白昼夢の視聴覚室

この世は仮の宿

2023年3月のリリース予定

08「ぺこぱ単独ライブ「E」〜be with you〜
22「インディアンス初DVD「インディアンス全国ツアー2022 おでこ全開ツアー~おでこパワーでご飯おかわり!~」
22「ななまがり&すゑひろがりず 地獄変全国ツアー「地獄巡り」
22「シソンヌライブ[onze]
29「ハリウッドザコシショウのものまね100連発ライブ!SEASON4

いつもお世話になっております。すが家です。

三月は年度末ということもあってか、ちょっとラインナップが充実しているような気がします。コレクター的にはちょっと懐具合がしんどいところではありますが、無理せず散在していきましょう(矛盾している)。

三月のトップバッターを務めるのはぺこぱ。2021年12月にリリースした『ぺこぱ単独ライブ「P」』以来、自身二度目の作品となります。ここ数年、単独ライブに力を入れている彼ら。今年はM-1ラストイヤーの年となるわけですが、もしかしたら出場も有り得るのでしょうか。

M-1では三度の決勝進出を果たしているインディアンスは、本作が初の単独作品となります。2022年に開催された全国ツアーの千秋楽、なんばグランド花月での公演を収録とのこと。ななまがりとすゑひろがりずによるユニット・地獄変による初作品は、こちらも全国ツアーの模様を収録したもの。選りすぐりの映像を二枚組にパッケージしているとのことです。……昨年十月にリリースされた『ななまがり単独ライブ「ななまつり二〇二二」』のときにも感じたことですが、よしもとミュージック内にななまがりの熱烈なファンがいるとしか思えませんね。強い。シソンヌはもはやお馴染みとなっている単独ライブ作品。昨年九月の公演を収録したもので、本作で11枚目の「シソンヌライブ」となります。KOC優勝から九年、その勢いがまだ止まりそうにありません。

勢いという意味では、こちらも無視できないハリウッドザコシショウ。お馴染みのものまね100連発ライブの映像に加えて、第七回となる「喚き-1 GP」、松本りんすを迎えた「BIG対談」、2020年9月12日に配信された「配信ザコシの珍棒JOCKEY」まるごと収録と、かなりボリューミーな特典映像が収められています。こりゃ大変だ!

明けて2023年4月は、シソンヌと仲の良いあのコンビが、およそ五年ぶりのライブDVDリリースです。

すが家しのぶ収集物目録(2005年5月~8月)

5/25 マジ☆ワラ vol.3 キングオブコメディ×田上よしえ×CUBE」
6/1 笑の大学
6/22 ザ・プラン9「THE PLANET9 Earth 見晴らしのええマンション~コントStyle~」
6/25 マジ☆ワラ vol.4 シャカ×マイケル×ザブングル
6/29 チョップリン凸劇場」
6/29 千原浩史「-詩- 05TOUR」
7/20 昭和のいる・こいる ヘーヘーホーホー40年!」
7/20 「MIDSUMMER CAROL ガマ王子vsザリガニ魔人
7/21 「松竹角座ライブ」
7/25 マジ☆ワラ vol.5 タイムマシーン3号×WAGE」
8/3 小林賢太郎プロデュース公演「Sweet7」
8/3 小林賢太郎プロデュース公演「LENS」
8/5 「流出!エレ片ライブ」
8/18 よゐこライヴ 蔵出しSUPER ~松~」
8/18 よゐこライヴ 蔵出しSUPER ~竹~」
8/18 ホーム・チームLIVE「4~Simple~」
8/25 マジ☆ワラ vol.6 東京ダイナマイト×ハレルヤ」

どうも、すが家しのぶです。

今回は2005年の春から夏にかけてのラインナップとなります。夏の長期休暇や賞与に期待が寄せられる時期ではありますが、不思議と全体的に渋い印象を受けますね。

チョップリンエレ片はこれが初の単独作品となります。エレ片西鉄ホールで開催された「エレキコミックwith片桐仁ライブ」という公演の模様を収録。エレ片オリジナルのコントではなく、それぞれの持ちネタを三人で演じていました。副音声コメンタリーがついているのもお得感。チョップリンはABC(朝日放送)で放送された映像を収録したもの。もともとVHSで限定発注されていた映像をDVD化しているので、ほんのりつくりがマニアックになっています。代表作『ティッシュ』や『鼻ホットドック』を見られるのが嬉しいところ。マニアックといえばよゐこライヴにもちょっと触れておきましょうかね。こちらはシュールな名作『新米美容部員』が収録されております。たくあんにしてぇー。

