白昼夢の視聴覚室

この世は仮の宿

『和牛 漫才集』についてコレクター的に気になっていること。

今年3月に惜しまれながら解散した漫才師・和牛のネタを収録した映像作品がリリースされるという。和牛名義による映像ソフトがリリースされるのは、自身のレギュラー番組や『情熱大陸×和牛』のようなテレビ番組関係のものを除くと、2017年11月にリリースされた『和牛 漫才ライブ2017~全国ツアーの密着ドキュメントを添えて~』以来、およそ六年半ぶりのことになる。ただ既報によると、M-1勝戦上方漫才大賞でのパフォーマンスが収録されるらしいので、これもまたどちらかといえばテレビ番組寄りの作品といえるのかもしれない。せっかくなのだから、2022年・2023年に開催したライブツアーの模様なども収録してもらいたいところなのだが……続報を待ちたい。

それはそれとして、この和牛の新作なのだが、聞くところによるとDVDとBlu-rayの二形態が同時リリースとなるらしい。芸人単体の映像ソフトをリリースする際、Blu-rayを出し渋っているイメージの強い吉本興業にしては、なかなかに珍しい采配である。私の記憶が正しければ、過去に吉本の芸人による映像作品でBlu-ray化されているものは、『花火が2倍楽しくなる笑い飯哲夫のおもしろ花火講座』と『NON STYLE LIVE 2022 所縁』、登場人物全員ジャルジャルの“コントシネマ”『サンチョー』ぐらいのものだ。もしも、和牛が解散することなく、漫才師としての活動を継続していたとしたら、彼らの単独ライブツアーがそのままBlu-ray作品としてリリースされていた未来もあったのだろうか……という妄想を膨らませてしまいそうになる。まあ、別に解散イコール永遠の別れ、というわけでもないのだが。

また、先述したように、本作にはM-1決勝の舞台で披露されたネタが収録される予定なのだが、これまた私の記憶が正しければ……の話になってしまうが、M-1勝戦の映像がBlu-rayでソフト化されるのはこれが初なのではないだろうか。M-1の公式ソフトは現時点ですべてDVD形態によるものだし、そもそも漫才師がBlu-rayをリリースしている実例そのものが未だに少ない。いずれはM-1の公式ソフトもBlu-ray化の流れに乗る日が来るのではないかと思っていたのだが、よもや芸人単体のソフトに先を越されることになろうとは。ともあれ生放送の臨場感を高音質・高画質でどれほど再現できているのか、気になるところである。

緻密な脚本と丁寧な間合いで最高の笑いを生み出し続けた和牛の軌跡を記録した永遠のメモリアルアルバム『和牛 漫才集』は2024年5月29日発売予定。