白昼夢の視聴覚室

この世は仮の宿

「じわじわチャップリン」(2016年4月16日)

「ものまね大連発」。「R-1ぐらんぷり2016」で披露し、まんまと優勝に輝いたネタ。構成に多少の変化を加えているものの、内容の多くは同大会で既に披露されたものの使い回し。観客・視聴者の大半が「R-1ぐらんぷり」を見ていたであろう「じわじわチャップリン」のステージで、よくこのネタをかけようと思ったものである。とはいえ、ザコシショウのものまね芸は彼のパフォーマンス能力があってこそ笑えるものなので、以前に見たことがあったとしても、何度でも笑うことが出来る……筈なのだが、今回はやや精彩を欠いていた。ちょっとネタが走っていたような……。

 

「塾」。1週勝ち抜き。一見すると英語を教えている塾だが、その正体は英語の発音が良すぎる帰国子女にカタコト英語を教える「カタコト塾」だった。設定を明かさない状態で「英語がカタコトの教師と英語が流暢な生徒」という上下関係の逆転現象だけで笑わせておいて、そこから細かい設定に入っていく構成が上手い。前提として必要不可欠な生徒演じる森本の“流暢な英語”も、イヤミなほどに完璧だ。これがあるからこそ、対照的な存在を演じる櫻田のえげつないほどのカタコトが笑いへと昇華される。ただ、終盤で「カタコト塾に通い過ぎてちゃんと話せる言葉がない」というカルト的な展開になっていったのは、少し残念。そういうパターンも嫌いではないけれど、もうちょっと据わりどころのいいオチが見つけられそうな気がしたので。

 

「爆弾」。1週勝ち抜き。近隣のビルに仕掛けられた爆弾の起爆装置と対峙する三人の刑事。「起爆装置を解除できそうなことを言っておきながら、機械にペンチを入れるたびにビルが爆発する」というシンプルなフラグ潰しが心地良い。笑いどころまでのくだりをしっかりと演技していたからこそ出来ることである。きちんと緊張感を高めているから、あそこで笑いが起こるのだ。一瞬、話の軸から離れたように見えた、遠山が五明に告白するくだりを「爆弾発言」として繋げるところも上手い。オチに関しては賛否両論あると思う。個人的にも「爆発オチなんてサイテー!」と言いたいところだが、緊張感高まる設定をあそこまでムチャクチャにしてしまった以上、こういう不条理なオチにせざるを得なかったのかな……とも思う。

 

【ふきだまりのコーナー】

マツモトクラブ、ハルカラ、ラブレターズ、イヌコネクション、ななめ45°、しゃもじ、インデペンデンスデイ、モグライダー、ヤーレンズ、Aマッソ、ハリウッドザコシショウ、ルシファー吉岡、アキラ100%、高橋ちゃん、神宮寺しし丸、風藤松原、スーパーニュウニュウが登場。人力舎所属の一年目「高橋ちゃん」、首が長くなるより前におでこが長くなってしまった「スーパーニュウニュウ」をクローズアップ。

 

「マッサージ」。2週勝ち抜き。ごく普通の町のマッサージ店にやってきた、激しい痛みに快楽を覚える男。「キングオブコント2012」決勝戦で彼らが披露していた『コンタクトレンズ』のネタを思い出した。「マッサージ店に痛みの快楽を味わいにきたマゾヒスト」という割と安易に思いつきそうな設定を、「人間だと思わないで、油粘土で出来た猿だと思ってノッツォンノッツォンにやっちゃってください」「僕がマッサージを受けている様をYouTubeにあげたら、コメントで「この人、どうなったの?」とか、「えっ? これ人形でしょ?」っていうコメントがついたら最高です」などの魅力的な言葉の表現力で深みのある笑いに仕上げている。ここまでで既にとてつもなく面白いのだが、足ツボマッサージを受けてからの「目線」のくだり、背中のやわらかさのくだりなど、もうたまらなく不快で面白い。ただ、個人的には、前半の説明のくだりが魅力的過ぎて、後半の展開にちょっと物足りなさを感じたかも。

 

【今週のふきだまり芸人】

髙橋ちゃん「ロボットのヒバリちゃんによる「お手」」

 ※幕が下りた後で「ロボットの時代が、来るぞーっ!」と叫んでいたのが面白かった。なんだよ、マッドサイエンティストかよ。

スーパーニュウニュウ「ショートコント「落とし物」」

 

次回は、イヌコネクション、グランジ(2週勝ち抜き)、トンツカタン(2週勝ち抜き)、ルシファー吉岡が出場。