2015年8月1日から10月30日にかけて、全国十都市(東京、金沢、郡山、岡山、大阪、福岡、札幌、名古屋、仙台、沖縄)十五公演を展開したライブツアーより、9月19日の札幌公演の模様を収録。
以前、レビューに書いたように、2014年のライブツアーを収録した前作はどうもイマイチな出来だった。M-1チャンピオンなだけあって漫才は流石の面白さだったが、過去の単独公演にも登場しているお馴染みのキャラクターが再登場しているところくらいしか見所のないコントや、キャスティングは豪華だけれどサンドウィッチマンにしては面白味に欠ける……と思わずにはいられない特典映像など、どうも全体的に盛り上がりに欠け、はっきりと不満の残る内容になっていた(ただ、2013年のライブツアーがあまりにも素晴らしい完成度を見せていたため、余計にそう感じてしまったのかもしれない)。
それを踏まえた上で観賞に臨んだ本作だが……まあ、とにかく手堅かった。これまでの単独ライブで見せていたような遊びの要素を殆ど省き(伊達がボケ役のコント『小麦が香る男』は、けっこうなグズグズ感を漂わせていたが……アレはそういうネタだから良いのである)、大半のネタをド直球のシチュエーションコントで臨んでいる。また、そのクオリティが揺るぎない。近所に出来た「カラオケ舘」にやってきた伊達が、店長・富澤の自由奔放な立ち振る舞いに翻弄され続けるオープニングコント『カラオケ』、パソコン初心者の伊達がパソコン教室の講師・富澤に良いように振り回される『パソコン教室』、慇懃無礼な建築士・富澤が伊達の逆鱗を触り続ける『建築士』など、どのコントも単独ライブという独壇場で披露されているネタにも関わらず、何処に出しても恥ずかしくない完成度だ。中でも『パソコン教室』は、シチュエーションとしては少しややこしい設定を上手くコントに転換していたのには舌を巻いた。
一方の漫才も絶好調。引っ越してきた富澤がご近所に住む伊達の元へ挨拶にやってくる漫才コント『漫才~引越し~』、ラグビーというスポーツについて説明する伊達に対して的外れな相槌を打つ富澤のしゃべくり漫才『漫才~ラグビー~』と、まったく違ったタイプの漫才を見せている。ただ、『漫才~ラグビー~』に関しては、まだあんまり一般的ではないラグビーというスポーツを取り上げているためか、他のネタに比べて観客のリアクションが少ない。とはいえ、二人が高校のラグビー部出身であることを思うと、ネタに対する彼らの思い入れのようなものも感じて、ちょっとだけ嬉しかったりもして。……「ラグビーワールドカップ2015」で注目を集めた今なら、このネタはもっと受け入れられるだろう。まだ、ラグビーが話題になる前に作られたネタなんだよなあ。伊達みきおによる「男塾名物!!!」が聞けたのも嬉しかった(観客の食いつきが悪かったのは、むしろこっちが原因か……?)。
というわけで、本編に対しては不満を感じることはなかった。特典映像に関しても、はるな愛と伊達みきおがお好み焼きを巡って熱いバトルを繰り広げる「お好み焼き対決」、マンネリ化が進んでいるサンドウィッチマンライブのツアーグッズ会議に何故かあの某女性フリーアナウンサーが参加している様子を映した「グッズ会議」など、バカバカしさに満ち溢れた映像を見せていた。唯一、不満を口にするならば、お馴染みのライブツアーメイキングが大幅にカットされていたこと。ネタ作りに苦悩したり、全国各地ではしゃいだりしている二人の姿を毎回楽しみながら眺めていたので、次回はどうか元のボリュームに戻してもらいたい……。
■本編【総収録時間:164分】
「カラオケ」「漫才~引越し~」「パソコン教室」「小麦が香る男」「建築士」「漫才~ラグビー~」
■特典映像
「お好み焼き対決」「グッズ会議」「ラジオ「そばチェーン店社長」」「メイキング」