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さあ、水道の蛇口を開け。

ゲジゲジ。

ゲジゲジ”という名前の虫がいることを知ったときには「そんな冗談みたいな名前の虫がいるのか!」と驚いたものである。生き物の名前にしては濁点が多い。四文字中四文字が濁点である。ゲルググでさえ四文字中三文字に留めているというのに、フルコンボを達成している。二文字の言葉を繰り返している表現も、なんだか幼児語のようで妙な面白味を含んでいる。とはいえ、明らかに馴染んでいない。「ワンワン」「ブーブー」「ニャンニャン」の並びに「ゲジゲジ」が居たとしたら、誰もが二度見してしまうことだろう。とにかく生き物の名前としては妙な質感なのである。

ただ、これはあくまで通称であって、正式名称は “ゲジ”というらしい。ゲジ。いいじゃない。かわいいじゃない。ジブリ映画に出てきそうじゃない。主人公と最初に仲良くなる異世界の生き物みたいじゃない。

ところが、いざ“ゲジ”の実物と遭遇してみると、これがもうどっからどう見ても“ゲジゲジ”としか形容し得ないビジュアルをしているから面喰った。動き方がもうゲジゲジしている。全身を揺らしながら、何本あるのか分からない沢山の足を器用に使いこなして、壁やら床やら歩き回る様子が、もうゲジゲジとしか言いようがない。その機械的な動作に、本当に生き物なのか疑いたくなる。宇宙人が地球に送り込んだ探査機か何かなのではないか、と勘繰ってしまいそうになる。だとしたらその宇宙人のセンスはあんまり良くない。もっと地味で印象に残りにくいビジュアルにすべきだろう。テントウムシとかカブトムシとかしか知らないような人が何の前情報もないままにゲジゲジと出会ったら、ビックリして呆然としてしまいかねない。というか、した。私が。実体験である。そりゃビックリするだろう、あんな形状の虫。なんであんなのが当たり前に存在を受け入れられているんだ。ゴキブリとかムカデとかを恐れている場合じゃない。ゲジゲジの方がよっぽどヤバい存在感をしている。

ところが、このゲジゲジという虫は、ゴキブリやダニなどの害虫を食べてくれることから、人間にとって益虫であると言われているらしい。つまり、その能力を評価せずに、見た目だけで判断して、ゲジゲジを恐れて拒絶するということは、ルッキズムに当たるということになるのだろうか。……いやー。えー。そうかー。……善処しまーす。