ザ・プラン9は、この時点で既に舞台公演のDVDをいくつかリリースしていましたが、当時の私は、フトコロ事情の都合でコント公演のみをチェックしていました。その後、ザ・プラン9は何作かコント公演をソフト化しているのですが、だんだんと舞台公演に登場したと思われるキャラクターをコント公演でも再利用することが多くなっていき、コント公演だけを見ていた身としては理解できない箇所が幾つかありましたね。そんなトリッキーな見方をする人なんて、そうはいなかっただろうな。数年後、レンタルビデオで『サークルS』(2004年リリース)を借りて、「ちゃんと舞台公演も押さえればよかったかもしれない!」と後悔することになるのですが(めちゃめちゃ面白かった)。

2005年9月~12月に続きます。

すが家しのぶ収集物目録(2005年1月~4月)

1/19 爆笑オンエアバトル エレキコミック
1/26 シティボーイズミックスPRESENTS「だめな人の前をメザシを持って移動中」
2/16 爆笑オンエアバトル 江戸むらさき
2/23 アンガールズ単独ライブ ~88~」
3/12 「ヒロシ会」
3/16 イッセー尾形ベストコレクション2004 コンプリートBOX
3/16 爆笑オンエアバトル スピードワゴン
3/18 「笑!X-KING ~厳選素材食べ放題!」
3/23 東京ダイナマイト「ユナイテッドステイツオブニッポン」
3/25 笑殺者 「ロックンロールコント集団 超新塾
3/25 笑殺者 タイムマシーン3号青春18キック」
3/25 「HANAKUSONS」
3/25 マジ☆ワラ Vol.1 インスタントジョンソン×火災報知器」
4/6 お笑いタイフーン 「アンタッチャブル~できませんはいいません~」
4/12 WAGE LIVE「白と黒」
4/20 小林賢太郎プロデュース公演「good day house」
4/20 小林賢太郎プロデュース公演「PAPER RUNNER」
4/25 マジ☆ワラ vol.2 アメリカザリガニ×チョップリン
4/27 2丁拳銃「銃響曲-SYMPHONY-」

どうも、すが家しのぶです。

2005年になりました。『M-1グランプリ2004』をアンタッチャブルが制し、『R-1ぐらんぷり2005』でほっしゃん。が優勝した時期になります。テレビ番組では、熊田曜子海江田純子が進行役を務めていた若手芸人番組『マジ☆ワラ』が、同年1月に放送を開始して3月に終了。番組の認知度はさほど高くないように感じますが、3月から8月にかけて全6巻の番組DVDがリリースされています。また昨年4月に放送を開始したコント番組『メンB』が3月に終了しています。私は見ていませんでしたが、2月にDVDがリリースされているあたり、それなりに人気を博していたようです。

この時期の見どころといえば、やはり“笑殺者シリーズ”の開始ではないでしょうか。ジェネオンエンタテインメントからリリースされた若手芸人DVDシリーズなんですが、アップフロント時代のタイムマシーン3号ナベプロ所属前の超新塾、五人組時代のカンカラ、トゥインクルでも珍しい漫才コンビだった南の風(風力3)ケイダッシュ所属前のハマカーンなど、この当時としてもけっこう珍しい面々を選抜しております。それだけ「若手芸人」の価値が高い時代だった、といえるのかもしれません。

