白昼夢の視聴覚室

この世は仮の宿

大阪の記録(2024年1月6日~8日)

一月六日(初日)。

午後五時の定時を迎えると同時に、作業着や仕事道具を片付けて、そそくさと会社を後にする。愛車で向かうのは妻の待つ温かい家庭……ではなく、善通寺高速ICバスターミナル。五年ぶりに開催されるという大喜利鴨川杯に参加するべく、会場のある大阪へと向かう高速バスに乗り込むのである。ちなみに、今大会では、これまで以上にきちんと大喜利に向き合おうという意味から、中途半端に知られている“すがやしのぶ”とは別名義で参加した。イチからやり直すのだ。

午後五時五十分ごろ、善通寺高速ICバスターミナルに到着。有料駐車場に車を停めて、出発の時刻を待つ。その間、車内で荷物の整理をしたり、トイレへ用便に駆け込んだりしながら過ごした。当初、待合室にさほど人の姿が見受けられなかったので、コロナが明けたと言われているとはいえ高速バスの利用者は減少したままなのだろうか……と、勝手に決めつけていたのだが、出発の時刻が近づくとともに人が集まり始め、最終的にはたくさんの人でごった返していた。

午後六時半、さぬきエクスプレス神戸・大阪号に乗り込み、出発。久しぶりの高速バスだからだろうか、車体の揺れが絶妙に気持ち悪い。以前はさほど気にならなかった記憶があるのだが……ひょっとしたら、単純に私の体力が衰えているだけなのかもしれない。かなしい。移動中はradikoのタイムフリーで『脳盗元日特番~納脳王~』を聴きながら過ごした。仕事の疲れと眠気で意識が朦朧としていたが、面白い企画をやっていたような記憶がある。

途中、室津パーキングエリアでの休憩を挟みながら、午後九時五十五分に阪急三番街へと到着。翌日のスケジュールを考慮すると、あまり遊んでいる時間もなかったので、すぐさま宿泊予定のホテル【カプセルホテル大東洋】に向かい、午後十時にチェックインを済ませる。四年半ぶりに訪れた大東洋は、なんだか随分とおしゃれな雰囲気のホテルになっていた。カウンター前にはオリジナルのグッズも販売されていて、なにやらテーマパークのようである。

ロッカーに荷物を置いて、再び外へ。夕飯を食べるために、歩いて数分ほどの距離にある【三田製麺所 梅田店】へと足を踏み入れる。特濃つけ麺の大盛りを注文、軽やかにいただく。

午後十一時、ホテルに戻って大浴場を楽しむ。やはり広いお風呂は良い。足を伸ばせることがとても嬉しい。有難い。午前一時、就寝。しかし、久しぶりのカプセルホテルで落ち着かないからか、なかなか寝付けず、二時間ごとに目が覚めてしまう。明日への不安を残しながら眠ることになってしまった。

一月七日(二日目)。

午前六時半に目が覚める。しばらく横になって、スマホをイジッているうちに一時間が経過し、午前七時半に起床する。適度に身支度を済ませ、ホテルを出る。ホテルを出る際に、カウンター前で販売されていた大東洋のオリジナルデザインである手ぬぐいタオルとmokuのタオルを購入する。実は私は、これらのタオルを製造している、今治市にあるタオルメーカー「コンテックス」のファンなのである。この機会は逃すわけにはいかない。

ホテルを出てから、近場の飲食店で朝食を取ろうと考えていたのだが、これといった店と巡り合えず。午前九時ごろ、大阪駅から大喜利鴨川杯の会場がある茨木駅へと移動する。駅前のセブンイレブンでパンと水を購入、駅前広場に突っ立っていた龍を眺めながら食べる。

食後、徒歩で移動。会場が近づくにつれて、以前に参加したときの記憶がじわりじわりと蘇る。そして、「よもや今回は、いきなり次回大会を翌日に開催するとか言い出さないだろうな」と、いうようなことを考えてしまう(前回、参加した第九回大会では、大会終了後に急遽として翌々日に第十回大会を開催する旨が発表された。大きめのイベントだったら炎上している案件である)。十五分ほどかけて、会場である茨木市市民総合センターに到着する。

