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土曜深夜の視聴覚室

芸人のDVDを見てなんやかんやいうブログ

ずっと聴いている『七曜日』。

ああ、今週はダメだ。そのことに気が付いたのは木曜日の午後だった。何がダメかと聞かれたならば、全てがダメだと答えるだろう。ひとつの作業に耐え切れない。集中力が保ち切らない。思考回路も落ち着かない。頭の回転が良くない、のは元からだけど更に良くない。「良くなくなくなくなくなくない?」と、馴染みのフレーズがフル回転。狭い私の脳内ブースを席巻、していても踊る元気もない。関節に錆びが出ているみたい。肉体疲労は翌日に持ち越し、積み重なって今日に繋がり、四日分の疲労感とともに、迎えようか最後の労働日。なんとかなりそうな気もするし、なんともならない気もするけれど、何はともあれ週末だ。乗り切れば土日の到来だ。今週のダメを取り戻す。今週のバッドを仕切り直す。素晴らしき週末を楽しむために、この金曜日を乗り切ろう。と、テキストでほのかに語呂を踏む。テキストでおおよそにリズム刻む。ブログ更新もままならぬ、そんな調子で気付けば一週間。月、火、水、木、金、土、日、月、火、水、木、金、土、日、月、火、水、木、金、土、日。そろそろ調子を戻そうか。

これが大阪のやりかただッ! 「大阪チャンネル」始まる!

某月某日。知らない人からのメールが届く。

フィルターをくぐり抜けてきた天才的迷惑メールかしらんと訝りながら内容を確認してみると、つらつらと長文が書かれている。ざっくりと目を通してみたところ、アルモノについて文章を書いてもらいたいという、いわゆる執筆の依頼だった。だが、どういった媒体で公開される文章なのか、原稿料は貰えるのか、肝心なところが触れられていない。そこで「執筆の依頼だということは把握したのですが、書いた文章が何処で公開されるのか、原稿料は頂けるのか、教えていただけませんか?」という旨の返信メールを送ってみる。すると、「文章は貴殿のブログ上で公開していただくカタチになります。原稿料は出ません」とのこと。……つまり、これは執筆の依頼という形式をとった、ボランティア参加の案内だったのである。

現在、私はフリーペーパーのコラムをひっそりと連載しているが(今年で四年目に突入します)、無料で配布されている媒体への寄稿にも関わらず、原稿料はしっかりと頂いている。この原稿料は、いわば執筆者である私と、仕事を依頼している企業の信頼関係の証である。それなのに、このメールを送られた方は、一方的にこちらに文章を書かせ、それを私のか細いながらもそれなりにアクセス数を稼いでいるブログに挙げさせておきながら、お金は払わないという。私はあえて声を大にして言いたい。ステマさせろ! 金欲しい! ただただ金が欲しい! プリーズギムミーマネー! プリーズギムミーマネー! ……と、そのようなことを思いながらも、こういう時流の話題に乗っかってみるのも少し面白いような気がしたので、そのアルモノについての記事を書いてみようと思う。

2017年4月25日から、NTTぷらら吉本興業が関西の主要放送局と連携したネット配信サービス「大阪チャンネル」の提供が開始されたらしい。「大阪チャンネル」は関西のエンターテインメント番組を中心に構成された映像配信サービスで、『ごぶごぶ』『松本家の休日』などといった関西で人気のバラエティ番組のアーカイブ、『よしもと新喜劇』『ジャルやるっ!』『にけつッ!!』などといった現在放送中の番組の見逃し配信、「なんばグランド花月公演」「ルミネtheよしもと お笑いライブ」のアーカイブなどが楽しめるとのこと。関西ローカルの番組はともかくとして、劇場公演のアーカイブ配信はちょっと惹かれるものがある。なお、サービスを受けるためには、月額480円を支払う必要があるらしい(ひかりTV契約者はテレビでも閲覧可能な別プラン有)。内容の充実ぶりを思えば、この価格設定は安いと言ってしまっていいだろう。ただ……有料コンテンツなんかい!!! 有料コンテンツの宣伝を無料でやらせようとしとったんかい! ステマ! 金! マネー! おい!

詳しい情報はこちらでご確認を。→大阪チャンネル

……まあ、正直なところ、「大阪チャンネル」というサービスを知ることとなったきっかけがちょっとアレだったというだけで、サービスそのものについてはそれほど悪い印象を受けない。ただ、どういった番組が配信されているのか、どういった公演が配信されているのか、やや内容に関して不透明なためにサービスを受けることを躊躇われる気持ちも否定できない。また、インターネットテレビ局の「AbemaTV」や、民放公式テレビポータル「TVer」などが既に存在していることを思うと、やはり有料を前提としたサービスはなかなか受け入れにくいものがあるのではないかという気がしないでもない。まあ、そのあたりのことは、私の専門外なので言及しかねるが。それよりも気になるのは、どうやら「M-1グランプリ」は配信されているようなのだが、「R-1ぐらんぷり」も配信されてる……よね……?

