白昼夢の視聴覚室

この世は仮の宿

「M-1グランプリ2021」準々決勝敗退組・オススメの十組。

どうも、すが家しのぶです。

今年も『M-1グランプリ』準々決勝敗退組の中から、面白かったコンビを選んで紹介する季節がやってまいりました。そろそろ年末の風物詩と呼ばれてもいいような気がします。自意識過剰でしょうか。ちなみに、過去大会での紹介文は、以下のようになっております。

今年はけっこう面白いコンビがいたので、十組ばかり紹介してみようかと思います。それでは配信期間もありますので、サクッと触れていきましょう。

GYAO!へのリンクはこちら。

 

・ドンデコルテ

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吉本興業所属。小橋共作と渡辺博基によって2019年に結成。小橋は元“デビルポメラニアン”、渡辺は元“マンキンタン”というコンビで活動していた。前回・前々回と熱量の高い漫才を見せていたドンデコルテだが、今大会でもそのアツさは健在。丁寧な言葉遣いだが感情を込めながら持論を展開する渡辺と、それに振り回されながらも的確にツッコミを挟み込む小橋のスタイルは着々と完成形に近づいている。熱狂の果てに見えるのは、きっと光り輝く決勝のステージ。「俺には聞こえるよ、情熱の歌が……バンドやろうぜ!」。


かもめんたる

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サンミュージックプロダクション所属。岩崎う大と槙尾ユウスケによって2007年に結成。二人とも“WAGE”というユニットのメンバーとして活動していた。『キングオブコント2013』王者。様々な人の考えを可視化するインターネットの世界において、お互いを真の意味で理解することは難しい。自らの主張を優先せずに、まずは相手の主張を理解しようと考える人があまりにも少なすぎるからだ。かもめんたるの漫才は、そんな自らの主張を最優先しながら、さもあらゆる人たちに対して理解を示しているかのように振る舞っている、狡猾で厭らしい人間の姿が映し出されている。そこに生まれる理不尽の笑い。漫才のフォーマットでなんてものを作り出してくれたんだ。「お前は役割としてはツッコミだけど、人間としてはボケだよ。並ぶな。下がれ」

 

・ぶるファー吉岡

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マセキ芸能社松竹芸能所属。ルシファー吉岡紺野ぶるまによって2021年に結成。普段はピン芸人として活動している二人によるユニットである。とにもかくにもルシファー吉岡である。ピンのコント師として培ってきた声と動きの表現が、笑いの効果としてあまりにも強力。ただ喋っているだけなのに笑わずにはいられない。なんだこの破壊力は。対して、紺野ぶるまの良さが反映されていないことが気掛かりだが、ことによると、おいでやすこがに続くのはこのコンビなのかもしれない。「ぶるまちゃんが考えた男性用のパンツはさ、パンティに対抗してさ、パンティズムって呼ぼうよ!」


・チェリー大作戦

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吉本興業所属。鎌田キテレツと宗安によって2016年に結成。漫才は基本的に一対一の掛け合いで展開する。例えば、「ファーストフード店」を舞台としたコントの場合、片方が店員を演じ、片方が客を演じる。関係性が複雑になってしまうと、観客が笑うときのノイズになりかねないからだ。チェリー大作戦はその盲点を突いた。ありきたりなシチュエーションにおいて、様々な人物を演じ、その度に様々なシチュエーションへと展開していく鎌田に対し、なんとか元のシチュエーションへと引き戻そうとする宗安の攻防戦は、あまりにもナンセンスでバカバカしい。漫才だからこそ出来る表現、でもコント師だからこそ生み出せた着想、お見事。「俺、俺に怒られてるやん」。


・イチオク

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吉本興業所属。タケヤとケンシロヲによって2017年に結成。かつては“サンパウロ”というトリオとして活動していたが、メンバーが脱退してコンビとなる。「道で肩をぶつけたおっさんが謝ろうとしないので、謝らせるために追い回す」というオーソドックスな設定が、一転、二転、三転する、とんでもない仕掛けが組み込まれた漫才。それなのに決して分かりにくくはない。常に明瞭なボケでもって、そのナンセンスな展開が観客にしっかりと伝えられている。特に終盤、立場が逆転する展開には、ちょっと驚かされたな。「ごっそーさん!」「見たことない!」

 

・三遊間

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吉本興業所属。稲継諒とさくらいによって2019年に結成。芸人が相手にするのは常に大衆である。だからこそ時代の変化には敏感でなくてはならない。無論、普遍的なものもある。例えば、「ファーストフード」「ファミリーレストラン」などのような舞台設定、「気になる相手に告白する」「恋人の両親に挨拶」などのような誰にでも起こり得る状況設定は、いつの時代でも対応できる強度がある。とはいえ、この時代ならではのもの、この時代ならではのことに対し、芸人が全身全霊で取り組む姿というのは、刹那的で美しい。今大会での三遊間の漫才は、まさにそんな今の時代ならではの漫才だ。是非、今、ご覧いただきたい。「違法アップロードの画面の小ささを遠近法で表さんでええねん!」