午前十時五分、開始。午後六時二十五分、終了。

並々ならぬ意志で参加した今大会だったが、ビックリするほどに手も足も出なかった。明確な敗因は「日和った」ことにある。ウケる・ウケないを考えないで、とにかく回答を出そうと決めて挑んだはずなのに、完全に面白い大喜利ユーザーたちの目を気にしてしまった。ちゃんとお題を咀嚼して、きちんと彼ら彼女らにウケる回答を目指してしまった。もちろん、大喜利というものは、お題と回答の間につながりがなければいけない。だが、今の自分には、お題の咀嚼力も回答を思いつく即興性もない。だからこそ、ラッキーパンチが当たることを期待して、とにかく制限時間内にありとあらゆる回答を出していこうと心に決めていたのに、そんなモードになってしまったがために、すっかり頭の中が真っ白になってしまった。改めて、自分には圧倒的に経験値が足りない。その事実を痛感せざるを得ない結果に終わってしまった。

ただ一点、とても嬉しかったのは、敗者復活戦のグループ戦において、前回大会優勝者のきんしたまごさんと、あの!ぺるともさんとグループになれたことである。どちらも以前から顔と名前を存じ上げていたので、率直に感動してしまった。あ、あと、以前にもチラッと挨拶だけさせていただいたひらたいさんに、まんまと顔バレしていたことも、ここに書き残す。次回、ゴハさんとひらたいさんと飲む約束をしたので、機会があれば是非に(大喜利ユーザーとして考えた場合、ちょっと自分がメンツの中でショボすぎやしないかしら)。

あと、やっぱり生の大喜利は面白いことを再認識。やっぱり大喜利は良い。

大会終了後、打ち上げには参加せずに大阪駅へと戻る(※昨年末に体調を崩したために大事を取って不参加)。一度、ホテルに戻って荷物を整理し、再び【三田製麵所 梅田店】へと赴き、今度はたまごかけ麺を食べる。美味しかったが、ややボリューム不足だったように感じた(麺量300g固定なのだそう)。合わせて、唐揚げとサワーを注文。ほんのりと夜を味わう。

食後、ホテルに戻って(ここでグッズの巾着袋を追加購入。何に使うつもりなんだ)、大浴場を楽しむ。風呂上がりに食堂でビールとレモンサワーをいただく。あとはもう寝るだけ!という状態で飲み干すアルコール!これぞカプセルホテルの醍醐味である。

一月八日(最終日)。

午前七時半、目覚める。しばらく横になって、スマホをイジッているうちに一時間が経過し、午前八時半に起床する。身支度を済ませ、荷物を整理し、午前九時二十分にチェックアウト。帰りのバスは湊町バスターミナルから乗り込む予定なので、JRなんばへと移動する。大阪駅から電車に乗るつもりが、うろうろ歩き回っているうちに北新地駅に辿り着いてしまい、そこからJR東西線に乗り込み京橋駅へ移動。そこから大阪環状線に乗り換え、天王寺駅へ。そして大和路線に乗り換えて、JRなんばに到着したのは午前十時二十五分のことであった。

ここで荷物を最寄りのコインロッカーに預ける……予定だったのだが、その前に近くの【ジュンク堂書店 難波店】へ立ち寄り、神保喜利彦『東京漫才全史』を購入する。地元の書店では見つからなかったので、このタイミングでの購入となってしまった。400ページというボリュームは、とても旅先で購入する類いのものではないのだが、致し方ない。購入後、OCAT一階のコインロッカーにカバンを預ける。身軽が嬉しい。

そうこうしているうちに昼食の時刻が近づいていたので、なんばのアーケードへと移動。【どうどんぼり神座 なんば店】と【金龍ラーメン 難波千日前店】でラーメンのハシゴを決める。金龍ラーメンの味はだんだん悪くなっている気がする。でも、この雑多な味付けに、自分はとても大阪らしさを感じてしまう。大阪の人にしてみれば不本意なのだろうけれども。

食後、街中をうろうろと歩いて回る。ビックカメラエディオンドン・キホーテのような大型店舗に入ったり、千日前道具屋筋商店街を練り歩いたり。そんなこんなで夕方になってしまったので、JRなんばの方へと舞い戻る。午後五時、【鶴橋風月 OCAT店】で夕飯。メニュー表を見ると「チーたまぶたモダン(※「モダン」とは麺入りのことらしい)」がオススメされていたので、これを注文、食べる。美味かった。

食事を終えると午後六時。コインロッカーからカバンを回収し、中身を整理した後に、バス乗り場へと移動する。お土産物を購入、更にカバンへと詰め込む。午後七時十五分、行きと同様にさぬきエクスプレスへと乗り込み、帰路に就く。到着予定時刻の一時間前、お腹の調子が怪しくなるも、午後十時半ごろに善通寺高速ICバスターミナルへと到着。荷物を抱えて、即座に待合室のトイレへと駆け込む。危なかった。愛車に乗り込み、午後十一時ごろ帰宅。おつかれさまでした。