白昼夢の視聴覚室

この世は仮の宿

「ENGEIグランドスラム」(2017年5月6日)

中川家「漫才:新幹線」

陣内智則「コント:カラオケ」

COWCOW「うたの鬼ぃさん」

かまいたち「コント:受験」

ペナルティ「コント:ヒゲグリア」

U字工事「漫才:田舎への移住」

ゆりやんレトリィバァ「落ち着いていきや~」

バイきんぐ「コント:オーダー」

キャイ~ン「コント:ものまね芸人 鈴木三郎」

ミキ「漫才(寝かせたカレー)」

パンクブーブー「漫才:お化け屋敷」

銀シャリ「漫才:ハンバーグカレーライス」

アキラ100%「コント:まるごし刑事」

NON STYLE「漫才:ヒーローに変身」

スピードワゴン「漫才:四季 折々の恋」

トレンディエンジェル「漫才(アメリカ・飛行機に乗る)」

博多華丸・大吉「漫才:ミステリーハンター

友近×ロバート秋山「コント:夫婦タクシー」

柳原可奈子「コント:自称毒舌サバサバ女」

和牛「漫才:彼女の手料理」

ナイツ「漫才(ピンク)」

アンジャッシュ「コント:チカン裁判」

吉本新喜劇ユニット「座禅」

月亭方正「落語:天国か地獄か」

ウーマンラッシュアワー「漫才:ファンクラブ」

東京03「コント:角田の紹介」

シソンヌ「コント:ボクシング」

しずる「コント:立てこもり」

ダイアン「漫才:ひとりカラオケ」

爆笑問題「漫才(北朝鮮のミサイル、意識高い系、坂口杏里)」

フジテレビが誇る演芸番組の第八弾。司会はナインティナイン松岡茉優。初登場は、アキラ100%(「R-1ぐらんぷり2017」王者)、かまいたち、しずる、ダイアン、月亭方正友近ロバート秋山、ペナルティ、U字工事ゆりやんレトリィバァ。落語家の出演は、第二回放送に登場した桂三度、第六回放送に登場した三遊亭圓楽に続く三人目となる。

純粋にネタが面白かったのはスピードワゴン。小沢の妄想世界に井戸田が入り込んでしまう展開は、表現の自由度が高い漫才ならではの手法といえるだろう。その時、井戸田のファンだという妄想世界の住人が、ちゃんとファンとして井戸田に接していたのが、なんとも可笑しかった。こういうディティールの細かいところ、好きだ。そこから、「好きになった女がたまたま女優だったーっ!」という叫び、そして「あまーい!」「ハンバーグ!」と何故か井戸田のこれまでの芸能活動が一気に集約されていく謎の大団円的展開に、ちょっとだけグッときてしまったり。妄想と現実が合致した、スピードワゴンにしか出来ない見事な漫才だった。

その他、印象に残っているのは、例の一件を完全に井上のイジりネタの一つとして昇華させていたNON STYLE、タクシーという閉鎖的な空間の中で夫婦という濃密な関係性から生まれる狂気を押し付けられるというヤバすぎるシチュエーションをキャラクター演技で笑いに変えていた友近×ロバート秋山。まだまだ鮮度の落ちていないニュースを臆することなくネタに取り込むというアグレッシブな姿勢がたまらなかったウーマンラッシュアワー、池田の最高な演技をまざまざと見せつけたしずるも良かった。

でも、一番記憶に残ったのは、月亭方正の高座。見た目も話の内容も完全にタレントの山崎邦正なのに、語り口が完全に落語家のそれだった。しかも、演じたネタが、あの世を舞台とした新作落語である。上方落語の、それも米朝門下という立場から、あの世を舞台に時事ネタが飛び交う落語を演じるという行為の重みは、落語ファンであれば誰でも理解できるところであろう。正直、オチはちょっとしっくりこなかったが、実になんとも凄かった。

ところで、エンドロール中に、西村瑞樹(バイきんぐ)が目の腫れについてスタッフから質問されているところが映し出されたのは、何か意図があってのことだったのだろうか。いや、別に、どうでもいいことなんだけど。

