あまりに興奮し過ぎて、卒倒するかと思った。
興奮せざるを得ない要素が多いので、一つずつ解説する。
- シティボーイズのライブがまさかの復活
記事でも触れられているように、シティボーイズがライブを開催するのは、2015年6月に東京グローブ座で行われた『シティボーイズ ファイナル Part.1「燃えるゴミ」』以来、およそ二年ぶりとなる。二年という期間だけを見ると、「復活」という表現は些か大仰なのではないかと思われるかもしれない。ただ、この二年前に行われたライブが、単なるライブではなかった。当時の彼らはライブの“終了”を考えていたのである。ライブのDVDがリリースされた際に三人が受けたインタビュー記事を読むと、その頃の三人の心境がよく分かる。メンバーの大竹まことが「ただ衰えていく姿を晒すだけじゃ老害」「老いて情けない姿を見てお客さんが喜ぶとはあまり思えない」と老いによる身体の変化について悲観的に語っている姿を見せられたら、「ファイナル」の隣に冗談のように添えつけられた「Part.1」に僅かの希望を感じつつも、次のライブは有り得ないと考えても仕方がないことだろう。それが、まさかの復活である。いやほい。
- ライブの作・演出が三木聡
記事中では「これまでもシティボーイズライブを手がけてきた三木聡が作、演出、構成を担当」と、あまりにもさらりと触れられているが、実はこれもとんでもない話なのである。というのも、三木聡がシティボーイズライブの演出を担当していたのは、今から十七年も前のことだからだ。「これまでも」という一言で処理されるような長さではない。しかも、三木聡といえば、シティボーイズファンの間でも人気の高い公演を数多く手掛けてきた作家である。この十七年の間、数々の作家たちがシティボーイズの舞台を手掛けてきたが、今でも「三木聡時代がシティボーイズの最盛期」と語るファンは少なくない。むしろ多い。とりわけ、中村有志といとうせいこうがゲスト出演していた95年~98年の公演は、シティボーイズの黄金期として語り草となっている。
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その三木聡がシティボーイズの舞台に戻ってくるのである。とんでもないことである。無論、当時と同じくらいのパワーを感じられるとは考えていないが、今の彼ら(シティボーイズ+三木聡)だからこそ出来る表現を見せてくれるに違いない。
- ゲストがライス
ある意味、最も興奮したのはこの件である。シティボーイズのライブには、ゲストが呼ばれることも少なくないのだが、これまでに「よしもとクリエイティブ・エージェンシーの芸人」が出演したことは一度もない。そもそも若手芸人が呼ばれること自体、とても珍しいのである。以下、ゲストが頻繁に呼ばれるようになった、2001年以降のゲストをまとめておこう。なお、中村有志に関しては、ゲストといっておきながら毎回参加しているので、割愛する。
01年「ラ ハッスル きのこショー」
いとうせいこう02年「パパ・センプリチータ」
犬山犬子03年「NOTA ~恙無き限界ワルツ~」
YOU、五月女ケイ子04年「だめな人の前をメザシを持って移動中」
チョップリン05年「メンタル三兄弟の恋」
のろま会(まろま、ほくろちえ、森桃子、仲瀬甲羅、のろまみこ)07年「モーゴの人々」
大森博史、ムロツヨシ09年「そこで黄金のキッス」
細川徹、ふじきみつ彦、春山優10年「10月突然大豆のごとく」
THE GEESE、ラバーガール13年「西瓜割の棒、あなたたちの春に、桜の下ではじめる準備を」
いとうせいこう、戌井昭人、笠木泉14年「燃えるゴミ」
ゲスト無し
いわゆる若手芸人がゲスト出演した例としては、04年のチョップリン(松竹芸能)、10年のTHE GEESE(ASH&Dコーポレーション)とラバーガール(人力舎)が挙げられる。ただ、基本的には、俳優業で活躍している人物が選ばれる傾向が強い。シティボーイズ自身が劇団出身であることも影響しているのだろう。だからこそ、新しい公演に若手芸人が、それも芸人の事務所としては最大手であるよしもとの芸人が選ばれたことに、ただただ驚かされた。この仕事の依頼が来たライスも相当に驚いたことだろう。
また、ライスを選ぶというあたりが、実に味わい深い。演劇の度合いが強いシソンヌや、シティボーイズのファンであることを公言しているバッファロー吾郎などではなく、どうして彼らが選ばれたのか、そして誰が彼らを選んだのか(シティボーイズがゲストを選ぶ例も少なくない)、とても気になる。なにより、彼らがシティボーイズとどのようなコントを繰り広げてくれるのかが、気になる。今から楽しみで仕方がない。
……と、以上の理由から、大変に興奮していた私だったのだが、会場がよみうり大手町ホール(東京)、公演日が2017年6月12日~14日(平日)と聞いて、地方民としてひたすらに愕然とするのであった。あーっ、ソフト化されるといいなーっ!
追記。どうやらシティボーイズとライスがそれぞれコントを一本ずつ披露するライブで、いわゆる本公演ではないらしい。うーん、ちょっと残念。とはいえ、三木聡演出のコントをやること、対バン的なポジションにライスを招致したことは事実なので、やっぱりそこは素直に喜んでおこうと思う。わーい。