白昼夢の視聴覚室

この世は仮の宿

「新春!お笑い名人寄席」(2024年1月2日)

OP:テツandトモ「なんでだろう」
新宿カウボーイ「相撲」
U字工事「栃木検定クイズ」
錦鯉「建もの探訪
ぺこぱ「原点回帰」
サンドウィッチマン「警察24時・母からの手紙」
ナイツ「自己紹介・志村」

【サンド軍vsナイツ軍 爆笑ネタバトル】
サンド軍:東京ホテイソン「遠足」
ナイツ軍:ウエストランド「あるなしクイズ」
ナイツ軍:三四郎「ラーメン屋」
サンド軍:わらふぢなるお「電車マナーの悪い人」
サンド軍:マギー司郎&あの「マジックコラボ」
ナイツ軍:おぼん・こぼん×ダチョウ倶楽部
ナイツ軍:ロケット団×鈴木奈々「四字熟語」
サンド軍:お見送り芸人しんいち「ぼくの好きなもの」

大喜利対決】
サンド軍:富澤、あの、森
ナイツ軍:塙、足立、鈴木

【レジェンド芸人】
ケーシー高峰(35年前の秘蔵映像)

【高座まであと3歩】(30秒ショートネタ)
ナイチンゲールダンス「ピー」
シティホテル3号室「クレーマー」

林家三平「小噺」
春風亭小朝「小噺」
爆笑問題「2023年の出来事(新型コロナウィルスの流行、O-157、ぐちゃぐちゃのクリスマスケーキ、2024年問題、コンプライアンス、〇〇系彼女、旧統一教会)」

司会者は東貴博(Take2)と中根舞美(テレビ東京アナウンサー)。ゲストに足立梨花、あの、一ノ瀬ワタル、鈴木奈々貴景勝貴信、常盤山太一、森日菜美。浅草演芸ホールにて収録。

基本的な構成は例年通り。テツandトモのパフォーマンスに始まり、実力派の東京漫才師たちによるネタ披露、サンドウィッチマンとナイツによる謎のバトルコーナー、ゲストとのユニット演芸……。地味に改変されていたのは大喜利コーナー。これまでは春風亭小朝師匠の司会による「美人大喜利」が行われていたが、今年はサンド軍とナイツ軍による戦いの延長として開催。正月の呑気な演芸特番でも、アップデートされているのだなあと少しばかり感心させられた。もはやおなじみとなっているケーシー高峰の秘蔵映像も、35年前の非常に古い番組のものが公開されていて、その芸の上手さを再認識。ていうか、こんなに何度もケーシー高峰の映像を流すのなら、いっそ30分くらいケーシー高峰の漫談を流し続ける時間があっても良いような気がしないでもない。一方、残念だったのは、しばらく出演し続けていた神田伯山の不在。漫才も良いのだが、そればっかりになってしまうのは違う気がする。あと、新たに設けられた若手芸人のショートネタコーナー、独立したコーナーとして敢行するには組数があまりにも少なすぎ。最低5組は欲しいところ。

ネタで印象に残っているのは、今年も大トリを飾った爆笑問題。新型コロナウィルスの流行について、かなりしっかりと時間をかけて説明しながら当時の緊張感を思い返させる漫才に、彼らの「芸人として現実に対抗する笑いを送り出すこと」の信条を感じさせられた。コンプライアンスのくだりで、NHKにチクッと嫌味を言っているかのようなボケも見事だった。実は正月のめでたい雰囲気の中だからこそ、毒を強めた本領を発揮できるコンビなのかもしれない。対して、自分たちのギャグを消費するネタで乗り切っていてぺこぱは、もうちょっとなんとかならんかったのか。あまりにも風潮に流され過ぎてはしないか。

総じて、ちょっと演芸番組としての基軸から外れかけているような気がしたので、ちょっと気を付けてもらいたい。なんというか、演芸場ならではの雰囲気が、少しずつ削られて始めいるような気がしたので……。