白昼夢の視聴覚室

犬も食わない

『M-1グランプリ2024』敗者復活戦(2024年12月22日)

・Aブロック
十九人「電車でおばあちゃんに席を譲る」
今夜も星が綺麗「ヒッチハイク
フースーヤ「戦隊ヒーロー」
ドンデコルテ「渡辺の恋愛事情」
ダンビラムーチョ「蝶々さんの羽化」
★金魚番長「つまさき」
カベポスター「絵本」

・Bブロック
カラタチ「アイドルの握手会シミュレーション」
ナイチンゲールダンス「最後のロッカールーム」
滝音「親孝行」
マユリカ「舞妓さん」
家族チャーハン「カレー屋」
男性ブランコ「サガと理性」
豪快キャプテン「イルカショーのトレーナー」

・Cブロック
シシガシラ「浜中クイズ」
豆鉄砲「ハンバーグ」
オズワルド「明日、地球が終わるとしたら」
スタミナパン「キャバ嬢」
例えば炎「張り込み」
★インディアンス「もうええわ」
ひつじねいり「たこ焼きパーティ」

Aブロックはとにかくダンビラムーチョが衝撃的。大原が顔で様々な虫を表現するスタイルだけで笑いをもぎ取る姿は、もう理屈もへったくれもないバカバカしさが爆発していた。漫才とかコントとかじゃない、ダンビラムーチョのネタとしか言いようがないパフォーマンス。素晴らしかった。個人的に推している、ドンデコルテのネタが完成されつつあることが確認できたのも嬉しかった。アラフォーの渡辺が恋愛について論理的な思考を展開させながらも、まったく理にかなってない行動を取ってしまうことが笑いに昇華されていたけれど、それこそまさに恋愛の本質であるようにも思えた。理屈じゃねえんだよなあ。

Bブロックは安定感。オタク同士の揉め事を安定して見せてくれるカラタチ、現代性の高いボケが連発される漫才コントで駆け抜けるナイチンゲールダンス、素っ頓狂なボケと答え合わせのツッコミが心地良い滝音、面白さと気持ち悪さが絶妙なバランス感で繰り出されるマユリカ……。そんな中、突如として自分たちの世界を見せつけていた男性ブランコ、ちょっと最高だった。サガと理性がぶつかり合う様子を二人で再現するという設定だけでも面白いのに、それを完璧に演じ切る二人の表現力の高さが、本来の面白さを何倍にも底上げしていた。本来はコントを主に演じている二人だけれど、漫才は漫才で唯一無二に素晴らしい。

Cブロックは手練れ揃い。決勝進出経験のあるシシガシラ、オズワルド、インディアンスが安定したパフォーマンスを見せつける。一方で、豆鉄砲や例えば炎のような新世代が突き上げる。そんな中、微笑みながら吐き出されるクレイジーなボケとイライラを爆発させながら荒々しいツッコミがぶつかり合うスタミナパンの漫才が、なんだか妙に面白かった。ボケもツッコミも別に新しいわけでもないのに、なんだか引き込まれてしまった。とにかくパフォーマンス力が高いということなのかもしれない。

実際の結果で選ばれたのは「金魚番長」「マユリカ」「インディアンス」の三組。その中から、五人の芸人審査員に選ばれたのは「マユリカ」。二年連続決勝進出となった。