白昼夢の視聴覚室

犬も食わない

うしろシティの解散に寄せて

先日、うしろシティの解散が報じられた。

正直なところ、驚きはしなかった。私の友人に『星のギガボディ』(2016年から2021年にかけて放送されたうしろシティのラジオ番組)のリスナーがいて、彼から時折、うしろシティに関する不穏な情報を得ていたからだ。金子の休養中に阿諏訪がまったく近況報告をしていなかったこと、後番組のパーソナリティが発表されていない状況下での『星のギガボディ』の終了が発表されたこと、金子が復帰してからもコンビとしての活動が休止状態だったこと……。公表された情報のひとつひとつを組み合わせることで、うっすらと浮かび上がってくる全体像。そこから想像される結果が、まさに今回の解散だったのである。

とはいえ、二人の関係性が明確に語られていなかったこともあって、なんとなく私も友人も“活動休止”止まりだろうと考えていた。最悪でも、DonDokoDon山口智充平畠啓史のように、明確に解散を打ち出さない状態のままユニットとして名前を残していくのだろうと。その意味では、はっきりと明確に解散を発表したことには、少しだけ驚いた。「ああっ、そういう結論に至ってしまったのか!」と。発表された情報によると、金子は松竹に残り、阿諏訪は事務所を退社してフリーとして活動する予定らしい。細かい経緯についてはまったく読めないが、様々な思惑を経ての決定なのだろうことはなんとなく予想できる。

昨晩、今回の解散発表を受けて、過去に観たうしろシティのコントについて思い返していた。

初めてうしろシティのコントを目にしたのは2009年の『爆笑オンエアバトル』。ただ、この時点ではまだ、それほど彼らのネタにピンときていなかった。はっきりと二人のことを認識するようになったのは、2011年に『オンバト+』で目にした『ローマ旅行』のコントがきっかけ。旅行計画の中で巻き起こる数々のいざこざがスマートに解決されていく様があまりにも見事で、笑うと同時に感動を覚えた記憶がある。この翌年、彼らは『キングオブコント』の決勝戦に進出。ファーストステージで披露したコント『転校生』で使用した謎の小道具「もぎぼっこり」がちょっとした注目を集めた。その後、彼らは2013年・2015年に決勝進出を果たすも、良い結果は残せず。とはいえ、再度の決勝進出を長く期待されてはいたのだが……。同年、オリエンタルラジオかまいたち銀シャリさらば青春の光らを抑え、NHK新人演芸大賞を受賞。美容室で遭遇したドラマチックなシチュエーションに目が離せなくなってしまう店員と客のコントが爆笑を巻き起こした。

ここからは個人的な記憶を辿る。うしろシティといえば思い出すのは、最初に衝撃を受けた『ローマ旅行』のコント。次に思い出すのは『寿司』。寿司屋の大将が家族についての愚痴を漏らしながら握る寿司が何故か美味い、というトンチキな仕掛けがたまらなく可笑しかった。シニカルとナンセンスのちょうど間をすり抜けながら、うっすらと生理的な嫌悪感をまぶしていて、見事な設定だったように思う。『自転車』のコントも好きだった。自転車の練習をしている子どもの後ろに知らないおじさんがひっついてくる導入が、スリリングでたまらなかった。極端に善良な少年とヘンテコな不良がともに学校へと向かう『太陽』も好きだった。ゲームのチュートリアルを思わせる『喧嘩のやりかた』、友人同士の複雑な関係性を描いた『病院』、からかわれながら取り上げられたオリジナルの漫画がヤンキーの心を掴む様子に創作の力を感じた『漫画』……思い返してみると、本当に色々なコントを生み出していた。そのキャッチーでポップな内容が故に侮られているところもあったように思うが、だからこそ、うしろシティにしか出来ない絶妙なラインのネタになっていた。無二だった。

とにもかくにもお疲れさまでした。たくさんのコントをありがとう。

追記。現在、アマゾンプライムビデオにて、うしろシティの選りすぐりのコントを収録した『ベストネタシリーズ うしろシティ』が配信されているので、これを機にご覧になられるといいかもしれません。やっぱり面白いコントが多いなあ!