白昼夢の視聴覚室

この世は仮の宿

「じわじわチャップリン」(2016年4月9日)

アキバ系カフェ」。友人に連れられてやってきた秋葉原のカフェは、秋葉原のオタクたちが接客してくれる店だった。面白い設定である。いわゆるメイドカフェのシステムにおける“メイド”を一般的にイメージされている(実際は一昔前の)“オタク”に置き換えたコント。この設定だけでも面白いのに、彼らはなかなかアグレッシブにその要素を取り入れている。この精神が素晴らしい。おまじないのくだりなどは、あまりのヒドさにニヤついてしまった。最初は櫻田演じるオタク店員のインパクトの強さに翻弄されるが、店のシステムを完全に理解している友人・菅原の危うさが少しずつ浮き彫りになっていくところが実に良かった。二人のユニゾンによる「レッツ!チェックメイト!」の下らなさたるや。森本の「出てきた瞬間ゴミじゃん!」というツッコミや、それまでのやりとりを踏まえた上でのオチにも感心した。いいトリオが出てきたなあ。

 

「僧コン」。コンパの相手がお坊さん。酒で声がガッラガラの佐藤が女性役だったり、前番組『こそこそチャップリン』で本当にお坊さんをやっている芸人によるコンビ“ドドん”が登場した後なのにテーマが「お坊さん」のコントをやっていたり、色々と引っ掛かるところもあったが面白かった。【お坊さんとの合コンで最悪なことに。何が起きた?】というお題を忠実に守った大喜利のようなコントで、「東城寺のインラン」だの、「古今東西、宗派の名前!」だの、「パーリラ、パリラパーリラ(お経)」だの、いちいち的を射たボケがたまらない。その上で、王様ゲームのために用意した卒塔婆の絵面の強さは、もはや卑怯。トンツカタンとは別ベクトルで、しっかりと面白かったなあ。

 

【ふきだまりのコーナー】

ラブレターズ、イヌコネクション、ななめ45°、スーパーニュウニュウ、高橋ちゃん、しゃもじ、インデペンデンスデイ、モグライダー、風藤松原、ヤーレンズ、マツモトクラブ、ハリウッドザコシショウ、ルシファー吉岡、アキラ100%、神宮寺しし丸、Aマッソが登場。「アキラ1200%さん」と名前を間違えられてしまったアキラ100%をクローズアップ。土田による解説も。

 

  • ハルカラ【23/50】

「駅のトイレ」。1週勝ち抜き。彼氏に電話で「今日は会えない」と言われてしまった女性が、トイレの掃除道具を入れたロッカーの前で泣き崩れてしまったため、掃除のおばちゃんが困る。設定そのものはベーシックで面白い。ロッカーから掃除道具を取り出したいがために、泣いている女性を立ち直らせようとする意地の悪い構図。これはちゃんと面白い。ただ、そこで止まってしまっている。見ている側としては、これを踏まえた上で、更なる展開が欲しいのである。例えば、彼氏がどうして彼女と会えなくなってしまったのか、その理由を描くだけでも、まったく印象は変わっていただろう。浜名の泣いている鬱陶しい女の演技だけで乗り切れると思ったのかもしれないが……それならそれで、和泉のクセの強い演技をなんとか絡めてもらいたかった。二人の演技が混ざり合って、それはようやく笑いになるのだ。

 

「元カレからの電話」。1週勝ち抜き。恋人が部屋に忘れていったケータイに男からの着信があったので、思い切って出てみると、それは元カレからの「ヨリを戻すぞ」という連絡で……。「元カレと今カレが電話を通じて言い争い」というありがちなシチュエーションをここまで不可解に出来るものなのかと感心させられた。とにかくう大演じる元カレがとんでもない。最初はちょっとバカなヤンキーだと観客に認識させておきながら、彼女の妹と付き合っていたという事実が発覚、その倒錯した人間性を露呈させていく流れが素晴らしい。「お前の泣き顔見ねぇと癒されねえんだ」「また繰り返そうぜ、昼間ケンカして夜仲直りする無限ループの日々」「一緒にそいつのこと笑おうぜ」など、台詞回しだけでも魅了される。突然、槙尾が彼女になりきって諦めさせようとするところにはちょっとだけ違和感を覚えたが、とても面白かった。

 

【ふきだまり芸人のコーナー】

しゃもじ「ショートコント「剣の達人」」

Aマッソ「アホ」

 

次回の出演は、かもめんたる(2週勝ち抜き)、グランジ(1週勝ち抜き)、トンツカタン(1週勝ち抜き)、ハリウッドザコシショウ