その他、注目どころというと、エレキコミック江戸むらさきスピードワゴンというセレクトが味わい深い『爆笑オンエアバトル』第五シリーズ、キモカワイイで一世を風靡している真っ最中だったアンガールズの初単独ライブ、『笑いの金メダル』への出演をきっかけにネガティブなキャラクターがブレイクしていたヒロシの単独ライブ、前年の『M-1グランプリ』で決勝進出を果たした東京ダイナマイトの単独ライブ、あたりでしょうか。東京ダイナマイトはオフィス北野所属時代のもので、次長課長チョップリンのネタのカバーも収録されています(次長課長のネタは版権上の関係で大幅カットされていましたが)。あ、ちなみにシティボーイズミックス『だめな人の前をメザシを持って移動中』は、客演としてチョップリンが出演している公演です。暴言を吐いた小林さんに、大竹さんが「うるせえ松竹芸能!」と掴みかかる場面があった記憶がありますね(台詞の内容はちょっと違ったかも)。

あと、小林賢太郎が作・演出を手掛ける舞台シリーズ、“KKP”が初めてDVD化されたのもこの年。『good day house』は第一回公演、『PAPER RUNNER』は第三回公演となります。なんだその分け方は。『good day house』は出演者の犬飼若博氏の一人しゃべりで幕を開けるのですが、はっきりと「ここは笑いどころ!」と分かるくだりで観客からのリアクションがないところに、当時のラーメンズファンの戸惑いを感じます。面白いんですけどねえ……。

2005年5月~8月に続きます。

「R-1グランプリ2023」ファイナリスト決定!

Yes!アキト(2回目)
【初】カベポスター 永見
【初】コットン きょん
サツマカワRPG(2回目)
【初】田津原理音
寺田寛明(3回目)
【初】ラパルフェ 都留
 +敗者復活

今年も「R-1グランプリ」の季節がやってまいりました。

R-1といえば、昨年は優勝したお見送り芸人しんいちと二位のZAZYによるバトルが勃発し、最終的には、何故か二人が「ストレス」というコンビを結成してM-1に出場し、三回戦で敗退するという意味の分からない事態に発展していましたね。曲がりなりにも全国放送される賞レースの優勝者と二位がコンビを結成したのですから、せめて準々決勝には進んでもらいたかったところですが、大会の看板というものをどのように考えているのでしょうか。いや別にええねんけども。

とはいえ、ナンダカンダで世間の注目を集めた二人のバトルによって、R-1という大会にも良かれ悪かれ泊が付いたのではないか?と思っていたところに投げ込まれた、『M-1グランプリ2022』でのウエストランドの漫才における「R-1には夢がない」発言。一部の界隈でちょこっと炎上していましたが、私個人の見解としては、あの発言そのものよりも、あの発言で観客が大爆笑しているぐらいには、お笑いファンはR-1という大会に対して思うところがあるのだということの方を考えてもらいたいところであります。夢云々もそうだけど、ルール改変直後のおいでやす小田への扱いとか、敢えて表に出さないだけで、未だに根に持っているお笑いファンはめちゃめちゃいるんじゃないか。

それはそれとして今年のR-1の話ですが、昨年に比べて、コンビ芸人の片割れが一気に増えたように思えます。前年大会は「金の国」の渡部おにぎり、前々年大会は「かが屋」の賀屋だけだったのに、今大会では「カベポスター」の永見、「コットン」のきょん、「ラパルフェ」の都留と、一気に三人も増やしてきました。純粋に準決勝で良い結果を残した人たちだけを引き上げたのかもしれませんが、他の賞レースのファイナリストやバラエティで話題の若手が集められている感じがして、ちょっとだけイヤな目で見てしまいます。もちろん、面白ければ何も問題はないのですが、やっぱりピン芸の大会でピン芸人じゃない人が出てくるのって、ちょっとだけ引っ掛かってしまうんですよね。もっとも、その反動から、「おいでやすこが」「最高の人間」「ぶるファー吉岡」みたいなコンビが生まれているので、そこに物申すのはもはや時代遅れなのかもしれませんが。

ファイナリスト経験者は、Yes!アキト、サツマカワRPG、寺田寛明の三人。個人的にはサツマカワRPGの動向が気になるところです。普段はギャガーとして活躍している彼ですが、昨年のR-1では純然たるコントを披露。放課後の甘酸っぱいシチュエーションからナンセンスな言葉のグルーヴを生み出す姿に、大笑いさせられた記憶があります。今年はどちらのスタイルで魅せてくれるのでしょうか。唯一、今大会が初の決勝進出となるピン芸人、田津原理音も気になるところです。歴代優勝者である、ゆりやんレトリィバァ濱田祐太郎と同期だそうですよ。