死んだら飛び乗れ!『Hell Train』

いやー、申し訳ない。このところすっかり音楽脳なもので、お笑い芸人のDVDよりも動画サイトで面白い音楽を探してばかりの日々である。で、今更ながらハマッてしまったのが、こちらのstillichimiya。最初にハマッたのは、Twitterのタイムラインを流れてきた『ズンドコ節』だったのだが、今ではこっちばっかり聴いている。ご陽気なメロディで地獄が歌われている様が、なんだか古典落語の『地獄八景亡者戯』を彷彿とさせる。またリリックがたまらない。どれがどういいというのではなく、それぞれがそれぞれのリリックを駆使していて、固まりになって「地獄」が投げつけられてくる感じがとてもいい。それでいて最後は「ピャーン」である。なんだ「ピャーン」って。あんだけ攻撃的なリリックをかましておきながら、最後は「ピャーン」って。このバランス感もまた実にいい。その楽曲世界を完璧に近いカタチで表現しているプロモーションビデオも実にいい。いいとこ尽くしだ!

死んだらどうなる

死んだらどうなる

 

現在、こちらのアルバムを注文中。待ち遠しい。待ち遠しい。

踊る黄金週間(2017年5月3日~6日)の記録

【5月3日(水)】

午前六時半起床。もろもろの準備を済ませ、車で家を出る。途中、コンビニに立ち寄り、期間限定で安価になっていたおにぎりを三個食べる。宇多津駅付近の駐車場に車を停め、午前9時ごろ出発の電車に乗り込む。坂出駅で快速電車に乗り換えて、岡山方面へ。ゴールデンウィークということもあって、車内は激しく混雑しており、随分と身体を押されて腰を痛めるのではないかと不安を覚えた。午前10時に岡山駅へ到着。「イオンモール岡山」へ移動し、楽器を物色したり、フードコートで「豚蒲焼専門店 かばくろ」のぶたかば重を食べる。美味い。食後、「天満屋」へと向かい、中四国・九州の中古CDショップが出店している中古市を物色する。土岐麻子VOICE ~WORKS BEST~』を購入。店を出て、何かしらかのイベントで賑わっている商店街を抜け、以前よりTwitterでフォローしている資本主義氏と待ち合わせ。「串揚 山留」に入る。串揚げセットを食べる。味は良いのだが、かしこまった雰囲気が少し苦手である。その後、二人で公文庫カフェへ。割とプライベートな話やら私の自己顕示欲についての話やら(てれびのスキマ氏の文章は製品としてお店に出せるが、私の文章は業者向けの素材みたいだという指摘に「その通り!」と膝を打った)をした結果、精神的にやや疲弊する。午後2時半ごろに別れ、「シネマ・クレール」へ。映画『牯嶺街(クーリンチェ)少年殺人事件』を鑑賞する。四時間に渡る超大作のため、終盤あたりで尻が限界を迎えた。ただ、映画そのものは、とてつもなくハードでタフだった。午後6時半、映画館を出て、「一風堂」でラーメンを食べながら、本場福岡に思いを馳せる。食後、岡山駅に向かい、午後8時ごろ出発の電車で坂出を経由して宇多津駅へと戻る。午後10時帰宅。「水曜日のダウンタウン」を見る。完全に地獄の軍団に見つかってしまった西村瑞樹(バイきんぐ)のサイコぶりに笑いが止まらない。強めの缶チューハイを買い込んでいたので、それを呑みながら、寝る。

 

【5月4日(木)】

午前八時半ごろ、電話の着信音で目を覚ます。電話の主は、今日は遠方まで出掛けている筈の家族からで、途中で車のタイヤがパンクしたから、修理に時間がかかりそうなので迎えに来てほしいとの旨。まだアルコールの抜けていない頭で出かける準備をしていると、再度電話がかかってきて、思ったよりも早く修理が済んだから、もう来なくて良いと言われる。電話を切り、直後に「なんやそれ!!!」と叫ぶ。この日は家で作業する予定だったのだが、早い時間に起こされたことと晴天なことが頭の中で合体し、週末に予定していた高知へのドライブを敢行することに。もろもろの準備を済ませ、午前十時に車に乗って家を出る。途中、近場のうどん屋へ立ち寄り、遅めの朝食を済ませる。この時、高知県の天候を確認すると【曇りのち雨】と表示され、少しだけ不安が募る。高速道路に入ると、とてつもない渋滞に遭遇する。とはいえ、愛媛県を貫く松山自動車道高知県を貫く高知自動車道の分岐点である川之江ジャンクションを抜ければ、また状況が変わってくるだろう……と想像していたのだが、高知自動車道に入っても変わらず渋滞は続く。やはりゴールデンウィーク中に近場へ出かけるのは正しい判断ではなかったな、と改めて反省する。

