白昼夢の視聴覚室

この世は仮の宿

『読む余熱』第二号について

いつもお世話になっております。すが家しのぶです。

先月、配信が開始されました『読む余熱』第二号において、テキストを寄稿させていただきました。今号の特集は「大好き!テレビバラエティ」ということで、テレビ番組よりも芸人のネタを愛でたい人間としては些か厳しいテーマではありましたが、脳味噌をこねくり回しに回して、今の私が最も好きなバラエティ番組『テレビ千鳥』より、特に印象に残っている企画を三つほど紹介させていただきました。いずれもDVDに収録されている回なので、本書をきっかけにそれらを視聴していただけますと幸いです。対して、既に番組(ないしDVD)をご覧になられている方には、「ああ、分かるなあ……」と共感してもらえるような内容にしたつもりですので、いずれにしてもご購読いただけますと非常に有り難い……と、担当者が申しています。たぶん。

こんな私を筆頭に(amazonで検索すると私の名前が最初に表示されるのです。そんなネームバリューは私にはありませんから、何かの間違いだと思っています)、飲用てれびさん、児島気奈さん、ヒャダインさんが寄稿されています。飲用てれびさんは『あちこちオードリー』における虚実と本音の狭間にある“本音のようなもの”の面白さについて、児島さんは『タモリ倶楽部』におけるタモリの嘘の無さとそれに近い雰囲気を漂わせているとある中堅芸人について、ヒャダインさんは『ゴッドタン』『有吉の壁』『全力!脱力タイムズ』などの番組を挙げながら近年のテレビに対する思いについて、それぞれ書かれております。ちゃんと軸のあるテキストの数々を眺めていると、自分の存在の耐えられないほど軽い文章と肩を並べてしまっていることが、なにやら申し訳ないような気持ちになってきます。嘘ですが。特に飲用てれびさんの文章は読み応えバツグンで、流石!の一言。テレビをテーマにしたコラムというと、どうも俗っぽくなりがちですが、飲用てれびさんの文章は常に華麗で驚かされます。

というわけで、今号も過去二回に負けず劣らず上出来!なのですが、感覚としてあんまり話題になっていないような印象を受けます。思うに、過去二回が否が応でも議論が白熱する特定の賞レースをテーマにしていたのに対し、今号は「テレビバラエティ」というざっくりとしたテーマだったことが、あまり読者に響いていない理由なのではないでしょうか。……なので、次号は何かと話題の『キングオブコント2021』をテーマにすればいいのではないでしょうかね……と、ここでこっそり言ってみたりして(←直接、担当さんに、話を切り出す勇気がないヘタレ)。