白昼夢の視聴覚室

犬も食わない

結果的に人間ドックのチェックリストみたいになっているボヤキ。

近日中に人間ドックを受けなくてはならない。それ自体は別に良い。アラフォーともなると、身体の各部位で異常が自然発生するようになるので、これからも健やかな人生を送るためにも定期的に検査すべきである。だから、検査そのものには、何の問題もない。ただ、面倒臭い。検査を受けるまでの準備が面倒臭い。健康調査票の記入が面倒臭い。定期的に飲んでいる酒の量を一合二合と日本酒で換算しなくてはならないのが面倒臭い。最後に大腸内視鏡検査を受けた時期を思い出すのが面倒臭い。当時の手帳を開いて、年数を計算するのが面倒くさい。過去にピロリ菌の検査を受けたかどうか思い出すのが面倒臭い。親族に重病人がいたかどうかを思い出すのも面倒臭い。結局、思い出すことが出来なくて、親に電話をして、確認することになるから面倒臭い。内視鏡検査の際に病気が発見された際の切除・生研を許可する同意書にサインを書くときの緊張感が面倒臭い。絶対にサインした方が良いのだけれど「サインしても大丈夫かな?」と心配になるから面倒臭い。検査前の一週間で検便を採取しなくてはならないのが面倒臭い。検査前の一週間で検便を二度も採取しなくてはならないのが面倒臭い。検便を採取するための水に溶けやすい専用の紙が弱くて、その上に便を落とすと、重みで水没してしまうところがまた面倒臭い。かといって和式トイレにかがんで用を足すのも面倒臭い。採取した便を保存する場所を確保するのも面倒臭い。冷蔵庫に保存するのが良いとされているが、他の食品と一緒にすると衛生面に支障をきたしそうなので、検査用キットを入れた袋の上から更にもう一枚重ねなくてはならないのが面倒臭い。検査の前日、午後九時以降は食事を取れないのが面倒臭い。ちょっと小腹が空いたからと、うっかりお菓子を口に放り込んでしまいかねないから面倒臭い。おかげで、何もしようがないから、とっとと布団に入って眠ろうとするも、変に緊張してなかなか寝付けないし、じわじわ腹が減ってくるしで面倒臭い。すべての準備を済ませた検査当日の朝、検尿を取ることを忘れてしまいそうなのが面倒臭い。いつものように便器に腰かけて用を足している最中に「あっ」となりそうなのが面倒臭い。検尿を採取するために使った容器の処分が面倒臭い。ゴミ袋に放り込む前に軽く洗浄したいけれど、トイレの手洗い場やキッチンでは洗えないので、こっそりお風呂場で洗わなくてはならないのが面倒臭い。とにもかくにも、面倒臭い。……まあ、受けるんだけどさ。