令和時代のお笑い公論

笑いの粗熱が冷めるまで

矢野顕子からすべてのミュージシャンへ『音楽はおくりもの』


人は一人では生きていけない。とはいえ、誰もが誰かに頼れるような人生を送ってきたわけじゃない。生まれてから死ぬまで一人ぼっちな人間なんて、きっとこの世にはいないだろうけれど、一人で生きるしかない時間は存在する。そんなときに、一人でいることが辛くなってしまったときに、寄り添ってくれるものがいる。それは人それぞれに違っているだろう。それは漫画かもしれない。それはゲームかもしれない。それは映画かもしれない。それそのものは人ではない。でも、それは確かに、誰かの手によって作られた、誰かからのおくりものだ。それは、運命的にもあなたの元へと届けられた、誰かからのおくりものなのだ。矢野顕子の最新作『音楽はおくりもの』は、音楽を必要とする人たちに寄り添う音楽家の覚悟を歌った曲である。優しい歌声とメロディの中でさり気なく紡がれる確固たる意思。「低く 見え隠れしてる 光さえ 見逃さず さがし出す」という部分には、執念すら感じられる。界隈の隅っこで雑文を書き殴っている身としては、襟を正さずにはいられない一曲である。こんなことを軽やかに歌われたら、たまらんぜ。