【ファーストラウンド】
令和ロマン『子どもの名字』
ヤーレンズ『変なおにぎり屋さん』
真空ジェシカ『商店街のロケ』
マユリカ(敗者復活戦)『高校の同窓会』
ダイタク『ヒーローインタビュー』
ジョックロック『医療ドラマ』
バッテリィズ『偉人の名言』
ママタルト『銭湯』
エバース『桜の木の下で』
トム・ブラウン『一気コール』
トップバッターに令和ロマンが選ばれてしまった時点で、今回の結果は決まっていたのかもしれない。昨年の優勝時と同じ出番順なんてドラマチックにも程がある。そこから更に、昨年二位のヤーレンズ、四年連続決勝進出の真空ジェシカ、昨年四位のマユリカ(敗者復活戦)と、昨年のファイナリストたちが次々に登場することになっていったんだから、なんともたまらない。これはまさしく『M-1グランプリ2019』と同じ状況だ。ラストイヤーのかまいたち、五年連続決勝進出の和牛が高得点を叩き出し、その高い壁に初出場組が食らいついた、あの伝説の大会と同じ状況になっている。俗っぽい表現になってしまうが、この時点でもはや今回の大会は【神回】確定となっていたのだ。
とはいえ、それにしても、あまりに高い壁だった。しゃべくり漫才の令和ロマンと漫才コントの真空ジェシカが序盤に築き上げた壁は、易々と攻略できるようなものではなかった。ラストイヤーで満を持しての決勝進出となったダイタク、結成二年で決勝進出を果たしたジョックロック、それぞれ落ち度のないパフォーマンスを見せつけていたが、これがまったく手が届かない。その状況を打ち砕いたのがバッテリィズである。とことん練り上げられた精度の高い漫才が作られ続けている昨今において、彼らが提示したのはシンプルなアホの漫才。その内容は、社会的地位の低い人間が一般常識を振りかざす相手を自らの論理で追い詰めるコントレオナルドを彷彿とさせたが、彼らはそこにアホとしての可愛げと朗らかさを加えることで、今の時代に適合したスタイルを構築させていた。その人間臭さが爆発した漫才が、これまでの流れを完全に変えてしまったのである。
このバッテリィズの勢いに飲まれてしまったのがママタルト。軽やかでバカバカしい漫才を披露するも、観客がついていけずに撃沈。続くエバースは、ドラマチックなシチュエーションにちょっとしたスパイスを加えることでナンセンスな笑いが走り出す見事な漫才を見せつけていたが、暫定三位の真空ジェシカに惜しくも届かず。ファーストラウンドのトリを務めることになったトム・ブラウンは、完全に自らの世界観に浸りきった漫才を見せつけ、まさしく賛否両論の事態に。自らの道をまざまざと見せつけて、華々しく散っていった。
【最終決戦】
最終決戦はまさしく波乱であった。これまで漫才コントで戦い続けてきた真空ジェシカが、ここにきて短いシチュエーションを演じるショートコントスタイルのネタをぶちかます。正気の沙汰ではないアンジェラ・アキを演じる川北の表現力が凄まじい、とてつもないパフォーマンスだった。続く令和ロマンは完全なる漫才コントで勝負。松井ケムリがタイムスリップして戦国時代を訪れるというベタな設定だが、戦国時代とは無関係な要素がいくつも散りばめられていて、知識のない子どもがテキトーにでっちあげた時代劇を見せつけられたような、自由で楽しいコントだった。唯一、バッテリィズはファーストステージと同じスタイルのしゃべくり漫才で勝負に出るも、後半はややガス欠気味に。結果、令和ロマンが連覇を果たすという、史上初の快挙を見せつけられることになってしまったのであった。お見事。