白昼夢の視聴覚室

この世は仮の宿

2021年1月の入荷予定

0122「となりのシムラ
0122「ロッチ単独ライブ「銀座ロッチ」

どうも、すが家しのぶです。有難いことに原稿依頼が続いておりまして、実生活もブログ更新も後回しに原稿作業に追われている毎日を過ごしております。とはいえ、これは私の実力によるものというよりも、ただ単にM-1の影響力増加に伴い、お笑い関係の記事の需要が高まっているだけなのだろうと思っております。不景気と反比例して膨らんでいくM-1バブル、いつハジケてしまうのでしょうか。ドキドキしますね。なるべくハジケずに長続きしてもらいたいものですが。

対して、お笑いのDVDリリース状況はと申しますと、こちらはなにやら寂しいことになっています。新型コロナウィルスの流行に伴い、芸人さんのライブやイベントがことごとく中止になってしまった今年。映像の素材がなければリリースされるDVDもないわけで、これはもう致し方の無いことなのですけれども。とはいえ、東京03やシソンヌらのように、万全を期してライブを敢行した芸人さんも少なからず存在します。彼らのソフトがリリースされるのを待つばかりであります。

ロッチもそんな芸人の一組といえるでしょう。22日にリリースされる『銀座ロッチ』は、今年10月に行われた単独ライブの模様を収録したものです。オール新作コントを銘打っておりますが、近年の彼らの代表作『試着室』の2020年バージョンも披露されたとのことで、一体どのような変化が加えられているのか、今から楽しみでなりません。副音声コメンタリーも付いているそうですよ。ちなみに、代表作を再演して収録したベスト盤ではない、ロッチの単独ライブがソフト化されるのは、2013年4月にリリースされた『ロッチ単独ライブ「♡」(ハート)』以来、およそ八年ぶり。

同じく22日にリリースされる『となりのシムラ』は、2014年から2016年にかけて全六回に渡りNHKで放送されたコント番組『となりのシムラ』を完全収録したものです。様々なキャラクターを演じてきた志村けんが、何処にでもいるような普通のおじさんになってコントを演じています。ゲスト俳優陣も、片平なぎさ西田敏行石野真子小林聡美と豪華メンバーが勢ぞろい。特に第五回放送はドリフのメンバーである高木ブーが出演し、大きな話題となりました。今年3月に亡くなられた日本の喜劇王による熟練の笑い、是非ご覧ください。なお、特典として、『スタジオパークからこんにちは』でのインタビューの模様が収録されるそうです。

今年もいよいよ終わりが見えてきました。来年はどうなるか分かったものではありませんが、今よりもきっと素晴らしい一年になることを願っております。いざ行け、遥か希望の丘を越えて

「M-1グランプリ2020」優勝者決定!

1.【敗者復活】インディアンス(625点)
2.東京ホテイソン(617点)
3.ニューヨーク(642点)
4.見取り図(648点/2票)
5.おいでやすこが(658点/2票)
6.マヂカルラブリー(649点/3票)
7.オズワルド(642点)
8.アキナ(622点)
9.錦鯉(643点)
10.ウエストランド(622点)

どうも、すが家しのぶです。今年の『M-1グランプリ』も面白かったですね。感覚的には楽しかったというべきなのかもしれませんね。多種多様なスタイルの漫才師が一斉に極上のネタを披露してくれるわけですから、これはもはや漫才の一大テーマパークといっても過言ではありません。……そうでもないですかね。一夜明けて、まだまだテンションが上がりきっている状態なもので、どうも冷静なテキストを書ける状態ではないのです。ご容赦頂きたい。

どのコンビも大変に面白かったですが、アキナウエストランドはちょっとリズムをつかみ切れてなかったように感じられたのが少し残念でしたね。本来、もっと面白いし、もっとウケるタイプの漫才師だと思いますので。来年以降の活躍に期待したいところです。逆に、リズムは掴めていたのに、順番の影響で点数が伸びなかったインディアンス東京ホテイソン、こちらも来年のリベンジに期待したいところ(インディアンスに関しては、前回大会での漫才がイマイチだったので、むしろ雪辱を果たしたといえるのかも)。雪辱といえばニューヨーク、今回はちゃんと松本人志に評価されて良かったですねえ。ネタも彼らの性格の悪さが滲み出たもので最高でした。