・軟水

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吉本興業所属。つるまると大川内聡によって2016年に結成。厳密には、2013年にコンビとして活動していたが、同年に解散しているため、再結成ということになる。どんなに親しい相手でも、その家族の詳細まで知っているとは限らない。だからこそ家族についての話は常に慎重に行わなければならない。何処に地雷が埋まっているか、分かったものではないからだ。軟水の漫才は、ほんのちょっとした悪ふざけで始めたことが、思いもよらなかった事実を明らかにしてしまい、状況が一転する様子を描いている。それも、ただその事実を明らかにするだけではなく、その悪ふざけの設定と現実の出来事をリンクさせている。この笑いの取り方が実に上手い。笑いに満ち溢れながらも、切なさの余韻が残る、不思議な漫才である。「おばあちゃん、送り迎えに「○」ついてる?」


・ケビンス

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吉本興業所属。仁木恭平と山口コンボイによって2021年に結成。仁木は“ひみつスナイパー健”、山口は“ドラゴンニンジャ”というコンビでそれぞれ活動していた。単純にネタが強かったコンビ第三位。デリカシーと緊張感を産道に置いてきたような山口のボケが、そんなキャラクターとは裏腹に、常に鋭利で強烈な笑いを生み出している。聞くところによるとネタを書いているのはツッコミの仁木らしいので、キングコング西野やゆにばーす川瀬と同様、相方の魅力を引き出すライティング能力に長けているのだろう。ボケの精度も高ければ、山口の身体能力もとてつもなく高い。序盤で走行中のバスから落ちそうになるくだりの動きを、まったく息を切らさずに表現していたのには面食らった。平気でやっていたが、とんでもないことだぞ。「変な裏技使うな~!」


・ママタルト

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サンミュージックプロダクション所属。檜原洋平と大鶴肥満によって2016年に結成。単純にネタが強かったコンビ第二位。大鶴肥満の見た目にどうしても引っ張られてしまいそうになるが、笑いを生み出しているのは檜原によるツッコミ。ワードセンスもさることながら、声の質感とトーンがたまらなく面白い。大鶴肥満に対して怒りをぶつけているように見えるのに、まったくピリつかない。むしろ独特の悲哀を感じさせられる。でも、まったくかわいそうじゃない。なんという最高の逸材。千鳥のノブのように売れる未来がありそうな気がしてならない。「いや、お前それ、チャチャチャチャチャーッてやったらアカンやん!」


・令和ロマン

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吉本興業所属。高比良くるまと松井ケムリによって2015年に結成。2018年に準決勝進出経験あり(Gyaoワイルドカード枠)。単純にネタが強かったコンビ第一位。なんという絶妙なバランス感だろう。どんな人物を演じていても、その独特のフラで味わい深い笑いを生み出してしまう高比良くるま。町工場の社長を演じている姿は、植木等高田純次のような無責任男の系譜を感じた。そんな高比良に対して、どっしりと構えながら冷静にツッコミをぶつける松井ケムリ。どんなボケにも適切に対応し、その面白さを最大限に引き出していく。正直、今回の準々決勝敗退組の中で、一番声に出して笑ったコンビだった。これでも落とされてしまうのだから、実に恐ろしい大会である。「お願いします!お札を分けてください!」「バカな言い方!

こちらからは以上です。以下、準々決勝敗退組のネタをまとめたので、「この時、何のネタをやってたっけ?」と思い出すときの参考にしてもらえれば幸いです。上に挙げなかったけど面白かったコンビに◎をつけているので、そちらも見てもらえれば、有り難いです。今年は面白いコンビが本当に多かった!

・11月10日(大阪予選)
軍艦「忍者」
◎イノシカチョウ「バトルロワイヤル」
◎三遊間「モノマネ」
ニゲルベ「英語の翻訳」
【準決勝進出】もも
スナフキンズ「合コンに行けない理由」
なにわスワンキーズ「将来なりたいもの」
吉田たち「歯医者」
風穴あけるズ「夜行バスで予約ミス」
デルマパンゲ「肉をやめてよかった」
フースーヤ「お料理番組」
黒帯「イルカショー」
エンペラー「お金を出す能力」
滝音「父親の誕生日プレゼント」
アキナ「オリジナルゲーム」
【準決勝進出】見取り図
ダブルヒガシ「アイドルの握手会で覚えてもらう」
【準決勝進出】金属バット
ニッポンの社長「バスケ」
ラフ次元「金持ち」
【準決勝進出】さや香
【準決勝進出】ヘンダーソン

