白昼夢の視聴覚室

この世は仮の宿

沖縄旅行の記録(二日目・10月6日(金))

午前七時起床。

敢えて少しだけ開けておいたカーテンの隙間から、部屋に朝日が差し込んでいる。ベッドから起き上がって、窓の外の景色を眺めてみると、昨晩は真っ暗で何も見えなかったところに海が広がっている。ここでようやく沖縄に来たことを実感し、窓を開けてバルコニーへと足を踏み入れる。十月とは思えない最高気温三十度超えの熱風と南国特有のうだるような湿気に身を包みながら、地元では有り得ない体験にまんまと感動を覚えてしまった。これぞ観光の醍醐味である。

身支度を済ませ、一階の朝食ビュッフェ会場へ。【ザ・ビーチタワー沖縄】の朝食ビュッフェは、和食、洋食、沖縄料理など、多種多様な料理に加えて、朝から生ビールが飲めるサーバーまで用意されている。ここで朝からビールを飲みたい衝動に駆られるも、己の欲望をぐっと押さえつけて、平穏無事に朝食を済ませる。

一度、部屋に戻って、ゆったりと休んでから、午前九時四十五分ごろにレンタカーでホテルを出発。北を目指す。沖縄南インターチェンジから沖縄自動車道に入り、世冨慶インターチェンジで国道に下り、更に北上する。途中、古いカーナビの案内に手間取りながらも、屋我地島を経由して、午前十一時半に【古宇利オーシャンタワー】へと到着。“恋人たちの聖地”と称されている古宇利島の観光スポットである。当初は「なんとありがちで陳腐なコピーだろうか」と鼻で笑っていたのだが、なんとこの古宇利島は琉球人の始祖とされる男女が住んでいた島なのだという。この系統のコピーに、ちゃんと由緒正しい謂れがあるパターンがあるのか。自らの浅薄な思考を反省しつつ、駐車場からタワーの根本へと直結しているカートで移動する。到着地点からタワー内部へと移動し、上層階へと駆け上がる。曇り空なのは残念だったが、タワーのてっぺんから見える景色はなかなかに素晴らしいものだった。……もっとも、古宇利島で一番魅力的に感じられたのは、島に突入する際に通過した古宇利大橋での眺めだったのだが。真っ青な海の真ん中を貫くように伸びている橋と、その先にある賑やかな島の構図が、なんとも美しかった。

景色を堪能し終え、お土産物を買い集めたところで、時刻は午前十二時半。古宇利島を後にして、島から車で三十分ほどのところにある沖縄そばの店【山原そば】へ向かい、ソーキそばを食べる。豚の骨付き肉の乗っかった、なんだかワイルドな見た目のそばだが、ホロホロになるまで煮込まれていて食べやすかった。やはり沖縄そばは美味い。

食後、西へと車を走らせ、午後二時に【美ら海水族館】へと到着。平日昼間だというのに、首里城と同様、こちらもたくさんの人で溢れ返っていた。どうやら修学旅行生のスケジュールとまるかぶりになってしまったらしい。相変わらずの人混みにストレスを感じるも、若者たちが賑やかに楽しんでいる姿には癒されるものもあった。気付けば自分もアラフォー世代、じんわりと老いを感じずにはいられない。尋常じゃないデカさのウツボに興奮したり、大水槽のジンベエザメに圧倒的な迫力を感じたり、砂から顔を出しているチンアナゴにニヤニヤしたり、凶暴なサメだけが入れられた水槽に緊張したり、とても楽しかった。また来たいとは思ったが、やはり人混みは疲れるので、その時は修学旅行生と被らないことを願うばかりである。お土産にジンベエザメやマンタのぬいぐるみを購入し、午後三時半に出発。

二時間ほどかけて、かりゆしの専門店がある【イオンモール沖縄ライカム】に到着する。車を降りて、早々にかりゆしを買いに行く。【マンゴハウス イオンモール沖縄ライカム店】。自分のサイズに合った服を探しているところに、ヒジを入れるかのように迫ってくる店員さんには些か辟易したが、かえって冷静に選ぶことが出来たように思う。白地に赤のシーサーが彩られたデザインのかりゆしを購入する。なんだかとてもご陽気で良い。

店を出て、映画館に向かい、鑑賞済だが購入していなかった『君たちはどう生きるか』のパンフレットを購入する。地元でも買うことは出来るのだが、うっかりしているうちに上映期間が終わってしまいそうだったので、覚えているうちに購入だ。そうこうしているうちに空腹を覚え始めたので、そのまま施設内にある【ステーキハウス88Jr.+ イオンモール沖縄ライカム店】で夕食。メニュー表に店長オススメと書かれていたサガリステーキを食べる。それなりには美味かった。

食後、車に乗り込んでホテルへと帰還している道中、実家や職場に渡すお土産を早めに購入しておいた方が良いのではないかと思い立ち、地元のスーパーマーケットである【サンエー 北谷はまがわ店】に立ち寄る。ちんすこうや紅芋タルトなどを買い込むが数が足りず、結局、またしても【イオン 北谷店】へと向かい、補充を行う。そもそも初日の時点で、ここで買い込んでいれば、何も問題はなかったのである。無念。

午後九時二十分ごろ、ホテルに戻る。昨夜の残りの酒を飲み、風呂に入り、午前一時ごろ就寝。