披露していた「コンビニ」と同様、夢を追いかけているクセの強いヤツが登場するコント。こういう設定なのに、夢を追いかける人間そのものをバカにしないところにマツモトクラブの優しさが伺える。設定的には『キングオブコント2015』で藤崎マーケットが披露していたコントを思い出した。あちらはパフォーマーの側が困惑していたが。過去二回の挑戦に比べて笑いどころは少なかったが、お笑い的に落とさないオチがとても素晴らしかった。その意味でも、とてもマツモトクラブらしいコントだったといえるのでは。三週勝ち抜きでチャンピオン大会出場決定!

 

「指名手配犯」。2週勝ち抜き。指名手配犯の追っかけをしている女性のコント。とにかく設定が上手い。「“芸能人”の追っかけ」を「“指名手配犯”の追っかけ」に置き換えているだけなのに、これほどまでに狂った内容になってしまうとは。改めて、一回目の挑戦で披露していたどうしようもないコントは何だったのかと問い詰めたくなる。無論、ただ置き換えているだけではなく、「プライベートと犯行時は分けるタイプだ!」「そこに銀行があったからだよ!」「姉ちゃんが勝手に通報したんだよ!」など、設定を上手く取り入れた言い回しも良かった(まだ少し狙っている感の残っていたけれど)。文句無し。三週勝ち抜きでチャンピオン大会出場決定!

 

【ふきだまりコーナー】
ヴィンテージ、オジンオズボーン、オテンキ、勝又:、サイクロンZ、サンシャイン池崎、しゃもじ、全力じじぃ、天竺鼠脳みそ夫ハリウッドザコシショウ、ゆにばーす、ハブサービスが登場。「応援ギャグ」というテーマの元、ゆにばーす、全力じじぃがギャグを披露した。

 

  • 平野ノラ35/50】

「○○君」。1週勝ち抜き。たくさんのボーイフレンドがいる平野が、それぞれの役割を「アッシー君」「メッシ―君」などのような呼び方で紹介する。ネタそのものはそれなりのクオリティ。無難で確実に笑える内容だ。「激落ち君」の再登場は想定の範囲内だったが、うっかり笑ってしまった。手堅い。実に手堅い。ただ、新鮮味には欠ける。その欠けている部分を、既にそこそこ根付いたバブリーキャラでフォローしていた感。一発屋にありがちなドツボにはまりそうな雰囲気が漂い始めているが、大丈夫なのだろうか。着眼点が面白いキャラクターなだけに、なんとか踏ん張ってもらいたいところではある。でも、ナベプロの芸人さんって、割とそういうところで躓いている人が少なくないイメージも……。ところで、番組中ではカットされていたが。「トムヤム君」はどういう人物だったのだろうか。

「クラス替え」。教師たちによるクラス替えの打ち合わせ風景。正直なところ、コントの設定としてはけっこうありがち。教師が生徒の個性や名前でゲームじみたやりとりを始めるという展開もセオリー通り。槇原・小向・田代を加えるブラックジョークに至っては、激動の芸能ニュースで始まった2016年に持ってくるにしてはチョイスが古すぎる。本来、ラブレターズというコンビは、もっと人間のトチ狂った部分を引っ張り上げて笑いに昇華する危うさを売りにしていたように記憶しているのだが、どうしてこんなに無難なネタを持ってきてしまったのか。ゲストの滝沢カレンに「ユーモアあふれるネタ」と評されていたが、あながち間違った評価ではなかったように思う。いやー、残念。

 

【今週のふきだまり芸人】

サンシャイン池崎「女性が好きなものをアルファベット順に」

脳みそ夫「昭和にありそうなCMする~す」

 

次回の出場者は、サンシャイン池崎、ハブサービス、ハリウッドザコシショウ、平野ノラ(2週勝ち抜き)。……なんという混沌。