これら七人のファイナリストに加え、準決勝で敗退した中から一人が敗者復活となります。顔ぶれを見ると、ファイナリスト経験者の「森本サイダー」、既に売れっ子の「蛙亭イワクラ」「エルフ荒川」「シモタ(元コウテイ)」「誠(ヨネダ2000)」、若手注目の「赤木裕(たくろう)」「ケビンス山口コンボイ」「こたけ正義感」「ソマオ・ミートボール」「たかのピエロ(きしたかの)」など、どこが勝ち上がってもおかしくないメンバーとなっております。果たして、最後の一枠を掴み取るのは誰なのか。

色んな意味で注目の『R-1グランプリ2023』決勝戦は3月4日に放送予定。続けて、M-1王者であるウエストランドも出演する、「ENGEIグランドスラム」も放送される予定です。……賞レースの後にネタ特番って、なんか大会が前座みたいな扱いにされてません?

すが家しのぶ収集物目録(2004年9月~12月)

9/22 「monomania《偏執狂》 ~長井秀和 単独ライブ~」
9/23 劇団ひとり「都会のナポレオン」
9/29 2丁拳銃百式2004」
9/29 「カメレオンズ・リップ」
9/30 笑笑 気合連発おもいきり腹痛亭 第一巻
10/20 ホーム・チームLIVE「3~CHALLENGE~」
10/20 スピードワゴン DVD-BOX
10/21 「epoch conte square 宇田川フリーコースターズ
10/29 笑笑 気合連発おもいきり腹痛亭 第二巻
10/29 笑笑 気合連発おもいきり腹痛亭 第三巻
11/5 つぶやきシロー「だいぃ~ん」×「うそぉ~ん」
11/5 つぶやきシロー「こたつ LIVE BEST」
11/5 アリtoキリギリスアリtoキリギリス ライブ」「素晴らしいライブ」
11/5 アリtoキリギリスのコント inサザンシアター」
11/25 麒麟「キリン!キリン!キリン!」
11/26 bananaman live Elephant pure
12/1 おぎやはぎ BEST LIVE「JACK POT」
12/1 江戸むらさきショート・コント集「B.M.W ~BEST MEETS WORST~」
12/15 ラーメンズ DVD-BOX
12/22 ダイノジ芸人生活10周年記念ベストコントライブ「KING OF LIVE」
12/22 チャイルドマシーン単独ライブ「ぜろ」
12/22 「LIVE!チクる JAPAN TOUR 2004」

どうも、すが家しのぶです。

この時期から、ホリプロコムのリリースが活発になってきました。ライブ芸人の筆頭だったバナナマンに加え、M-1ファイナリストに勝ち上がって漫才師としての認知度を上げていたスピードワゴン、ショートコントの名手として学園祭キングの座に輝いた江戸むらさき、『笑いの金メダル』への出演をきっかけに漫談家として再評価され始めていたつぶやきシロー、事務所を代表する中堅コント師アリtoキリギリスなどなど。明けて2005年には、ななめ45°やダブルブッキングのDVDもリリースされ、芸人の事務所として全盛を迎えていたように思います。そう考えると、今の閑散とした状態は、ちょっと寂しいですね(きつねもDVDを出せばいいのに!)。

個人的に思い入れがあるのは、『おぎやはぎBEST LIVE「JACK POT」』ですね。収録されているコントはけっこうクセが強めで好き嫌いの分かれるところだと思うのですが、おぎやはぎドランクドラゴンアルファルファ(現・東京03)によるユニット“東京ヌード”のコント再演、通常のライブ映像と定点カメラ映像を切り替えられるマルチアングル、出演者による副音声コメンタリーと、芸人のDVDに求められている要素を全て搭載している密度の高さは無視できません。マルチアングルをちゃんと駆使している芸人のDVD作品って、マジで本作だけなんじゃないかしら。