ちゃんと面白いネタをやったのに、なんだかややこしい宿題を提出されてしまったオズワルドもご苦労様でした。審査結果がけっこう割れてしまっていたので、そこをどのように修正するかが今後の課題なのかもしれません。ああややこしい。同じく点数が割れた錦鯉、ネタをブラッシュアップすれば更に高みを目指せそうな気もしますが、変わらない良さを守ってほしいような気もします。難しいところですよねえ。

おいでやすこが、マヂカルラブリー、見取り図の三組については、またそのうちに。

ちなみに。毎年やっているM-1の感想文ですが、今回は次号の『読む余熱』の方で書くことになると思いますので、ブログでの公開はありません。たぶん。きっと。無いんじゃないかな。分からないですけど。まあ、もし良かったら、『読む余熱』をご購読いただけると幸いです。

あと、もはや需要はないかもしれませんが、QJ Webさんに記事が掲載されましたので、こちらもよろしくお願いします。

ではでは。

「M-1グランプリ2020」準々決勝敗退者で面白かった人たち。

どうも、すが家しのぶです。

今年も例年通り、『M-1グランプリ』の準々決勝戦で惜しくも敗退した芸人たちの中から、面白そうなところをピックアップして紹介する記事を書こうと思っていたのですが、『読む余熱』配信以後、原稿依頼がいくつか舞い込んできまして、多忙であります(うれしい悲鳴をあげている)。というわけで、ちょっといつものようにじっくり紹介する時間がなさそうなので、今年はサクッと触れていきたいと思います。

ちなみに、準々決勝戦の配信動画はネタ順に視聴しました。準決勝進出者のネタは配信されていないので、そちらについて触れることはありません。

 

大阪・東京の予選を通して、一番インパクトがあったのはドンデコルテ


「おっぱいとおしり、どっちが好き?」という品の無いテーマに対し、超がつくほど実直に「おっぱいが好きな理由」「おしりが好きな理由」を熱弁する姿が、たまらなく笑えました。傾向としては、チュートリアルさや香に近いと思うのですが、熱量は先の二組に決して劣らないものではないかと。このコンビは、いずれ確実に決勝進出を決めるだろうと思っているのですが、その気持ちがより確信に近付きました。(2019年結成/吉本興業所属)

 

ネタのクオリティはそこまででもないけど、妙に印象に残っているのが隣人


貧しい老夫婦が拾ったテレビ用のゴツいカメラを使ってグルメレポーターのフリをして定食屋でタダ飯を食おうとする……と、設定はかなりハチャメチャですし、漫才にしては動きがアクロバット過ぎるんですが、「そうなろうとしていないけれど結果的にそうなってしまった状態」の作り方が絶妙で、なんだか記憶に残ります。普段はコントをやっているらしいですよ。(2013年結成/吉本興業所属)

 

妙に記憶に残る、という意味ではなにわスワンキーズも凄かった。


「みどりのおじさんになりたい」という設定の異様さもさることながら、そんなおじさんと対面する小学生を演じる二人が絶妙ですよね。特に、立ち位置左のガタイがやけに良いこじまラテがちょっとマセた話し方の小学生そのもので、バチッと脳味噌に突き刺さります。当然のことながら、ネタも面白いです。リズミカルな会話と同じようなやり取りの繰り返しがグルーヴ感を生み出しています。(2013年結成/吉本興業所属)

 

なんとなく評判を小耳に挟んで、実際にメチャメチャ面白かったのはカナメストーン


以前はもっとダウナーなボケにツッコミが引っ張られている印象があったのですが、今回のネタではツッコミのキャラクターも濃厚に。結果、バランスが丁度良くなって、よくよく見ると不気味なのにキャッチーな漫才へと昇華されております。「なぁ~にが手でやったM-1だぁ~!?」のくだり、最高でしたねえ。(2010年結成/マセキ芸能社所属)

 

最後に、久しぶりに観て、やっぱスゴいなーっと思ったスリムクラブ


伝説の『M-1グランプリ2010』から十年、当時も今も変わることなく維持され続けているスリムクラブの世界、やっぱりたまらないものがありますね。静寂がもたらすサスペンスのような緊張感、それを破壊する絶対に的中するキラーワードの数々。おならのくだりなんか、意味分からなさすぎて最高でしたね。「猫は生きている……!」。(2005年結成/吉本興業所属)

 

以下、準々決勝戦のネタの記録になります。 

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「M-1グランプリ2020」ファイナリスト決定!