そのまま車は南下して、土佐インターチェンジで降りる。以前、車で高知県を訪れたときに見かけたウクレレショップがこの近辺にあった記憶があったからなのだが、今回は見つけられず。もしやあれはマボロシだったのであろうか。そのまま車は高知市内にあるひろめ市場を目指す。しかし、観光スポットとしても名高いひろめ市場近郊の駐車場は、どこもかしこも満車で停めることが出来ない。仕方がないので、ひろめ市場から幾らか離れた愛宕町の有料駐車場に停車する。歩いて数分、満を持してひろめ市場に入るが、あまりの人の多さに戸惑う。普段から数多くの人が出入りしているスポットではあるのだが、それにしても多い。とりあえず大好きな「吉岡精肉店」の唐揚げを購入する。バジル風味の唐揚げがとんでもなく美味しいのである。かつおのたたきも頂きたかったが、この人の数ではどうにもこうにも出来ず、早々に諦めて撤退。その足で「金高堂」へ移動、『ご本、出しときますね?』を購入する。番組本とは思えない分厚さに、「佐久間宣行(プロデューサー)、バカじゃないの?」と嬉しさと驚きの入り混じった感情から無礼なことを口走る。本と唐揚げをカバンに突っ込んだまま「製麺処 蔵木」でつけ麺を食べる。名物という牛モツつけ麺が思ったよりも美味かった。食後、「イオンモール高知」へ移動。何か面白そうなモノはないかと立ち寄ったが、特に見つからず。そのまま車を南国まで走らせ、道の駅に立ち寄る。お土産物になりそうな物を探し、なんだかんだでにんにく入りノンオイル梅ドレッシングを購入。南国インターチェンジから高速道に入り、何処へ立ち寄るでもなく午後六時ごろに帰宅。「くりぃむナントカ」(AbemaTV)、「おげんさんといっしょ」(NHK総合)、「クレイジージャーニー」(TBS)を見て、寝る。

 

【5月5日(金)】

午前十時半起床。郵送しなくてはならない文書があったので、出社して文書をまとめる。それを封筒に入れ、郵便局へと持っていき、ゆうゆう窓口で受け取ってもらう。途中、電器屋に立ち寄り、DVDをパッケージごと収納できるケースを探すのだが見つからず。スーパーに立ち寄り、家族に頼まれたチマキを購入。うどん屋で朝食兼昼食。帰宅後、部屋の掃除を始める。長年に渡って手つかずのままにしていたため、すっかり黴まみれになっていた窓周辺を雑巾で拭き掃除。BGM代わりにテレビで『ハリガネロック in 渋公爆発ロック』を垂れ流す。リリースされた当時は、「爆笑オンエアバトル」チャンピオンの単独公演ということもあって妙にハードルを上げて視聴してしまったのだが、そういった思い入れから脱却した今、フラットな姿勢で見るとごく普通に面白い。一枚観終わっても、掃除が終わらなかったので、続けて『風立ちぬ』を観る。飛行機、美少女、情熱たぎる技術者たち等等、宮崎駿の集大成と呼ぶに相応しい名作ぶりを再認識。途中、ブログを更新。最近よく聴いている土岐麻子の『PINK』について、軽めに。窓を拭いている間に日が暮れてしまったので、切り上げる。夕飯を終え、配信版「勇者ああああ」を見ながらだらだらと時間を過ごしているうちに、うっかり居眠りを始めてしまい、午後十時ごろに目が覚める。風呂に入り、『孤独のグルメ』を見る。井之頭五郎、回転寿司を訪れるの巻。二人で一万六千八百円分も食べた客が登場し、大いに驚く。続けて、なんとなく録画した『わらたまドッカ~ン!』を視聴。子どもを相手にした際の対応の変化がちょっとだけ面白い。先週の『オードリーのオールナイトニッポン』を聴きながら、寝る。

 

