白昼夢の視聴覚室

この世は仮の宿

東京の何も起こらない記録(2024年2月19日)

こちらの記事の続きです。

午前8時45分、起床。カプセルに備わっているアラーム機能で午前8時に設定していたのだが、音にまったく気が付かなかった。アルコールの力おそるべし。午前10時にはホテルを出なくてはならない決まりになっているので、慌てて身支度を済ませる。人と会う予定もないから、髭剃りもテキトーである。

午前9時40分にチェックアウト。そのまま近くの富士そばに飛び込んで、朝食を済ませる。紅生姜天そば570円。紅生姜の酸味と天ぷらの油分が独自の風味を生み出していて、「美味しい」というよりも「なんだこれは」という感想を抱かせる。不味いわけではない。決して、不味いわけではない。

午前10時、京成上野駅のコインロッカーに、衣服類を入れた大きめの荷物を預ける。身軽になったところで、残り僅かな時間を駆使して東京を楽しもう……などと楽観的に考えていたのだが、もはやこれといって特に行きたい場所がなかったことに気が付く。余計な荷物を増やしたくはないので買い物には行きたくないし、美術館や博物館の展示にも興味が惹かれない。どうしたものだろうか……と、しばらく上野公園で途方に暮れる。

ひとまず上野駅の中をうろうろしていると、アトレでオシャレなデザインの焼き菓子を見つけたので、お土産に購入する。「青山散歩」という名で、それなりに高値である。擬人化された犬が優雅に出掛けているかのようなイラストに惹かれた(帰宅して食べてみたら、ねっとりとした濃厚な味わいで驚いた)。

買い物を終え、上野駅の外へ出て行こうとすると、そこそこ強めの雨が降っていて、完全に気持ちが折れる。とっとと成田空港に向かってしまおう。京成上野駅でスカイライナーのチケットを購入し、午前11時20分発に乗り込む。正午、空港第2ビルに到着。ジェットスターの搭乗口がある空港第3ビルへと移動し、自宅や実家や会社へのお土産を購入する。大人になるということは、お土産に気を使うということだ。それは転じて、人は一人では生きていけない、人は人とともに生きることしかできない、ということでもある。いや、本当に。買い物を終えたところで、フードコート用のカウンター席に座り、昨日に肉の万世で購入していたカツサンドを食べる。消費期限を過ぎていたためか、肉厚さは感じられたものの、さほどジューシーには思えなかった。

午後1時半、保安検査場を通過。午後2時、飛行機に搭乗。午後2時15分、離陸。Spotifyザ・ビートルズ『LOVE』を聴きながら、Kindle平方イコルスン『ふたりで木々を』を読みながら、過ごす。平方イコルスンの漫画は年を重ねるごとにどんどん不穏になっている気がする。フィクションの不穏は好きだ。死人が出ても遺族に思いを馳せることはないから。

午後4時ごろ、高松空港に到着。久方ぶりの愛車に乗り込み、有料駐車場を出る。3,000円。時期によって変動するようだが、これが駐車料金の最高値らしい。そろそろ夕飯の時刻を迎えるころだったので、香川県内で展開する寿司チェーン店「ここも」に立ち寄り、寿司を食う。故郷で心落ち着かせながら食べる寿司はやはり美味い。

食後、自宅に向けて出発。午後6時帰宅。お疲れさまでした。また5年後!