白昼夢の視聴覚室

この世は仮の宿

鳥よ山よ涙の明よ 灼熱の…ギャルのパンチー

鳥山明逝去。漫画家として、デザイナーとして、数多のクリエイターに多大なる影響を及ぼしてきた氏の早すぎる死は、世界中の人々にショックを与えたことだろう。否、氏に関しては、その存在があまりにも偉大すぎるがあまりに、亡くなったということに対して実感を覚えない人も少なくないのではないだろうか。かくいう私もそういった人間である。幼少期には『ドラゴンボール』のアニメ映画やおもちゃで遊んでいた記憶があり、中高生の頃には氏がキャラクターデザインを手掛けたRPGクロノトリガー』を何度も何度もプレイしていた私にとって、鳥山明は空気のように当たり前の存在だった。つまり、作品を世に送り出す“クリエイター”としてではなく、この世界の一端を構築する“創造主”として彼を認識してしまっていたため、その死を実感できずにいる次第である。もっとも、それは私が鳥山明という作家に対して、強い思い入れを持っていなかったからなのかもしれないのだが。

そんな鳥山明氏の作品の中でも、私が最も印象に残っているものはなんだろうか?としばし考えてみたところ、最初に思い浮かんできたのが『ドラゴンボール』のワンシーンであった。主人公の孫悟空とヒロインのブルマが七つ集めると何でも願いをかなえてくれるというドラゴンボールを探している道中で、そのうちの一つを持っている亀仙人という老人と出会う。ドラゴンボールを譲ってほしいと懇願するブルマに対し、亀仙人は「(ブルマの)パンチーを見せてくれ」と条件を提示。呆れながらも「そんなことでいいのなら」と、ブルマはスカートの裾をまくり上げる。しかし、実はブルマはパンチーを履いていなかったため(本人は気付いていない)、彼女は亀仙人に剥き出しの下半身を見せつけてしまったのだった。……嘘ではない。本当にこのシーンを最初に思い出したのだ。とにかく衝撃的なワンシーンだった。屋外で、服の下には何も着ていない女性が(寝間着姿だったのでノーブラでもあった筈)、そのことに気付かずに素肌をさらけ出してしまう描写は、幼い自分にはとても刺激的で大変にコーフンした。この影響から、十八歳を超えてからの私は、野外露出系のビデオを……いや、それはまた別の機会に話すとしよう。

自身がストーリー原案を務める新作アニメ『ドラゴンボールDAIMA』が今秋に放送されることが決定している最中での訃報である。その無念は想像に難くない。残されたスタッフによって素晴らしい作品となることを願っております。今はただ、お疲れさまでした。