・11月11日(大阪予選)
ドリンクバーゲン「薄毛から視線を逸らすために」
キャタピラーズ「スナック」
◎侍スライス「気配を消す」
◎イチオク「肩がぶつかったおっさん」
マルセイユ「キレキャラ」
ZUMA「紅白歌合戦M-1みたいに」
◎チェリー大作戦「焼き鳥屋」
【準決勝進出】からし蓮根
エルフ「茶道」
祇園「修学旅行の記憶」
◎タチマチ「○○女子、○○ガール、○○男子」
隣人「遊園地の着ぐるみのプロ意識」
ハイツ友の会「学校の先生」
セルライトスパ「義理の父に催眠術をかけられる」
モンスターエンジン「白髪」
タイムキーパー「修学旅行の夜」
丸亀じゃんご「米」
ガーベラガーデン「教師の夫と塾講師の妻」
ドーナツ・ピーナツ「祭りの屋台」
【準決勝進出】カベポスター
ビスケットブラザーズ「脈のある女性」
令和喜多みな実「バイクの免許」

・11月16日(東京予選)
TCクラクション「干支」
キンボシ「ホスト・マジシャン」
ダウ90000「彼女と旅行」
ランパンプス「十二回クイズ」
◎ナミダバシ「○○やりたい」
ヒコロヒーとみなみかわ「別に売れたくないムーヴ」
ウォンバット「ドラッグストア」
【準決勝進出】アインシュタイン
ブラゴーリ「最強の動物は何か?」
マリオネットブラザーズ「通訳」
くらげ「演技力(死亡フラグ)」
アン縫い「美容院」
怪奇!YesどんぐりRPGムール貝
ナイチンゲールダンス焼肉屋
【準決勝進出】ニューヨーク
【準決勝進出】インディアンス
すゑひろがりず「ヤンキーに憧れる・文法」
わらふぢなるお「香水」
◎9番街レトロ「なんで赤羽行ったん?」
かもめんたる「DVDやBlu-rayを円盤と呼ぶ人」
ななまがり「地下アイドルの自己紹介」
トット「先輩とのお買い物を楽しみにするために」
【準決勝進出】ロングコートダディ
カミナリ「道具を使わない」
パルフェM-1陰謀論
ミキ「渚にまつわるエトセトラ
ネイチャーバーガー「パパ活を許せない」
【準決勝進出】モグライダー
【準決勝進出】オズワルド
ゼスト「ダイベン」
◎シシガシラ「好きな女性を家に招くときに…」
◎ドンデコルテ「マグロ大好き」
【準決勝進出】男性ブランコ
ダンビラムーチョ「刑事ドラマの殉職シーン」
鬼越トマホーク「魚か肉か」
EXIT「売れ切っているのにM-1出場」
【準決勝進出】ハライチ

・11月17日(東京)
人人「フリとボケ・ゴジラvs智弁学園
アントワネット「お医者さん」
金魚番長「宇宙旅行
◎さすらいラビー「合格発表で自分だけ合格」
◎ケビンス「ぶらり途中下車の旅
カラタチ「アイドルオタクとアニメオタク」
◎ポンループ「パンティのサイズ」
◎令和ロマン「町工場のドラマ」
◎軟水「相方の家族でパワプロ組んでみた」
蛙亭「私と仕事どっちが大事?」
三日月ヶ浜「空手」
【準決勝進出】ヨネダ2000
大自然「居酒屋でバイト」
ジャンク「浮気」
コマンダンテ「イメージの茶道部
◎パンプキンポテトフライ「それぞれの名前」
レインボー「休日の過ごしかた」
ヤーレンズ「タクシー」
【準決勝進出】ダイタク
世間知らズガールズバー
【準決勝進出】東京ホテイソン
デニス「一般の人から話しかけられたとき」
ウエストランドディベート
ストレッチーズ「怒ってないけど怒ってる」
ツートライブ「バーで経験した怖い話」
ラランド「大統領とSPの仲」
コットン「夜行バスのバスガイド」
にぼしいわし「お化けの視線」
【準決勝進出】ゆにばーす
【準決勝進出】キュウ
赤もみじ「ハリガネ」
【準決勝進出】アルコ&ピース
【準決勝進出】ランジャタイ
ダイヤモンド「紙幣」
トンツカタン「手術を拒む子どもとペンションの名探偵」
◎ぶるファー吉岡「パンティ」
【準決勝進出】真空ジェシカ
◎ママタルト「うどん屋
納言「美食家」
GAG「刑事の張り込み」
THIS IS パン「学校に呼び出された母親」
【準決勝進出】錦鯉
素敵じゃないか「クイズみたいな話」
【準決勝進出】マユリカ
トム・ブラウン「ポンデライオンを野生に返す」
阿佐ヶ谷姉妹「おばさん検定」