アキナ(2012年結成)
マヂカルラブリー(2007年結成)
見取り図(2007年結成)
【初】錦鯉(2012年結成)
ニューヨーク(2010年結成)
【初】おいでやすこが(2019年結成)
オズワルド(2014年結成)
【初】東京ホテイソン(2015年結成)
【初】ウエストランド(2008年結成)

とにかくウエストランドである。ウエストランドしか見えない。

正直、錦鯉や東京ホテイソンは、その芸風や過去の予選での評価から、遠くない未来に決勝進出を決めるだろうと思っていた。だが、ウエストランドの場合は、まったく事情が違っている。非モテの妬み嫉み僻みに端を発した怒りの笑いは、どうしても見る人間を選んでしまう。ターゲットが狭まってしまう。それでも、いつか決勝に行ける日が来るのではないだろうか……と思っているうちに、気付けば幾年月が経過してしまい、その期待の感情も何処かに消えてしまった。仕方のない話である。M-1の場でこの芸風が受け入れられるのならば、とっくの昔に決勝進出を果たしていた筈なのだ。それがまさかまさかの決勝進出である。夢にも思わなかった光景である。

本来ならば、ピン芸人同士のユニットであるおいでやすこがの決勝進出、変化球スタイルの漫才師であるマヂカルラブリーの返り咲き、ぺこぱ・からし蓮根のまさかの敗退など、もっと語るべきところがあるはずなのだが、タイタン贔屓の私としては、もうウエストランドのことしか見えないのである。これで敗者復活をキュウが制したら、もう喜びのあまりにショック死してしまうかもしれない。生きるけど。

今はただ、ウエストランドの漫才がゴールデンタイムで放送され、そしてきっと物議を醸すことになるだろうことを想像しながら、当日を楽しみにするばかりである。おめでとう!

元凶。

小林賢太郎が引退である。

あくまでも出演者として引退するだけで、裏方としての活動は今後も続けていくそうだ。なるほど、それならば……と、容易に受け入れるのは難しい。何故ならば、私が愛した小林賢太郎のコント世界において、パフォーマーとしての小林賢太郎の存在は決して欠かせないものだったからだ。今後、それを見ることは出来なくなってしまうのかと思うと、ただただ寂しくて仕方がない。ラーメンズの復活、カジャラの最新公演、それらに対する期待が泡となって消えてしまったことも哀しいが、なにより、小林賢太郎という稀有なパフォーマーが舞台に立つことを止めてしまったことが、とにかく寂しい。あの控え目な態度で目立ちたがりな男を舞台で見ることは出来ないのか……。

今の私がいるのは、間違いなく小林賢太郎の存在があったからだ。学生時代、ラーメンズにドはまりして、単独公演のDVDをかき集めようとしなければ、芸人DVD収集を趣味にすることはなかっただろう。芸人DVD収集を趣味にしなければ、それらのレビューを書くブログも始めなかっただろう。ブログを始めなければ、ゴシップ誌やフリーペーパー、電子雑誌でコラムを手掛けることもなかっただろう。故に、小林賢太郎は、今の私を作り上げた元凶である。その元凶が居なくなってしまうというのは、なにやら故郷が無くなってしまうような感覚である。

とはいえ、演劇公演においても、裏方に回っていた筈なのに、いつの間にか表舞台で主演みたいなことをやっていたような男である。引退だのと言っておきながら、しれっと戻ってくる可能性も否めない。なんかこう、三谷幸喜みたいな出方をしそうな気もしている。なので、まあ、さして期待しない程度に、ただほのかに期待したりなんかしながら、今後も生活していこうと思う。

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2020年12月の入荷予定

02「2020年度版 漫才 爆笑問題のツーショット
23「アンガールズ単独ライブ「彌猴桃は7304日後に」

どうも、すが家しのぶです。好きな諺は「餅は餅屋」です。

2020年も残り一ヶ月ですね。あっという間に過ぎていったような気がする一方、随分と長い一年だったような気もしています。新型コロナウィルスの影響で日常に大きな変化が生じたことで、それまでにはなかった多様なストレスを感じるようになってしまったためかもしれません。その状況は今も大きく変化しておらず、相変わらずの緊迫感・閉塞感が漂う日々を過ごしていますが、何故か「年が明ければなんとかなるんじゃないかしらん」という能天気な感覚も残っていて、どうにもこうにも自分の心は伝統的思考に支配されているのだなと思ってしまう今日この頃であります。嗚呼、正月リセット主義。

