白昼夢の視聴覚室

この世は仮の宿

ハレルヤの思い出話をさせてくれ!

たまにハレルヤというコンビがいたことを思い出す。大野泰広加藤直也によって1997年に結成され、2007年に解散した。ゼロ年代のお笑いブームが下火になり始めた2005年前後に『爆笑オンエアバトル』を中心に活躍、番組内ではそれなりに評価されていたように記憶している。とはいえ地上波の番組で目にする機会は非常に少なく、その存在を記憶している人間は多くないのではないだろうか。仮に、キャラクターコントが大量消費された『爆笑レッドカーペット』のブームまで、コンビとしての活動を継続していたならば……と、今となっては思わなくもない。ハレルヤのネタといえば、不出来な平社員・加藤の失態を大野演じる主任が自らの保身と出世のためにカバーしようとてんてこ舞いになる様子を描いた、サラリーマンコントである。メガネに横分けというザ・サラリーマンといった見た目の主任が、部下の加藤を「カトゥー!」と独特な口調で怒鳴っている姿が、如何にも軽妙洒脱なコメディアンといった印象を与え、とても面白かった。個性を重要視する時代の若手芸人でありながら、サラリーマンのドタバタ喜劇という古典的なスタイルを採用していたことも、彼らの魅力に繋がっていたのではないかと思う。時折、主任に他の登場人物を絡ませることで、世界観に奥行きを見出していることもあった。当時の私は、そんな彼らのコントが大好きだった。いつか『主任と加藤』の世界がまとまった形でソフト化される日のことを期待していた。だからこそ、ハレルヤが単独で映像ソフトを出さないまま、解散してしまったときには、非常に残念に思ったものである。現在、大野は俳優として、加藤はピン芸人カトゥー直也として活動している。どちらも業界に残っていること自体は喜ばしいが、ハレルヤのコント世界が抹消されてしまっていることは、未だに勿体無いと思っている。今からでも出してくれないもんかねえ。