白昼夢の視聴覚室

この世は仮の宿

11年の集大成「エレ片コントライブ コントの人10」(2016年3月13日)

エレ片コントライブ コントの人10」を観に行く。

 

エレ片”とはエレキコミック片桐仁ラーメンズ)によるユニットの名前である。それぞれ別々のコンビを結成している芸人同士のユニットとしては珍しく、2005年の活動開始以降、ほぼ途切れることなく、現在に至るまで活動を続けている。「コントの人」は、そんな彼らが2007年から始めたコントライブで、年に一度のペースで開催され続けていた。

 

しかし、十回目の節目となる今回、エレ片は「コントの人」の終了を宣言する。決してネガティブなニュアンスではなく、新たな活動を始めるための前向きな終了であるらしい。とはいえ、終わりは終わりだ。正直、前回の「コントの人9」は自分の中でイマイチだったので(「コントの人8」が面白過ぎたため、ちょっと期待し過ぎていたのだと思う)、今回はスルーしようと思っていたのだが、最後の「コントの人」となると話が違ってくる。この情報を聞きつけた私は、すぐさまチケットを入手した。三月十三日の岡山公演。チケット代に移動手段としての電車料金を加えると、ちょっとしたDVD-BOXを購入できるほどの金額になることは考えない。誰も幸せにならない。

 

会場は「おかやま未来ホール」。昨年、大々的にオープンした、イオンモール岡山の中にある劇場だ。岡山駅から歩いて五分という好立地なのは電車利用者として大変に有難いのだが、イオンという大手企業にまんまと飲み込まれているような気にもなる。まあ、別にいいのだが。

 

岡山には午後四時半ごろに到着した。開場は午後五時半、開演は午後六時。それまでに夕飯を済ませようと、付近をウロウロと歩いて回ったのだが、なかなか良さそうな店が見つからない。仕方がないので、イオンに入って飲食店を物色するのだが、ここでもなかなか良さそうな店に巡り合えない。ちょっと興味があるお店も幾つかあったのだが、どうも取っ付きにくいのである。どうして、このイオンの中にあるフードコートは、ちょっと薄暗くしてオシャレ感を演出しているのだろう。おかげで、軽い気持ちで入ることが出来ないではないか。

 

結局、何も食べずに、午後五時過ぎに会場入り。

 

ロビーには、こういったライブではお馴染みの物販コーナーが。現金のみでなく、カードにも対応できるらしい。な、なんだかスゴいぞ。Tシャツ、ナップザックなどが売られている中、「エレ片 コントの人大百科」なる文庫本を見つけたので購入。ゲームやアニメのことばかりが書かれた、子供向け文庫本を思わせるデザインがとても親しみやすい。中身はいわゆる番組本で、エレ片に関する出来事について三人がトークしていたり、スタッフがエレ片について語ったり、ラジオ「エレ片のコント太郎」の過去のコーナーについて振り返ったりしている。一冊2,000円となかなかの値段だが、買って損のない内容だった。

 

開演五分前に着席。隣の席の人が少し挙動不審でドキドキする。

 

午後六時開演。

 

まだ数か所での地方公演を控えているため、具体的なネタバレは控えるが、とにかく面白かった! 衝撃的なオープニングコントで幕を開けた後は、テッテー的にバカで下品でどうしようもないコントの絨毯爆撃! とはいえ、一つ一つを見てみると、そこに新しさはない。ブスに、ウンコに、役者に、青春モノ。どれもこれも、エレ片が以前から得意としてきたジャンルである。しかし、それらを特に捻ることなく、ド直線の剛速球でもって投げつけてくるのだから、たまらない。あんまり笑い過ぎて、終盤には頬っぺたが攣りそうになってしまった。個人的に、一番笑ったのは同窓会のコント。アレは酷かった……(笑) もはやお馴染みとなっているストリートミュージシャンのコントも面白かったけど、版権上の理由からカットされることだろう。前回のコントライブではドラゲナイのパロディソングを披露していたが、今回は……っと、これ以上は書かない。なにせライブは実際に観た人だけに永久保証されるもの、安易に外に情報を漏らしてはならないことはトリセツに書く必要もない一般常識なのだ。

 

加えて、今回は幕間映像も素晴らしかった。やはりネタバレになってしまうので具体的には書けないが、お馴染みの物販で売られている商品をCMパロディで紹介する映像に、最近バラエティに出演して大滑りしているあの人に扮した片桐が登場したのには笑った。騒動が落ち着いた頃に、エレ片が印籠……じゃなくて引導を渡してくれればいい。

 

終演後は、少し休憩時間を挟んで、ゲッターズ飯田を招いてのアフタートーク。どうして岡山にゲッターズ飯田なのかというと、今年の一月に岡山でチケットを手売りするというイベントを開催した際に、やついが自らをゲッターズ飯田だと冗談を言ったところ、岡山の人たちが本気にしてしまったため、その罪滅ぼしに本人を……ということだったらしい。なお、当のゲッターズ飯田が岡山に来るのは、彼がまだ学生だった頃に名古屋から福岡まで自転車で旅行した際に通りがかったとき以来とのこと。イベントでは一人一人を占っているゲッターズ飯田だが、今回は人数が多すぎるので、十二星座の今年の運勢について語っていた。私は水瓶座なのだが、今年の水瓶座は「ちょっとエロくなる」らしい。恋愛運が向上するとか。ちなみに、「(統計上)痴漢には牡羊座が多い」という話を出たのだが、その流れでやついが「私の友達にも一人……」と話し始めたのに思わずニヤリ。こういう風にイジられていると、まだ彼が芸人仲間から見捨てられていないように思えるから、なんだかちょっと嬉しくなってしまう。しっかりと反省して、罪を償って、帰ってきてもらいたいものだが……。

 

午後八時半終演。前回は握手会が催されたが、今回は無し。ちょっと寂しい気もしたが、考えてみれば、それが普通だ。地下通路から駅前に出ると、雨が降っていた。濡れないように駅へと駆け込み、そそくさと改札口を抜け、香川行きの電車に飛び乗る。これから一時間かけて香川に戻り、駅から更に車で三十分ほど走ることになる。なかなかに面倒臭いが、大笑いしたこともあってか、気分は晴れやかだった。

 

午後十一時帰宅。お疲れ様でした。