白昼夢の視聴覚室

この世は仮の宿

「じわじわチャップリン」(2016年11月27日)

  • はなしょー40

「卒業式」。一週勝ち抜き。卒業式の日に、好きな人に告白すると決めていた二人のうち、一人がフラれて一人が付き合うことに……。前回のオンエアと同様、とある秘密を抱えることになってしまった杵渕が、何も知らない山田に振り回されるスタイルのコント。ただ今回は、二人のやりとりによるものではなく、杵渕が一方的に荒れ狂っている姿を描いたネタだったため、コンビの絡み合いによる笑いが控え目になってしまっていた印象を受けた。杵渕の悲哀にねじれたキャラクター(同じ事務所の先輩のあばれる君を思い出した)がハマっていなければ、危なかったのでは。オチはベタながら、いいキレ味。

 

  • マツモトクラブ46

「クロワッサン」。いつもパン屋へクロワッサンを買いにやってくるおじさんが売り切れたクロワッサンを探し求めている様子を、店員のモノローグとともに描く。コントとして見ると、大した出来事は描かれていないのだが、少しでもドラマチックな瞬間がやってくるたびに『オブラディオブラダ(ギターインストバージョン)』のイントロが流れ始めるという演出がバカバカしくて、ついつい笑ってしまった。トングの使い方も上手い。客席に背を向けているときでも、その表情を想像させられる。ちょっとイイ話っぽい展開も絶妙だ。しかしなにより、オチの「帰りなよぉ!」が秀逸である。ずっと冷静だったモノローグに感情が宿る、この愛おしさがたまらない。

 

【ふきだまりコーナー】

ワールドヲーター、むらせ、アイデンティティ、ゆにばーす、センサールマン、トンツカタンスーパーニュウニュウ、プラス・マイナス、サンシャイン池崎、ハブサービス、ハナコ、Aマッソ、平野ノラ、ザ・パーフェクトが登場。「見ていてあたたかくなるギャグ」というテーマの元、ハナコ、ハブサービス(ハーレークイン)、スーパーニュウニュウがギャグを披露した。

 

  • インポッシブル41

「農家」。二週勝ち抜き。パーカーにジーパンというラフな格好の宇宙人が人力で畑にミステリーサークルを作っていた……。以前、ふきだまりのコーナーで、導入だけ披露していたコント。その時点で既に「面白いな」と感じていたが、フル尺のコントでも、しっかりと面白かった。宇宙人のマスクを適度にズラすことで不気味さを演出したり、宇宙人が持ってきた謎のエネルギー銃のエグいチャージ音で緊張感と爆笑を同時に引き起こしたり、素材の使い方がいちいち上手い。冒頭へと戻って来るオチも見事。文句無しの名作だった。三週連続勝ち抜きでチャンピオン大会出場決定! ところで、どうでもいいツッコミなのだが、稲刈りだったら、畑じゃなくて田んぼでは……。

 

  • 勝又:【25】

「オーディション」。「次世代のコメディアンを探せ!」オーディションにやってきた男が、先に審査されている男が受けているコメントを盗み聞き、服装や態度を改めていく。コントの設定としてはありがち。笑わせ方もありがち。ただ、それなのに、何故か勝又:らしいコントになっている。小道具の扱いがあまりにも粗雑過ぎて、アヴァンギャルドな印象を与えるためだろうか。終盤の展開はけっこう好み。審査員の発言を強引に取り入れた結果、とんでもない格好になってしまった男に、思わず腰を抜かして銃を抜いてしまうくだらなさ。とはいえ、こういうネタはテレビ向けではないので、合格は難しいだろう……と思っていたが、意外と点数が入ったので驚いた。思っていたよりも「じわチャプ」観客の受け入れ口は広いのか。

 

【今週のふきだまり芸人】

アイデンティティ野沢雅子モノマネ」

トンツカタン「ショートコント:マナー」(何故かネタの後にAマッソコール)

 

次回の出場者は、アイデンティティ、ザ・パーフェクト、はなしょー(二週勝ち抜き)、マツモトクラブ(一週勝ち抜き)。