白昼夢の視聴覚室

この世は仮の宿

「うしろシティ単独ライブ「とはいえ外はサンダー」」(2017年11月22日)

うしろシティ単独ライブ「とはいえ外はサンダー」 [DVD]

うしろシティ単独ライブ「とはいえ外はサンダー」 [DVD]

 

2017年6月から8月にかけて全国五か所で開催された単独ライブより、8月24日に座・高円寺2で行われた東京追加公演の模様を収録。

うしろシティのコントといえば、良くも悪くも安定感バツグンというイメージが自分の中にはあったのだが、本編を再生し始めてしばらく、決してつまらないわけではないのだけれども薄味で物足りないコントが続いたので、だんだんと「あれ? もしかして調子が悪いのかな?」とうっすらとした不安を抱き始めることに。

その後、だんだんといつもの調子を取り戻していったので安心したのだが、あれは一体なんだったのか? ……と首をひねりながら特典映像のアフタートークを視聴したところ、今回のライブは意図的に“ポップな順”でネタを並べていたことが語られていて、大いに腑に落ちた。なんでも、ポップなネタから少しずつエグいネタになっていく構成を取ることで、観客にエグめのネタに対する耐性を付けさせようという意図だったらしいのだが、これからは出来ればそういう戦略は控えてもらいたい。本当にドキッとしたから。

そんな構成の影響もあってか、印象に残っているコントは中盤以降のネタが多め。人気が出始めているガールズバンドの古参ファンたちがちょっとしたことで言い争いを始め、絶対に触れてはならない悲しい話題に突入してしまう『ガールズバンド』、自分が仕事としてやっている作業が生徒たちへの罰扱いにされていることに意義を唱える用務員の哀愁を描いた『職員室にて』、妻の不倫を疑っている男が探偵に調査を依頼したところ、彼女がこっそりアパートを借りて謎の作業を行っていることが発覚する『探偵』など、やや妙な余韻の残るネタが多め。とりわけ奇妙だったのが『へんなやつ』というコント。その内容は、阿諏訪演じるヤバめのおじさんの前に、金子演じる好青年風の男が現れ、おじさんよりもヤバい言動を延々と繰り広げる……というもの。内容が内容なだけにテレビなどで披露されることはないだろうが、金子のイノセントな雰囲気が上手くコントに取り入れられていて、これまでとは違った新しい切り口を感じさせられた。

これら本編の映像に加えて、特典映像として、ライブの幕間映像「うしろシティが旅してみた」、および、うしろシティの二人が公演後の客席でライブの感想を語り合う「千秋楽・・・そのあとに」を収録。「うしろシティが旅してみた」はライブタイトルにちなんで石川県へ雷を見に行くために二人がヒッチハイクする……という企画モノ。二人の頑張りによって、それなりに面白い映像に仕上がってはいるものの、その日のうちにヒッチハイクで石川県へと向かうという設定がそもそも実現不可能なので、もうちょっと真剣に取り組める企画にした方がきちんと映像として面白くなっていたのではないか?という疑問が残った。うーん……。

◆本編【90分】

「ふみきり」「河原」「刑事の仕事」「ミステリー作家」「ガールズバンド」「職員室にて」「アジト」「へんなやつ」「探偵」

◆特典映像【21分】

「【幕間映像】うしろシティが旅してみた」「千秋楽・・・そのあとに」

◆音声特典

うしろシティの副音声解説」