白昼夢の視聴覚室

この世は仮の宿

「そこそこチャップリン」(2016年4月3日)

トレンディエンジェルモテキ
コロコロチキチキペッパーズ「動物園」
ナイツ「高橋由伸監督」
タイムマシーン3号「演劇」

 

「ふきだまり応援団のコーナー」

 

ドドん「煩悩」
勝又「死んでる」
インポッシブル「ボディガード」
エレファントジョン「たばこ」

 

「ふきだまり応援団のコーナー」

 

ジグザグジギー「火災現場」
東京03「企画会議」
ハライチ「デート」
次長課長「影絵」

 

ダンディ坂野「おもしろ閉会式」

 

ざっくりと感想を。

 

トレンディエンジェルはお馴染みの漫才。この一月から三月にかけて、彼らの漫才は様々なステージで演じられている姿を見てきたため、流石に些か食傷気味ではあったが、とはいえ面白かった。一瞬、集中を欠いても、しっかりと笑わせてくれるリズム感とシンプルさはやはり強い。

 

コロコロチキチキペッパーズはホイットニー・ヒューストンの名曲『I will always love you』をがっつりと取り入れたコント。設定も仕掛けもシンプルなのに、それでもついつい笑ってしまう。細かい台詞回しや間に気を使っているおかげで、曲が流れていない場面でも笑える空気にしていたことが効果的に働いている。オチも良かった。ホイットニーの「エンダー」が醸し出すメジャー感に対し、「チキチキカー」の微妙なニュアンスがたまらない(ちなみに、宇多田ヒカルの『Addicted To You』という曲らしい)。

 

ナイツはお馴染み「ヤホー」……じゃなくて「ワキペディア」の漫才。年末年始の特番でクセのある漫才ばかりを披露していた彼ら。今回、あえてのオーソドックスなスタイルで臨んだのだろうが、そこにむしろ物足りなさを感じてしまった。もっと、もっと過激でクセのある笑いを……って、私はお笑いジャンキーか。

 

タイムマシーン3号は『オンバト+』でも披露していた演劇のコント。どちらかといえば漫才が評価されがちな彼らだが、こういったコントもなかなかイケるので、テレビで披露させてもらえたのは有難かっただろう。ネタの内容は以前に見たときと大して変わらなかったと思うが、不思議とレベルアップしているように感じた。M-1からの勢いが止まることなく続いているためだろうか。

 

ドドんは歌ネタ。いつもの漫才と同様、随所にお坊さんネタを盛り込んだパフォーマンスになっていて、とても面白かった。彼らのネタは明確にお坊さんというジャンルを取り入れるので、なんとなくパターンが見えてきそうな気がするのに、まったく飽きさせないところが実に恐ろしい。ジャンルとしてのお坊さんの奥深さに感心せざるを得ない。途中、お客に煩悩のポーズを取らせておきながら、石田が「こうやって宗教は流行っていくんですよー!」と言い放ったのには笑った。何処から視点のコメントなんだ。

 

勝又は路上で死体と遭遇してしまった男のナンセンスコント。すぐに死体の存在を忘れてしまったり、著名人の名前がファンなのに思い出せなかったり、死体をドブに落とそうとしたり、もうやりたい放題。でも、そんなにムチャクチャなことをやっているのに、しっかりと笑いに昇華できる空気にしてしまえるところが彼らの強みであり、恐ろしいところでもある。あんなに面白いのにまったくアーティスト感が出ていない。実に恐ろしい。

 

インポッシブルは……別に触れなくてもいいか(笑)

 

エレファントジョンは『オンバト+』でもやっていた漫才。面白かった。以前にも見たことがあるネタの筈なんだけれど、幸か不幸か、森枝の相槌をまったく覚えていなかったので(そりゃ、あんなのイチイチ覚えている人間なんて、余程の物好きだ)、素直に笑うことが出来た。ボケをポケットに仕舞っちゃうくだりとか、「一生吸えるぜヒャッホー!」とか、ポケットに新しいボケを入れようとして「あれ、何か入ってますね!」とか、くっだらないけど面白いよなあ。

 

ジグザグジギーは火災現場に飛び込むたびに何故かだんだんとファッショナブルになっていく男のコント。この設定は素晴らしい! 例え、思いついたとしても、わざわざやろうというところにまで至らない、適度なバカバカしさ! こういうネタをやってくれるところがジグザグジギーの良さである。惜しむらくは、オチの物足りなさ。センスが行き過ぎた状態になって、更に何か欲しかった。

 

東京03はけっこう昔のコント。オチはテレビ仕様によりコントらしいものに改変されていたけれど。本来のオチはちょっと気まずい空気になってしまう感じのもので、それが個人的には少し苦手だったので、この改変は少し有り難かった気もする。とはいえ、本来のオチの方が、しっかりとコントを引き締めていたような気もする。

 

ハライチはいつもの。「俺様はシード」が最高に良かった。

 

次長課長は影絵を用いたコント。なんとも不思議なニュアンスのネタだった。山の不法投棄のくだりは、以前に彼らがやっていた『人形劇』のコントと同様、ポップな世界観に一種のグロテスクを盛り込むスタイル。あの空気感は次長課長ならではのものだろうな。後半のオレオレ詐欺のくだりは、コントとしてはけっこうありがちな設定のネタ。ただ、影絵として演じているため、両者の表情が明らかではないことが、本来以上の面白さを引き出していたように思う。分からないからこそ、そこに関する情報をシャットアウトしてしまったからこそ、引き出される面白さというか。

 

「ふきだまり応援団のコーナー」には、相席スタート、スーパーニュウニュウ、平野ノラ、馬鹿よ貴方は、阿佐ヶ谷姉妹、トンツカタン、永野、アンバランス、ザ・ギースが出演。通常回でもそうだったように、今回も平野ノラがいい活躍を見せていた。見た目のキャラクターだけじゃない、きちんと対応力がついているところが素晴らしい。

 

視聴前は、一時間のネタ番組ということで、物足りなさを感じるのではないか……と危惧していた部分もあったのだが、『こそこそチャップリン』から勝ち上がってきた若手の枠が多かったおかげで(タイムマシーン3号、ドドん、勝又、インポッシブル、エレファントジョンジグザグジギー)、なかなか刺激的で楽しい番組になっていた。いい番組だった。