2016年春に放送されて話題となった「くりぃむナンチャラ」の企画を一時間の特番化。テレビやライブで活躍する芸人たちが、お笑いに関する様々な問題を答えていくクイズ番組だ。司会は上田晋也。解説は前大会チャンピオンのテラシマニアック。回答者は、有田哲平、川島明(麒麟)、塙宣之(ナイツ)、安田和博(デンジャラス)、飯塚悟志(東京03)、たかし(トレンディエンジェル)、そして予選を勝ち上がった河村徳人(アゲイン)を加えた七人。
イチお笑いファンとして前大会を楽しく視聴した私は、放送開始前から「確実に面白い番組になるに違いない」と能天気に胸を躍らせていたのだが、第一問からいきなり、
「結成30年を迎えるお笑いコンビ・さまぁ~ずは2000年まではバカルディというコンビ名でした。さらにその前、実は3人組だった時代、グループ名が2つ。ひとつは「アメリカン」、ではもうひとつの名前は何?」
という超難問が飛び出したので、思わずテレビを見る姿勢を正してしまった。いやいや、まさか第一問から、こんなにもマニアックな問題が飛び出してくるなんて。とはいえ、お互いの売れない若手時代のことをよく知っているであろう芸人同士ならば、簡単に答えることが出来るに違いない……と思っていたら、誰も答えられず! 番組は第一問から回答者無しという波乱の幕開けを迎えることとなった(ちなみに正解は「しゃぶしゃぶ」。大竹・三村の同級生がメンバーだったらしい)。ただ、ここまでの難問はこれ以降出題されず。一発目からカマしてやろうという番組スタッフのしたり顔が目に浮かぶ。
とはいえ、出題されるクイズは、お笑いファンの心をくすぐるものばかりだった。
「漫才の日本一決定戦「M-1グランプリ」は2001年からこれまで12回行われていますが、敗者復活戦の出場が10回と最も多いコンビは?」
「これまで9回行われている「キングオブコント」で4度の決勝進出を果たしたコンビが3組います。その3組をすべてお書き下さい」
などは、回答者に負けじと、私も答えを一緒になって考えてしまった。
特に盛り上がったのは、漫才師がネタの最後に口にする「もういいわ」という声だけを聞いて、どのコンビの誰が言っているのかを当てる【「もういいわ」クイズ】。これもまた、テレビから流れる声に耳を澄ませ、芸人たちに負けじと正解を的中させてやろうと必死に参加した。ただ、このコーナーに関しては、もうちょっと切り込んだ問題でも良かったような気もする。「もういいぜ」でネタを締める漫才師は一人しかいないもんなあ……。
後半は、問題のテーマだけを見て、具体的な内容を知らない状態で正解を出すことが出来れば得点が2倍になるという予約システムを採用。前大会で圧倒的な実力を見せつけていたテラシマニアックに他の回答者が対抗できるようにと強引に開発されたシステムだが、今回はテラシマニアックほど突出した実力者が出ておらず、これがなくても番組として成立していたような気がしないでもなかった。結果、優勝者は有田哲平に決定するが、ここ前大会チャンピオンのテラシマニアックとのタイマンクイズバトルが勃発。「M-1グランプリ2001」ファイナリストを書き出したり、「R-1ぐらんぷり」歴代王者全員の名前を書き出したり、ここでもお笑い好きにはたまらない問題で接戦を繰り広げるも、結局は圧倒的知識量を携えたテラシマニアックが二大会連続で王者に君臨することとなった。
リアルタイムで視聴しているときは「一時間でも足りない!」と感じたものだが、録画した番組を改めてチェックしてみると、純粋に物足りなさを感じた。恐らく、放送時間や問題数に対して回答者が多すぎたため、それぞれのお笑いに関する知識量に裏打ちされたお笑い愛のようなものを掴み切れなかったからだろう。この人数でやるのであれば、もっと長い時間で見せてもらいたい。だから、次回は是非とも、二時間特番で……。