土曜深夜の視聴覚室

芸人のDVDについてなんやかんやいう

“ガチョウ”を求めて大阪へ(2018年1月19日~21日)

THE GEESEが大阪で単独公演をやるというので、観に行ってきた。

THE GEESEとは、尾関高史と高佐一慈によって2004年に結成された、お笑いコンビである。過去に二度ほど「キングオブコント」で決勝進出を果たしているので、その名を聞いたことがあるという人もそれなりにいるのではないかと思う。近年、尾関がカープ大好き芸人として、或いは、娘に手作り弁当を作り続けているパパ芸人として、メディアに出演する機会が増えているので、それをきっかけに知っているという人もいるだろう。所属事務所はASH&Dコーポレーション。同事務所に所属する“シティボーイズ”の大ファンだったことからインディーズ時代より所属を熱望、2005年に入社した。

そんなTHE GEESEが東京・大阪・広島の三都市で単独ライブを敢行すると聞きつけ、馳せ参じようと決意した次第である。……本来ならば、大阪では大阪で活動する芸人こそを見るべきなのだろうが、まあ、それはまた別の機会にということで(後になって、このライブの一週間後に大阪でチョップリンの単独ライブが開催されると知り、ちょっとだけ後悔したのはここだけの話)

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「THE GEESE 第13回単独ライブ「果てしなきガム」」(2018年1月20日・大阪)

大阪へTHE GEESEの単独ライブを観に行く。

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ライブの会場は“道頓堀Zaza”というところ。なかなかにクールな名前だが、大阪を象徴するモニュメントの一つ“くいだおれ太郎”が正面に飾られている「くいだおれビル」の地下一階にあるので、馴染みのない人でも気軽に立ち寄ることが出来る。むしろ、大阪土産も沢山売られているので、観光客も安心だ。

地下へと向かうエスカレーターを下ると、真ん前に二つの入り口が待ち構えている。道頓堀Zazaには「HOUSE」と「Pocket's」の二つのホールが存在していて、左手側が「HOUSE」、右手側が「Pocket's」の入り口だ。THE GEESEの単独が行われるのは「HOUSE」の方である。入口でチケットをもぎってもらい、会場内に入ったのは午後一時四十五分ごろだっただろうか。既に客席は沢山のお客さんで埋まっていた。大阪のお笑いファンは東京からの芸人に厳しいという話を聞いたことがあるが、それが本当だとすれば、THE GEESEは大阪に大いに受け入れられているということになる。喜ばしい話である。

午後二時開演。

この記事を書いている頃には全公演が終了しているので、もうネタバレなども気にせずにネタの内容についても書いていこう。どうやらソフト化もされなさそうだし。以下、ネタのラインナップ(タイトルは勝手に付けてます)。

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「キンタロー。初単独ライブ「Kintalo。TV」」(2017年10月4日)

キンタロー。初単独ライブ「Kintalo。TV」 [DVD]

キンタロー。初単独ライブ「Kintalo。TV」 [DVD]

 

2017年6月10日に松竹芸能新宿角座で開催された単独ライブを収録。

宮沢りえのヌード写真集「Santa Fe」を思わせるパッケージから、本編はキンタロー。お得意のモノマネ芸を軸に構成されているのだろうと事前に想定していたのだが、いざ蓋を開けてみると、そのパフォーマンスの大半がオリジナルの一人コントだったので、非常に驚いた。舞台上で演じられるモノマネは、オープニングで披露された欅坂46のパロディユニット“松木坂46”による『サイレントマジョリティー』だけで、それ以外の演目は完全にオリジナルの一人ネタとなっている。

正直、キンタロー。の一人ネタに果たして見る価値があるのか、不安を覚える人も少なくないのではないだろうか。実のところ、私もキンタロー。について、モノマネ芸における独自の着眼点と類い稀なる巨大な顔面による表現力は抜きん出ているように思うも、それ以外の演技力や話術に関しては、さほど評価できるものではないと踏んでいた。だが、これがなかなか悪くない。

新人気象予報士が初めてのお天気コーナーに緊張して余計なことを喋り続けてしまう『お天気キャスター』、万引きを疑われていた主婦が盗ったモノとは?『万引き』、SNSで自慢する女子を取り締まる捜査官に扮したキンタロー。が様々なフェイクツイートを暴いていく『FTI』など、いずれのネタも傑作……とまではいかないにしても、実に的確に笑いを取っている(うっすら笑い声が足されている気がしないでもないが)。あまりに良く出来ているので不思議に思っていたのだが、スタッフロールを確認してみると、脚本担当として「大輪教授」「久馬歩ザ・プラン9)」らの名前が。なるほど。つまり、これらの名だたる作家たちが、キンタロー。の魅力を引き出せるネタを考えた結果、これだけ面白い内容になったのである。縁の下の力持ちに感謝せざるを得ない。