【5月6日(土)】

午前六時半起床。フォロワーさんから加藤一二三特集の『ノーナレ』再放送情報を頂き、即座に録画予約する。合わせて『ENGEIグランドスラム』も予約する。この日も部屋の掃除。午前中は雑誌を処分する。以前、購読していたコミックビームをビニール紐で縛り、部屋の外へと放り出していく(ちなみに今は電子書籍版を購入している)。しかし、奈良佳子(一時期同誌に読み切りを掲載していた漫画家)の作品が掲載された号を取っておいたはずなのに見つからず、首をひねる。うっかり処分してしまったか、或いは、違うところに除けてあるのか。途中、DVDを収納できるケースを探しに、ちょっとだけ遠めの電器屋へ出かける。無事に三十枚入りの目標物を発見したので、これを購入して戻る。『ゴッドタン(松丸代打オーディション)』やテレビゲームのTAS動画を見ながら、せっせせっせとケースの入れ替え作業を続ける。しかし、案の定すぐに足りなくなる。amazonで同製品を百五十枚分注文、残りは届いてから作業することに決める。暗くなってきたところで夕飯。風呂に入ってから、先週の『モヤモヤさまぁ~ず2』を延々と見続ける。三時間半スペシャルで過去の女子アナが大集合。改めて、初代・大江アナの太平洋のような雄大さ、二代目・狩野アナの存在感の大きさに気付かされる。途中で停止し『さんまのお笑い向上委員会』。向上ゲストに古坂大魔王、向上委員にテツandトモアキラ100%、モニター横にかねきよ勝則(新宿カウボーイ)という素晴らしい布陣。しかし、鬱陶しいほどに説明過多な演出がトークのテンポを妨げていて、非常に残念。放送開始時には、もっと引きの美学を理解した番組だったように思うのだが。宜しくない。再びゲーム動画を見て時間を潰し、『オードリーのオールナイトニッポン』を聴きながら就寝。若林が、近日中に発売される新しい本の宣伝に使われている写真について、ボヤいていたのが面白かった。

 

【5月7日(日)】

午前八時半起床。ニコニコ動画で配信版『ゴッドタン』を見る。第7回コンビ愛確かめ選手権。ゲストはロバート、アルコ&ピースメイプル超合金カズレーザーが語る安藤なつのエピソードがいちいち面白い。川谷絵音が出演する『ワイドナショー』を録画予約。『孤独のグルメ』の記憶が頭にこびりついていたので、スシローへ寿司を食べに行く。朝食兼昼食という塩梅の時間帯だったとはいえ、二十皿は食べ過ぎた。食後、大型スーパーへ立ち寄り、ポロシャツを探してみるが中年向けの雰囲気がみなぎっているものしか見つからず、結果的にパーカー付きのTシャツを二枚買う。本来、肌着などを着ずに着るべきなのだろうが、Tシャツ一枚だけだとお腹を下すことが想像に難くないので、上から腹回りを包み込むベスト的な何かを買いたい。帰宅後、「連休をどう過ごすべきか?」という旨のツイキャスを敢行するも、六人しか訪問せず。夕刻に昼寝を決め込むも、外へ出かけていた姪っ子に起こされ、二人でオセロをする。『ちびまる子ちゃん』を見ながら夕食。人類が増えたときの食糧難に備え、まる子たちが野草集めに奔走する……という話に、311以降のメッセージを感じたような気がした。続けて『サザエさん』。休みの日に子どもからも大人からも誘われるマスオの優しさを取り上げたエピソードに、平日も早めに帰ることが出来る時代だからこそ出来る休日の過ごし方だな……などと思う。『モヤモヤさまぁ~ず2』は浅草橋と先週の特番の未公開映像。チャンネルを替えると、ちょうどロシア人女性に夜の三冠王がお尻を棒のようなもので叩かれているシーンで、どういうお店だったのかが凄く気になる。番組終了後、またゲーム動画を視聴する。……疲れているのかもしれない。風呂に入り、この記事を仕上げて、連休も間もなく終わりである。