こちらからは以上です。

中沢家よ、永遠なれ。

中沢家の人々・完全版

中沢家の人々・完全版

 

人生、何が起こるか分からない。だからこそ、面白い……と語る人がいる。だが、私の場合は、むしろ逆である。何が起こるか分からない人生が、恐ろしくて仕方がない。出来ることならば、これから私が歩むべき道を常に誰かに教えてもらいたい。でも、そんなことなど、出来る訳がない。常に一寸先は闇。それでも生きていかなくてはならない。誰もがそうやって生きている。さも当たり前のように。

そんな私の怯えた心を、三遊亭圓歌師匠の『中沢家の人々』は少なからず癒やしてくれた。落語家になるために両親から勘当され、それなのに自分が両親を養うことになり、それどころか死別した前妻の両親と再婚した後妻の両親も抱えることになり、気が付けば自宅で六人の老人と同居することに……そのムチャクチャなシチュエーションに笑って、泣いた。ああ、人生は割といいかげんでも、それなりになんとかなりそうだと思えた。どんな風に生きていても、最後は誰もがジジイババアじゃねえか。後に出た著書で、この噺の大半がウソだと知ったときは、ショックとまではいわないにしてもちょっとだけ驚いた。まあ、考えてみれば、こんなコミカルな話があるわけがない。でも、この噺を圓歌師匠が語り、多くの観客が半信半疑になりながら爆笑していたことは、紛れもない事実である。

今でも時々不安になるけれど、圓歌師よ、人生をありがとう。

「ナイツ独演会 この山吹色の下着」(2017年2月15日)

2016年11月から12月にかけて全国5ヶ所を巡ったライブツアーより、神奈川県・横浜にぎわい座での公演を収録。年に一度、国立演芸場で開催されていた「ナイツ独演会」による初めての全国ツアーである。とはいえ、既に現代を代表する漫才師の一組として、全国的にその名を轟かせているコンビであるナイツは、その緊張や感慨深さを微塵も見せることなく、これまでと寸分違わぬ自由奔放なステージを展開している。

「ナイツ独演会」には欠かせない漫談家中津川弦による前説に始まり、2016年に不祥事を起こした有名人たちの名前にとある共通点があることが発覚する『2016年をヤホーで調べました』、ジャニーズ事務所とウラで繋がっている漫才協会で副会長を務めている塙がSMAP解散騒動の真実を明らかにする……?『塙鷹の真相暴き』、2016年に亡くなった人たちに関するエピソードを寂しさと笑いとともにお送りする『追悼漫才』など、彼らならではの多種多様かつ大胆不敵な漫才で会場中を爆笑の渦に巻き込んでいる。

とりわけ『急げ!土屋』のバカバカしさには笑った。テレビでネタを披露させてもらえる時間はとても短いので、一つでもボケの数を増やすために少しでもセンターマイクに辿り着くまでの時間を短くしたいという塙が、様々な方法でタイムを縮めようとする、ただそれだけのネタである。基本的には、通常の漫才では有り得ない小道具を舞台上へ持ち出している、視覚的な面白さによるネタとなっている。しかし、そのシンプルな笑いの奥には、定められた短い時間の中でネタを演じさせようとする、メディアや賞レースに対する皮肉が垣間見える。そして、とにかく時間を縮めることに偏執的にこだわっている塙の狂乱ぶりは、そんなメディアや賞レースに踊らされている芸人の醜態そのもの……のような気がしないでもない。

また、笑いというよりも、試みとして面白いと感じたのは『ワンマンナイツ』。ナイツの二人が別々に登場し、一本の漫才を複数のパターンで見せるという不可思議な構成のネタで、笑うと同時にこれまでに見たことのない奇妙な何かを見させられているような感覚に陥った。彼らが「2355」(Eテレ)という番組の中で“一人ナイツ(塙と土屋がそれぞれ相方のいない状態で漫才をしている姿を撮影して観るものの想像力を刺激するコーナー)”を担当していることは以前から知っていたが、それともまた違っていて、私もどのように説明すればいいのかまったく分からない。ただ、分からないけれども、なんだか妙に面白いのである。細かい状況を説明すると面白味が薄れるタイプのネタだと思うので、気になる方は各自で確認してもらいたい。

特典映像は、初の全国ツアーを敢行したナイツのバックステージでの模様を収録した、「Documentary of ナイツ独演会 この山吹色の下着」。中津川弦に熟女ランキングを発表させたり、サプライズで日本エレキテル連合橋本小雪の誕生日を祝ったり、なかなかに楽しそうな姿も収められていたのだが、もうちょっとプライベートな部分が垣間見える内容だったら良かったのに……と、少しだけ思ってしまった。恐らく、同じく全国ツアーを展開している、サンドウィッチマンの特典映像に慣れてしまっているが故に芽生えた感情だろう。あれと同じ密度の内容を他の芸人に求めてはいけない。

「ヤホー漫才」のヒット以来、様々な漫才のフォーマットを生み出し続けているナイツ。これから先も、多くの人たちに愛されながらも、しれっと更なる深みを目指して漫才という名の深みを目指していくのだろう。今年の独演会ではどんな鉱脈を見せてくれるのか、今から楽しみである。

■本編【91分】

「2016年をヤホーで調べました」「リオの戦リオ品」「塙鷹の真相暴き」「ワンマンナイツ」「追悼漫才」「解散の予感」「急げ!土屋」「ピンク」「漫才協会ラップ」

■特典映像【20分】

「Documentary of ナイツ独演会 この山吹色の下着」