この他、目立つところでいえば、劇団ひとりのコントのキャラクターに密着したフェイクドキュメンタリー『都会のナポレオン』、バナナマンおぎやはぎによるユニットコントライブを収録した『epoch conte square 宇田川フリーコースターズ』、ラーメンズによる第11回公演から第14回公演までのDVDをまとめた『ラーメンズ DVD-BOX』あたりでしょうか。あ、あと、長井秀和の単独ライブが、後にコンテンツリーグの発売元となるビクターからリリースされたところにも、歴史的なものを感じさせられますね。

2005年に続きます。

「東京ホテイソン 第1回単独公演「洒落柿」」(2022年12月14日)

2022年5月から6月にかけて開催された全国6ヶ所を巡るライブツアーより、6月5日に行われた大阪・朝日生命ホールでの最終公演を収録。作家にポテンシャル聡。

東京ホテイソンは、鹿児島県出身のショーゴ岡山県出身のたけるによって2015年に結成された。コンビ名は七福神布袋尊に由来している。所属事務所は、サンドウィッチマンを筆頭に、カミナリ、ランジャタイ、ロケット団などといった、個性豊かな漫才師が多く所属しているグレープカンパニー。『M-1グランプリ2017』準決勝戦進出をきっかけに注目を集めるようになり、『M-1グランプリ2020』で初の決勝進出を果たしている。本作は、そんな二人にとって、初めてのライブ映像作品である。

東京ホテイソンの漫才は問答のスタイルを採用している。初見では理解しがたいショーゴの不可解なボケが“問”、その意図を瞬時に汲み取って独特な表現で昇華するたけるのツッコミが“答”、それぞれの役割を果たしている。疑問を提示して回答で笑いを取る彼らの手法は、「○○とかけて△△と解く、その心は?」という言い回しで知られる“なぞかけ”に近いものであるといえるのかもしれない。

ただし、多くの観客を納得させられる正解を提示する“なぞかけ”に対し、東京ホテイソンの漫才の場合、その多くはショーゴのボケを明示化する構図を採用している。例えば、M-1決勝のステージで披露された『謎解き』というネタを見ると、ショーゴ「「たらこ」と「カバ」は「宝箱」になります。じゃあ「新幹線」と「アルゼンチン」は何になる?」という問題を出し、「シアトルマリナーズと正解を提示した上で解説を始める。当初、ショーゴの言い分を鵜呑みにしていたたけるだが、やがてその間違いに気付き、問題が導き出している本来の正解が「いーや!シアンルカゼンンーセチン!」であると指摘する。この時、偶発的に生じる不条理なワードが、大きな笑いへと繋げられていく。思うに、彼らの真の目的は、たけるに妙なワードを言わせるところに徹底していて、ショーゴが掲げるテーマや不可解なボケは、その可笑しみを自然に打ち出すためのフリに過ぎないのだろう。

本作でも、同様のシステムを駆使したネタが、数多く演じられている。ショーゴがパソコンで打ち間違えているローマ字に妙な共通点が見いだされる『ローマ字』、昼休みにやることがない二人の学生がスマホの機能を駆使して「逆再生したらちゃんとした言葉に聞こえるように録音する」遊びを始めるコント『学校の昼休み』、有名映画を表している言葉をショーゴが海外の実況風に読み上げ、何の映画作品なのかをたけるが当てようと奮闘する『海外の実況』……などなど。いずれのネタも、東京ホテイソンならではの手法の笑いに満ち溢れている。彼らのネタが好きな人間ならば、文句なしに楽しめることだろう。ただ、逆にいえば、東京ホテイソンというコンビのネタからイメージされる面白さからはさほど脱却しておらず、意外性には欠ける。単独ライブという独壇場なのだから、もうちょっと羽目を外した笑いを組み込んでも良かったのではないか、という気がしないでもない。もっとも、まだ第一回公演なのだからという理由で、しっかりと客の期待に応えた公演にしたかったのかもしれない。今後の展開に期待したいところ。