脳内一面に広がる『PINK』

えっ、えっ、何これ何これ。ラジオを聴いているときに、流れてきた楽曲に心奪われた。その瞬間、まるで思春期のように気持ちが揺れたのを感じ取った。衝撃の大きさはあまりにもデカくて、その後の芸人のトークがまるで、頭に入らなくなってしまうほど、完全に呆然としてしまった。放送後、すぐさま詳細を調べて、それが土岐麻子の『PINK』という曲だと分かった。しばらくしてから買ったアルバム。聴いてみると当時の衝撃が、何の揺るぎもなく蘇った。何だこれは、何なんだこれは。都会の情景を描写する中に「おばけが出そうでシャワーが苦手」といった人間臭い言葉が飛び出す歌詞も最高だけれど、やっぱりメロディの高揚感がたまらない。ああ、自分の世界はまだまだ狭いのだなあ、と少し反省しながら、以前のアルバムを注文した私であった。

PINK(DVD付)

PINK(DVD付)

 

『PINK』以外の楽曲も良い。『Fancy Time』『Rain Dancer』『Peppermint Town』がお気に入り。

「にちようチャップリン」(2017年4月30日)

「誰も傷付けない癒しの笑い! 全日本ほんわかネタ選手権」。

テレビではまだまだ見る機会の少ない若手芸人がネタで競い合っていた前番組の方針から一転、中堅芸人のレギュラー出演者を増やして若手メインのコーナーを大幅に削減するという改悪を見せていた第一回放送に呆れ果て、もう視聴の継続は中止しようと心に決めていたのだが、上記企画に“あるあるの帝王”こといつもここからが出演するというので迂闊にも鑑賞。「コンプライアンスが厳しい昨今、尖った笑いよりも家族で安心して楽しめるほんわかな笑いが求められている」というコンセプトの元、厳選された六組の芸人がほんわかな笑いで競い合う。

ニッチェ「ハートフルショートコント」(97点)

カミナリ「10回クイズ」(58点)

大自然「気球に乗って」(81点)

いつもここから「かわいいね」(29点)

マツモトクラブ「嘘を見破る犬」(81点)

我が家「ローテーション漫才」(53点)

一応、賞レースという設定で開催されたのだが、一番手のニッチェがとんでもない点数を叩き出してしまったため、あっという間に緊張感もへったくれもない事態に。その結果、司会のウッチャンはネタを採点している観客へとツッコミを飛ばし、ほぼ王者になることが確定してしまったニッチェは暫定ボックスの中でボケまくるという、まさに「ほんわか」な状況が生み出されていた。こういう、ゆるーいぬるーい面白さを最大限に引き出せるところが、ウッチャンの強みである。

結果に関しては、それなりに妥当という印象。母と娘のベタな人情ドラマをコント的に強調して演じることで笑いを生み出していたニッチェ、天然じみた白井のボケに対して里の懐の広すぎるツッコミ(というか介護?)が笑いにしっかりと昇華されていた大自然、見栄と恥で塗り固められた気持ちをファンタジー色の強い設定でコント化していたマツモトクラブ、それぞれ「ほんわか」という主題にきっちりと噛み合っていた。

対して、視聴に耐えうる出来ではなかったのが、大トリを任されていた我が家。坪倉の下ネタを杉山が受け入れてしまうように改変された「ローテーション漫才」を披露していたのだが、とにかく酷い出来だった。何が酷かったって、杉山の演技力が酷かった。坪倉の下ネタが実は好きで好きでたまらなかったというようなことを口にし続けるのだが、まったく言葉に気持ちが乗っかっていない。彼らよりも前に、カミナリが激しいツッコミの後に優しくフォローするという、ちょっと方向性の似ているスタイルの漫才を披露していたこともあって、その表現力の差がはっきりと表れてしまっていた。

ちなみに、最低点を叩き出してしまったいつもここからに関しては、そもそも芸風が「ほんわか」とは真逆を向いているので、これはもう仕方がないだろう。今回、披露していた『かわいいね』も、ちょっとした思惑や失敗による戸惑いを「かわいい」と悪意たっぷりに表現するネタなので、そりゃ評価されるわけがないのである。

若手メインのコーナー「これからチャップリン」には、笑撃戦隊トンツカタン・しゃもじの三組が出場。一分間のネタで競い合っていた。『じわじわチャップリン』以前の戦いが無かったかのような扱いに、どうにもこうにも腹が立つ。あと、一分間のネタで競い合うというゼロ年代末期のショートネタブームをなぞったようなシステムを、シンプルで面白い大衆向けの笑いが評価されている今の時代に復活させたセンスのダサさにも腹が立つ。個人的にはしゃもじが面白かった。……『じわじわチャップリン』二代目チャンピオンだっつの! 面白いに決まってるだろ! 全部リセットしやがって! 馬鹿野郎。