そんな十二月のラインナップは、爆笑問題アンガールズという漫才・コントの実力者が並ぶ形となりました。時事漫才で迎える年末というのも良いものですね。この他、安定の人気を誇るライセンスによるトークライブを収録した『LICENSE vol.TALK ∞10』、内海桂子・好江が『花王名人劇場』(79~90年放送)で披露してきた漫才を収めたベスト盤『決定版 内海桂子・好江 名選集』がそれぞれ12月23日にリリース予定です。また、年末の恒例であります、『ゲームセンターCX DVD-BOX17』が12月18日にリリースされますので、こちらもお忘れなく。

『読む余熱』プレ創刊号について

どうも、すが家です。改めて、ご連絡させていただきます。

昨日、白泉社より配信を開始しました電子雑誌『読む余熱』のプレ創刊号に、テキストを寄稿させていただきました。「『M-1グランプリ』大特集」ということで、私が過去に『M-1グランプリ』決勝戦で目にし、衝撃を受けた五本の漫才について語っております。当初、七本の漫才について書く予定だったのですが、それぞれの漫才について長々と書き進めてしまったため、二本ほど削らざるを得ませんでした。それでも当初の予定文字数を倍近くオーバーしているのですが。なんともかんとも。その辺りのことも本文で触れておりますので、良ければご確認ください。

本誌では私以外にも様々な方々が筆を執っております。

テレビ番組をテーマにしたコラムニストとして活動中の飲用てれびさんは、『M-1グランプリ2019』で敗れ去ったコンビたちの2020年の活動について、丁寧に振り返っています。その切り取り方も絶妙ですが、具体的な番組のタイトルや日時を提示して、きちんと情報として提示されているところが素晴らしいです。テレビバラエティ系のコラムというと、どうしても曖昧な記憶を元に語られがちですから(私もよくやる)。何年も前から芸人界隈で話題になっていたブログ『笑いの飛距離』(元『お笑い芸人のちょっとヒヒ話』)を運営されているのていさんは、オードリーとブラックマヨネーズを例に挙げて、M-1における“新しいスタイルの漫才”について書いています。ただただM-1を称えるだけではない、あくまでも芸人たちの目線に立ったテキストが果てしない優しさを感じさせます。

K-PRO代表で若手芸人をゲストに招くラジオ番組『K-PRO児島のお笑い大図鑑』のメインパーソナリティも務めている児島気奈さんは、M-1がライブシーンに与えた影響を語っています。スタッフとしての感覚と芸人たちのナマの声がストレートに伝わってくる文章は、私のように自宅で笑いを定点観測しているような人間にはとても書けないようなリアリティを持っています。変ホ長調のお二人は、M-1出場に至るまでの経緯について、それぞれの視点から書かれています。思いの丈をストレートにぶちまける彼方さとみさん。冗談交じりにコミカルに話してみせる小田ひとみさん。その語り口はまったく違っていますが、しかし、それぞれにそれぞれの“変ホ長調”というコンビに対する熱がふつふつと燃え滾っています。

贔屓目抜きに、どのコラムも読みごたえがあって、とても面白いです!

最後にお願いです。買ってください。本当に。恥も外聞もかなぐり捨てて、お願いします。買ってください。原稿料は既に決められているので、雑誌の売れ行きに左右されることはないのですが、こういう雑誌を継続していくことにこそ意義があると思うのです。無論、そこに参加させていただけるのであれば、こんな有り難いことはないのですが……。なので、買ってください。読んでください。少なくとも、私以外の方々が書かれた文章には、一読するだけの価値があります。

何卒、よろしくお願いします。

大切なお知らせ

①結婚しました。

②引っ越しました。

白泉社が発行する電子雑誌『読む余熱』に寄稿させていただきました。11月26日にプレ号、年明けには第一号が配信される予定になっています。よほどの不祥事を起こさない限り、両方に原稿を載せていただくことになると思いますので、どうぞご購入のほどをよろしくお願いいたします。

こちらからは以上です。

追記。③の書影が公開されました。

興味があれば是非。