白昼夢の視聴覚室

犬も食わない

となりの茂木が青くちゃ困るよ

とある学者がSNSでバラエティ番組を批判しているというネット記事を目にした。一応、僭越ながらお笑い評論家などと名乗っている身なので、なにかしらかの反論でもしてみようかと腕まくりしていたのだが、その批判の内容があまりにも薄っぺらだったために、すぐさま袖を元の位置に戻した。否、薄っぺらというよりも、掴みどころがないというべきだろうか。例えば、“画面が汚い”というのは、画質のことなのか、映し出されている映像そのもののことなのか、映像の中で行われている事物のことなのか、どうも見当がつかない。“タレントがどうでもいいことを取材して、語っている”というのは、氏にとってはどうでもいいことと感じられるようなことを取材しているだけで、人によっては重要に思えるようなことかもしれないため、個人の意見の範疇を出ない。そもそも何を取材している番組だったのかにすら言及していないので、触れようがない。唯一、“テロップがしつこい”という批判には多少の具体性があるものの、2000年代のテロップで笑いを取る手法が全盛を迎えていた時期に比べれば改善されているように思う。一定の検討の余地があるとはいえ、二十年前から言われている演出上のことを、改めて引っ張り出す必然性を感じるほどではない。海外の動画を持ち出して、「向こうのコメディに比べれば……」と批判しているから妙に説得力があるような気がしてしまうが、氏が取捨選択した【上質な笑い】(と多くの人に思わせられるような秀逸なコメディ)を比較するように提示しているわけで、そんなことに付き合わされる義理もない。要するに、いちいちネット記事にするほどの内容ではない井戸端レベルの話なのだが、現役のバラエティ番組を批判すれば一定数の有識者による支持が得られるので、今回のように記事になるのだろう。それはそれとして現状のバラエティ番組に対する批判はなされるべきだろうが、氏の発言をいちいち取り上げるノイズのような記事はもう別に要らないのではないかしらんね。……正直、今回の発言に対しても、いちいち反応する必要性はないと感じていたのだが(下手に触れることで氏の発言を拡散するようなことになりかねないというのもある)、あまりにも放置されたままにしておくのもよろしくないような気がしたので、今のバラエティを殆ど見ていない自分が言うべきところではないのだろうが(毎週チェックしているのは『有吉の壁』『水曜日のダウンタウン』ぐらい)、ちょっと触れてみた。本当は、私よりもずっと適任が他に何人もいるとは思うのだが……まあ、触れたくはないよなあ。面倒臭いしなあ。