土曜深夜の視聴覚室

芸人のDVDについてなんやかんやいう

「2016年度版 漫才 爆笑問題のツーショット」(2016年6月29日)

 年に一度のお楽しみ、爆笑問題による一年分の時事ネタを凝縮したノンストップ漫才ライブを収録したシリーズ。2018年に結成三十周年を迎える彼らの漫才はとうの昔に安定の域に達しているが、本作は「こっちの身にもなってくださいよ……」と思わず太田がボヤいてしまうほどに注目のニュースが頻出した一年を対象としているためなのか、過去に類を見ないほど密度の高い内容に。「我々は最近ね、週刊文春のことを“ネタ帳”と呼んでいます」というボケに始まり、【熊本地震】【不謹慎狩り】【ベッキー報道】【ショーンKの謝罪放送】【桂文枝】【「ごきげんよう」終了】【三太郎シリーズ】【ドナルド・トランプ】【パナマ文書】【日本死ね】【YouTuber】【清原逮捕】【西野カナ「トリセツ」】【芸能界の○○会】【ドローン】【人工知能】などの話題が漫才に昇華されている。

爆笑問題の漫才といえば“時事を切る”というような言葉で表現されがちだが、その内容は基本的に意味がない。ベッキー田中裕二に送った手紙の内容は「かたたまをイジッてごめんなさい」だし、「ごきげんよう」のライオンちゃんは最終回で殺処分されるし、せんとくんは転職して真面目にサラリーマンをやっているし、人工知能は合コンの王様ゲームでも大活躍だ。現実に起こっている事件の奇妙さに対して、漫才というフィクションを武器に立ち向かう彼らのスタンスは、常に批判精神ではなく対抗意識によって成立している。無論、時には、底意地の悪い視点で時事に接することもあるが、あくまでも軸はナンセンスである。今回は特に、その側面が強く表出していたように思う。ベッキーの話題において、太田がゲスの極み乙女。の楽曲『私以外私じゃないの』の歌詞に言及するくだりは、あまりの意味の無さに腹を抱えて笑った。

特典映像はお馴染み「山中秀樹のニュースコーナー」。漫才では触れられていなかった時事ネタを含めた2015年度のニュースをフォローしている。なにせ一年分のことなので、忘れてしまっているニュースも少なくない。そういえば、又吉直樹が『火花』で芥川賞を受賞したのも、ここ一年の出来事だったか。この他にも、萩原流行の訃報、東京五輪エンブレムの盗用疑惑、ザキヤマ千原ジュニア福山雅治の結婚、マイナンバー制度、ラグビー日本代表流行語大賞「爆買い」など、例年なら取り上げられていたであろう話題がほぼスルーされていたあたりに、この一年の話題の密度の高さを改めて実感させられる。……そういえば、パッケージで太田がコスプレしている加藤紗里が、ネタに使われていなかったような……。

■本編【80分】

■特典映像【8分】

山中秀樹のニュースコーナー」