白昼夢の視聴覚室

この世は仮の宿

リアルタイムで放送中のテレビドラマを批評することについての自問自答

リアルタイムで放送されているドラマの内容について批判的なコメントを寄せている人をSNSでたまに見かけるのだけれど、まだ物語が終了していない段階で批判するのって、なんかちょっとリスクが高い行為なんじゃないかって気がしているのだけれど、どうなんだろうか。だって、これから放送される予定のエピソードで、批判していた要素が実は伏線として仕掛けられていたものだった……って可能性もあるじゃない。もしも自分が同じ立場だったら、そうなってしまったときに「あちゃーっ!アレって伏線だったのかーっ!読み間違えたーっ!」って恥ずかしい気持ちで胸がいっぱいになってしまう。でも、そういうことをいうと、なんか面倒臭い人たちから絡まれそうだから、「いえ?僕は何も言ってませんけど?」というような表情で乗り切るしかない。あるいは「いや、確かに言いましたけど、あのエピソードを見た限りでは、そういう風に誤解されてしまう可能性は否定できませんよね?」とかなんとか言って、煙に巻くしかない。で、実際問題として、それもまた確かに批評としては間違っていなかったりする。テレビドラマって、第一話から最終話までがひとつのパッケージではあるけれど、第一話から最終話までの期間がそこそこ長いから、最終話での伏線回収までの間に、それまで垂れ流されっぱなしになってしまっているフリの部分が世間に多大な影響を及ぼしてしまう可能性も否定できないから。そこまでみんなちゃんとドラマとか見てないから。だから、全エピソードが放送される前に、批評するのも大事ではある。しかし、そう考えると、サブスクでエピソードを全話一挙配信みたいな昨今の流れって、割と理にかなっている気がするね。時間さえあれば最終話までしっかりと観てから批評できるから。でも、面白いテレビドラマを見ているときの、あの「次回が待ちきれない!」「どうなってしまうんだろう!」「最終話を見るまでは死ねない!」みたいな感覚もまた、サイコーなんだよなあ。難しいところだ。だから、まあ、途中のエピソードでの批評も仕方がないところではあるんだろうなって思うのは思うんだけど、ただちょっと気になるのが、割とそういうことをしている人って、そのエピソードがまだ途中だってことをけっこう無視して、断定的に批評し始める感じがしていて、そこはなんかちょっと引っ掛かったりもする。SNSでのウケを狙うがあまりに強い言葉を使っているだけなんじゃないかって気がしちゃう。まあ、実際にバズッているから、私の目に入ってきているわけなんだけども。それはそれで、その人の戦い方なんだろうけれど、ドラマを見てない人に「そういうドラマ」だって印象を与えちゃってる可能性について、ちょっとは配慮してもらいたいなあって思ったりする。……なんか、「芸人のネタを批評しているお前が言うな!」って言われそうだな。私は芸人のネタの批評はするけれど、社会的な問題が関わっている場合は慎重に取り扱っているつもりではあるよ。あくまでも「つもり」だから、意図せずして伝達されっちまうことはあるだろうけれど。ことによると向こうさんも同じことを思ってはいるのかもしれないな。いやはやなんとも難しい話だねえ……と、いったところで、お時間です。