2017年5月の入荷予定

ゴールデンウィークが始まるってのに、芸人のDVDなんか見てられるかっ!」という考えの元、リリース数が極端に少ない五月。当方が注目する作品も、千原ジュニアが六人のテレビ局員とタッグを組んだライブを収録した『6人のテレビ局員と1人の千原ジュニア』(2016年3月25日・恵比寿 ザ・ガーデンホール)のみ。しかも、聞くところによると、本編にはテレビ朝日加地倫三パートが収録されないとかなんとか。うーん……。ちなみに、ジュニアは過去に六人の放送作家とタッグを組んだライブ『6人の放送作家と1人の千原ジュニア』も開催している。こちらも合わせてどうぞ。

それはそれとして、九月にこんなのが出るらしいので、早めにチェックした方がいいかもしれない。

めっちゃ楽しみ。

「ミュージックステーション」(2017年4月28日)

生放送の音楽番組。司会はタモリ弘中綾香テレビ朝日アナウンサー)。

ゲストは、昆夏美&山崎育三郎、オースティン・マホーン、V6、ゆず、矢野顕子×上原ひろみ椎名林檎トータス松本、嵐。矢野顕子×上原ひろみのパフォーマンスを目的に視聴。しかし、ブルゾンちえみのネタに使用された『Dirty Work』を披露したオースティン・マホーン、路上時代の映像をバックに『栄光の架橋』を熱唱したゆず、豪華絢爛な『目抜き通り』で視聴者を魅了した椎名林檎トータス松本など、他のゲストのパフォーマンスもなかなかに素晴らしかった。

とはいえ、矢野顕子×上原ひろみは別格である。二台のピアノだけで繰り広げられる疾走感に充ち満ちた演奏は、どう贔屓目に見ても他の出演者を圧倒していた。否、そもそも向かっている方向性がそれぞれまったく違うので、安易に比較すること自体がナンセンスなのだが。そのような無防備な意見を思わず剥き出しにしてしまうほどに、脳天に突き刺さる演奏だった。

それにしても『ラーメンたべたい』は、あのような曲だったのか。

初めて『ラーメンたべたい』という曲を聴いたときは、なんだか笑ってしまったような記憶がある。歌詞の中で何度も繰り返される「ラーメンたべたい」というフレーズに、そこまでラーメンに執着しなくとも……と無意識に感じたのだろう。

だが、改めて歌詞を読んでみると、【ラーメン】という料理につきまとう孤独をこそ渇望している曲だということに気付かされる。そうだ、ラーメンは「ひとりでたべたい」のである。「となりにすわる恋人達には目もくれず」「責任もってたべる」のである。その歌詞の重みを感じた後だと、サビでの「くたびれる毎日 話がしたいから 思いきり大きな字の手紙 読んでね」の切実さが沁みてくる。

翌日の土曜日、別に狙ったわけではないがラーメンを食べた。こんな味だったっけな。

ずっと聴いている『七曜日』。

ああ、今週はダメだ。そのことに気が付いたのは木曜日の午後だった。何がダメかと聞かれたならば、全てがダメだと答えるだろう。ひとつの作業に耐え切れない。集中力が保ち切らない。思考回路も落ち着かない。頭の回転が良くない、のは元からだけど更に良くない。「良くなくなくなくなくなくない?」と、馴染みのフレーズがフル回転。狭い私の脳内ブースを席巻、していても踊る元気もない。関節に錆びが出ているみたい。肉体疲労は翌日に持ち越し、積み重なって今日に繋がり、四日分の疲労感とともに、迎えようか最後の労働日。なんとかなりそうな気もするし、なんともならない気もするけれど、何はともあれ週末だ。乗り切れば土日の到来だ。今週のダメを取り戻す。今週のバッドを仕切り直す。素晴らしき週末を楽しむために、この金曜日を乗り切ろう。と、テキストでほのかに語呂を踏む。テキストでおおよそにリズム刻む。ブログ更新もままならぬ、そんな調子で気付けば一週間。月、火、水、木、金、土、日、月、火、水、木、金、土、日、月、火、水、木、金、土、日。そろそろ調子を戻そうか。