その意味では、従来の東京ホテイソンの芸風にヘンテコな要素を組み込んでいき、やがて「ぺこぱ」「キュウ」「トム・ブラウン」などの他芸人のスタイルを取り込んでいくショートコント『○○ホテイソン』が、本編では一番印象に残っている。従来の東京ホテイソンの芸風ではなく、その芸風を下地にパロディを展開する様子が、お笑い好きのアミューズメントパークといったような雰囲気でとても楽しい。単独ライブならではの遊び心溢れるパフォーマンスといえるだろう。

これらの本編映像に加えて、特典として、東京公演で披露されたバージョンの「コント『取り調べ』」を二人が振り返る映像副音声を収録。ツアーの序盤だったこともあり、普段は漫才を演じている二人のコント演技の方針が明確な答えが出されていなかった段階でのネタを見ながら、二人で反省している模様が収められている。実際に舞台に立っているときには気付かなかったミスについて触れている二人の姿に、客観的な視点を持つことの大切さを知ることが出来る……かもしれない。

・本編【90分】
「オープニング」「漫才「歴史」」「VTR:対義語」「漫才「ローマ字」」「VTR:画伯ショーゴの絵を見て何のアニメか当てろ」「コント「学校の昼休み」」「VTR:思い出の地を巡ろう」「ショートコント「○○ホテイソン」」「VTR:犬」「コント「取り調べ」」「VTR:グッズ紹介」「漫才「海外の実況」」「VTR:恋愛シミュレーション」「漫才「九九」」「エンドロール」

・特典映像【12分】
「映像副音声:コント「取り調べ」」

すが家しのぶ収集物目録(2004年1月~8月)

1/7 東京腸捻転 第11回公演~THE WINTER TERRORISM!!~」
1/21 バナナマンおぎやはぎ「epoch TV square Vol.1」
1/21 バナナマンおぎやはぎ「epoch TV square Vol.2」
1/21 バナナマンおぎやはぎ「epoch TV square Vol.3」
1/28 ダイノジ「俺道」
2/25 千原浩史×千原靖史×渡辺鐘「プロペラを止めた、僕の声を聞くために。」
2/25 ドランクドラゴン「火の位」
3/10 「バカバク×ブートレグ Vol.2」
3/17 「さまぁ~ずライブ4」
4/21 爆笑オンエアバトル アンタッチャブル
4/21 「バカバク×ブートレグ Vol.3」
5/19 爆笑オンエアバトル パペットマペット
5/19 東京腸捻転 第12回公演~春宵一刻~」
5/26 千原浩史「囚 040229」
6/16 よゐこライヴ① 蔵出し」
6/16 よゐこライヴ② 蔵出し」
6/16 爆笑オンエアバトル 長井秀和
6/23 笑ビ!「田上よしえ ~アローン~」
7/22 笑ビ!「バカリズム ~フルーツ~」
7/28 インパルス「球根」
8/4 笑ビ!「アンガールズ ~ナタリー~」
8/11 陣内智則「NETAJIN」
8/18 小堺一幾&柳沢慎吾LIVE「ライブマン★コミック君!! テレビくん登場の巻」
8/25 完売劇場 presents 秘宝闇商人 長井秀和

どうも、すが家しのぶです。

2004年はゼロ年代のお笑いブームにおいて、最初のピークを迎えた年といえるでしょう。この年、ネタ対抗型バラエティ番組『笑いの金メダル』の放送が始まり、『M-1グランプリ2003』の敗者復活戦を勝ち上がったアンタッチャブルが売れっ子への道を駆け上がり、長井秀和青木さやかだいたひかるなどのピン芸人たちが飛躍しました。あと、この年の年末に開催された『M-1グランプリ2004』敗者復活戦において、当時はまだNSC生だったオリエンタルラジオが『武勇伝』を披露し、とんでもない衝撃を起こしています。ああ、懐かしい。

そんな2004年のラインナップですが、これもまた非常に時代を感じさせるものになっていますね。ダイノジドランクドラゴン・インパルス・陣内智則の単独ライブ、爆笑オンエアバトルシリーズの第四弾としてアンタッチャブルパペットマペット長井秀和、記録用に撮影されていたよゐこのベストコントライブをリリースした『蔵出し』……。良いですねえ。『ダンボくん』が広く知られている『プロペラを止めた、僕の声を聞くために。』が発売されたのも、この年です。後に“世界のナベアツ”として一躍人気者に、現在は落語家“桂三度”として活動している、渡辺鐘の名前に隔世の感を覚えます。

