白昼夢の視聴覚室

この世は仮の宿

安全第一希望禁煙厳守

先日の話。仕事を終えた私は、普段通りに車で帰路についていた。その道の途中に、とある分岐点がある。本道と脇道が鋭角に繋がっていて、ちょうど高速道路の合流地点のような形になっている。そこで事故に遭いかけた。本道を走っている私の車が脇道の前を通過するのと同時に、一台の車が脇道から本道へと入り込んできたのだ。本来であれば、脇道から本道へと侵入する場合、手前で一時停止し、本道を通過している人間や車両などの存在を確認する必要がある。ところが、その車はうっすらとブレーキを踏みながらも、停止することなく脇道から本道へと突っ込んできたのである。幸い、視界を遮断する壁や建築物のない見通しの良い道であり、以前に上司から「あそこは何も考えずに突っ込んでくるバカがいる可能性も考慮して通過しないといけない」と忠告を受けていたこともあって、私は咄嗟に車両の無かった反対車線側へと大幅に自車をかわすことが出来たため、相手の車と接触することはなかった(本来であればブレーキを踏んで急停車すべきところだったのだろうが、向こうが分岐点の手前で中途半端にブレーキをかけていたため、判断が遅れた)。ひとまず事故は免れたわけである。だが一点だけ、引っかかっていることがある。

十年以上前に、同じような状況で事故に遭ったことがある。道を走行していると、左側にある駐車場から車が飛び出してきて、やはり大幅に避けようと反対車線へと逃げたものの接触してしまったのである。その後、警察や保険屋を呼び、現場検証が行われたわけだが、ここで私と相手の運転手との間で証言に食い違いが発生した。私は「駐車場から飛び出してきた車を避けるために、反対車線側に逃げようとしたが、ぶつかってしまった」と証言していたのだが、相手は「駐車場を出たところで、後ろから来た車が強引に追い越そうとして、反対車線から前に出てこようとしたところでぶつかった」と証言したのである。つまり、自分の確認不足をまったく自覚せずに、相手(=私)を悪いものだと決めつけていたのだ。無論、私の証言が絶対に正しいとは言い切れない。言い切れないが、それにしてもここまで認識が違うものなのか……と驚いたものである。

今回の事故未遂で、ふっと当時の記憶が蘇った。そして、ふと想像したのである。「今回、こちらの咄嗟の判断で事故には繋がらなかったのに、向こうの運転手には「反対車線側から前に強引に出てくるなんて、乱暴なドライバーがいたものだな」と勘違いされてしまった可能性もあるのではないか……?」。脇道から飛び出してきている時点で、相手側の運転手に非があるのは間違いない。そのことを謝罪してもらいたいとは思わない。思わないが、せめて反省はしてもらいたい。反省して、このようなことを二度と起こさないように、気を付けてもらいたい。だが、ことによると、相手は私を悪者だと勘違いしたまま、その後もドライバー人生を謳歌するのかもしれない。だとすれば、なんとも居たたまれない話ではないか。で、あまりにも居たたまれなかったので、ブログに書いた次第である。とはいえ、人生はきっとそんなことの繰り返しなんだろう。なにやら空しい。