白昼夢の視聴覚室

この世は仮の宿

「こそこそチャップリン(最終回)」(2016年3月26日)

  • ハルカラ【30

「早退」。1週勝ち抜き。BIGBANGのライブ当日、急にチケットが手に入ってしまったOL二人が、会場へ向かうために仮病で会社を早退しようとする。前回のオンエアでは、「クセの強い口調の先輩」と「素っ頓狂なセンスの後輩」という二種類のキャラクターによる笑いを見せていた彼女たち。今回も同様のシステムを採用しているが、二人が同じ「会社を早退したい」立場にあるため、ボケとツッコミのメリハリという点でややパンチ力に欠ける。ただ、コントとしてはドリフ的というか、よりシンプルで分かりやすくなっており、その点が結果に繋がったのではないかと思われる。個人的には前回の方が好きだったが。
 

「自殺を止める」。屋上で景色を楽しんでいた男の前に現れたのは、二人の自殺志願者。それぞれの自殺をやめさせるために、男は自らの悲惨な現状を話してみせる。「同時間帯に二人の男が同じ場所で自殺しようとする」という設定のコントは以前にも見たことがあるが(確かアンタッチャブルが演っていた)、そこに「そんなありえない状況に遭遇してしまった人」を加えるだけで、これほどまでに笑いが広がるとは。そんな自殺志願者の二人に自らの現状を語るというありがちな展開も、和田まんじゅうのクセが強すぎるキャラクターと構成の妙で見事に魅せる。ガラケーのくだりは笑った。さらりと繰り出される「フォローしてくださいよ……」の上手さ。オチもストンと。

 

【ふきだまりのコーナー】

相席スタート、オーストラリア、GAG少年楽団、トンツカタン、ニューヨーク、パーマ大佐、平野ノラ、昼メシくん、マッハスピード豪速球、全力じじぃ、鬼越トマホークが登場。澤部に紹介ギャグを考えてきたという目つきがヤバい「マッハスピード豪速球」をクローズアップ。

 

  • マツモトクラブ【24

合唱コンクール」。合唱コンクールに向けて練習しているクラス。教師がタクトを振ると、歌声にクセのある生徒が……。マツモトクラブのコントの傾向はなんとなく理解していたつもりだったが、こういうネタもあったのか。なんだかいっこく堂の「ものまね腹話術」を思い出した。基本的には観客の想像をかきたてるクセのある歌声が笑いになっているのだが、教師という立場から生徒を否定できないために複雑な感情を抱えることになってしまったマツモトクラブ演じる教師の存在もまた味わい深かった。「個性的で何が悪い!」と素敵なことを言ってのけた直後に「普通のヤツ頑張れーっ! 普通のヤツかき消せーっ!」て。オチは上手い。なるほど。あの生徒の悪ふざけの発言かと思いきや、そういうことだったのかと納得できた。気持ちいいなあ。

 

  • ザ・ギース【18】

「ニューヨーク」。ニューヨークにやってきた日本人が現地の強盗に襲われるが、その強盗はやたらと英語の発音を気にしていて……。好きなコントではある。ピストルを持った強盗が何故か日本人の英語の発音を気にして、いちいち訂正し、気が付けば教科書片手に発音の授業を始める。でも、その教科書の内容が、まったくもってムチャクチャ。実に不条理なコントである。「have」の発音を表現するために「エヴァンゲリオン」を出すところの絶妙さも好きだ。ただ、このコントにハマらない人がいるというのも、分からなくもない。「発音に厳しい強盗」という根本のテーマがハマらなければ、このコントはさほど面白いものにはならないだろう。ザ・ギースのコントには、そういうタイプのネタが多い気がする。最初に躓いたら、なかなか世界観に入り込めない。まあ、それが彼らの良さでもあるのだが。

 

 今回で「こそこそチャップリン」の放送は終了。次回からはリニューアルして「じわじわチャップリン」の放送が開始される。そこで勝ち抜きシステムは一回リセットされるようだ。ただし、今回勝ち上がった三組は、優先的にオファーされるとのこと。