個人的に注目してもらいたいのは、2002年以来のリリースとなる“笑ビ!シリーズ”ですね。田上よしえバカリズムアンガールズ……というラインナップ、今の視点で見ると「田上さん、懐かしいな」ぐらいの感想に留まるところなのかもしれませんが、これが2004年リリースというところに着目してもらいたいんですよね。この時のバカリズムはピンではなくコンビでしたし、アンガールズは『バク天!』のミニコーナーで注目され始めたころでプロデビュー二年目の超若手でした。この時点で、この二組をフィーチャーした見どころの良さ、今となってはたまらないものがあります。

あと、お笑いフリーク的に見逃せないのは、おぎやはぎバナナマンによるシットコム『epoch TV square』ですね。日村が住んでいるマンションの一室を舞台に、居候の設楽、一時的に同居している矢作、風呂を借りにやってくる小木が、毎回騒動を巻き起こすドタバタコメディ。毎回、同じ簡素なアパートの一室を舞台にしているのに、常に新鮮な面白さを提供してくれていて、当時の私は「こんなに面白いシットコムを若手芸人が表現できるのか!」と衝撃を受けた記憶があります。

ただ、笑いの度合いと幅広さという意味では、『小堺一幾&柳沢慎吾LIVE「ライブマン★コミック君!! テレビくん登場の巻」』が圧倒的。小堺一幾が進行役となって、柳沢慎吾がバラエティ番組でチラ見させているパフォーマンスを、存分に演じてもらっているライブなんですが、その表現力の高さに改めて驚かされます。長い芸能生活で培われてきたエピソードトークの精度も高く、止め処無く笑い続けられる作品となっております。名優・若山富三郎とのエピソードトークは何度観ても面白い……。

あ、そういえば、2003年の段階で“東京腸捻転”について触れてませんでしたね。東京腸捻転テレビ朝日で放送されていた深夜番組『完売劇場』のレギュラーメンバーを中心に行われていたライブです。当時のレギュラーは「ホーム・チーム」「シャカ」「ドランクドラゴン」「劇団ひとり」「田上よしえ」。今となってはちょっと貴重なメンバーですよね。この時期、東京腸捻転のDVDはかなりの枚数が世に送り出されていて、最初はリリースされるたびに購入していたのですが、予算が足りなくなってしまって、いつしか買わなくなってしまいました。でも、けっこう貴重なネタが収録されていることを思うと(後に解散してしまうホーム・チームやシャカのネタは、今ではなかなか見られない)、今からでも集め直した方が良いのかもしれません。

2004年後半に続く。

2023年2月のリリース予定

03「bananaman live H
22「ナイツ独演会 それだけでもウキウキします
22「2022年度版 漫才 爆笑問題のツーショット
22「ベストのや団

すが家です。二月のリリースラインナップを紹介します。

まずはファン待望、バナナマンの単独ライブ。こちらは三年ぶりのパッケージ化となります。今回のオープニングテーマはchelmicoが担当。アゲアゲなテンションが期待されます。ナイツは2008年以来、15年連続のDVDリリース。花も嵐もコロナ禍も踏み越えた、なかなかにとんでもない記録ですね。特典映像に漫才協会オールキャストドラマ「漫才協会 そうさ副会長」を収録。……オールキャスト? 爆笑問題は年に一度の長尺漫才シリーズ「爆笑問題のツーショット」最新作。本作で第18弾となります。や団は自身初の単独作品。『キングオブコント2022』決勝の舞台で披露した『バーベキュー』『雨』を含めたベストネタを収録予定。特典映像として、バイきんぐ西村が手掛けたユニットコント『盲腸』も。少ないながらも濃密なラインナップをお楽しみください。

明けて三月は、下北沢でおでこ全開!時を戻して地獄巡りだ!肌寒ぃでござーますねぇー!