では、キンタロー。本来の持ち味である、モノマネ芸は殆ど見られないのかというと、そんなことはない。キンタロー。のモノマネは幕間映像として本編にしっかりと収められている。そこには、デヴィも、ヨーコも、光浦も、あとアンジーも居る。実に嬉しい。更に、映像のみのゲストとして、ジョンに扮したキートンキンタロー。から誇張し過ぎたモノマネ返しを食らって苦笑が止まらないハリウッドザコシショウまで登場するのだから、実にたまらない。正直、これだけでも作品として成立するのではないか、と錯覚させられるほどに楽しい映像群だった。

これらの本編に加えて、某番組でキンタロー。の相棒を務めているロペスとともにガチの社交ダンスを披露する「社交ダンス~エンドトーク」、大人の事情で本編に入れることが出来なかったPerfumeのダンスパフォーマンス後に繰り広げられた三人のトークを撮影した「キンタロー。×misono×ほりゆうこ(たぬきごはん)トーク」を特典映像として収録。正直、たぬきごはんのファン(といえるほどの立場でもないが)としては、松木坂46の『サイレントマジョリティー』が収録できたのだから、なんとか本編に食い込ませることは出来なかったのか……と追求したい気持ちもある。とはいえ、なんとかトークだけでも残してくれたことに感謝したい。あと、もし良かったら、いつかたぬきごはんのDVDを出してほしい。うん。よろしくお願いします。

◆本編【66分】

「【ものまね】松木坂46」「はじめての…①」「【コント】お天気キャスター」「思い出の地で①」「【コント】万引き」「しげ子に会いたい①」「【コント】初夏の怪談話」「キンタロー。の逆襲」「【コント】ダンス THE フリップ SHOW」「はじめての…②」「【漫談】嘆きの扉」「プロフェッショナル キンタロー。の流儀」「しげ子に会いたい②」「【コント】2軒となりのしげ子さん」「キンタロー。が勢いで色んなものまねをやってみる」「【コント】FTI」「キンタロー。の逆襲には続きがあった。」「【コント】昼の顔」「思い出の地で②」

◆特典映像【12分】

「社交ダンス~エンドトーク

キンタロー。×misono×ほりゆうこ(たぬきごはん)トーク

TKO「ゴールデン劇場6」(2017年12月6日)

TKO ゴールデン劇場6 [DVD]

TKO ゴールデン劇場6 [DVD]

 

2017年8月に赤坂レッドシアターで開催された単独ライブを収録。

本編に収められているコントは全部で六本。お化け屋敷のバイトにて、お化けになって人を驚かせることに対して異常なほどの情熱を燃やしている先輩と、そんな先輩に対して気持ちが引いている後輩のやり取りを描いた『お化け屋敷』、完全にオフの状態だった怪人がヒーローに襲われ、拳で背中を貫かれてしまう状況をボヤき続ける『ヒーローと怪人』、テレビドラマのワンシーンで悪目立ちしているエキストラが、注意されるごとに新しい方法で目立とうとする『エキストラ』など、どのコントも安定して面白い。熟練の技術が活かされている。

特に面白かったのは『関係者受付』と『BBQ』。

『関係者受付』は文字通りライブ会場の関係者受付を舞台としたコント。サカナクションのライブ会場にやってきた関係者を名乗る男性の名前が、関係者リストの中に記載されていない。詳しく話を聞いてみると、男の正体はラジオDJで、番組に出演したサカナクションから「ライブ来てくださいよー」と言われ、それを真に受けてやってきたらしく……。木下演じるラジオDJの胡散臭さもさることながら、ライブ会場に入り込むために無茶苦茶なことを主張し始める流れがヒド過ぎて、笑わずにはいられない。それよりなにより“関係者受付”というニッチなシチュエーションがたまらない。コントが終わった後にもおたのしみが……。

そしてオープニングコント『BBQ』。これが抜群に良かった。木下に誘われて、バーベキューにやってきた木本。現地に到着すると、そこには一人で肉や野菜を焼いている木下の姿が。買ってきた飲み物をクーラーボックスに入れながら、今日のバーベキューに誰が来るのかを確認すると、他には誰も来ないと言われて……。バーベキュー、インスタ、ボール遊びなどを“おっさん二人”でやることに違和感を覚えている木本。一方、たとえ“おっさん二人”であっても、それらの遊びを楽しめばいいじゃないかと主張する木下。一般的には木本の方に共感できる人の方が多いのかもしれないが、私はまんまと木下の言い分に感動してしまった。私もアラサーと呼ばれる年齢になって、世間がイメージしているアラサーの在り方に捉われかけていたからだろう。これからの人生、「感じたら動く! 動いたら出来んねん!」という台詞を胸に、おっさんになっていこうと思う。オチも最高。

これほどにネタの内容が充実している本作だが、全体を通してみると、ほのかな物足りなさを感じる。何故か。ネタの本数が感覚的に少ないからである。そこで、当時のライブレポを漁ってみると、実際の公演から二本のコントが削られていることが判明した。しかも、そのうちの一本は、あの「キングオブコント2010」決勝戦で披露されたコントに登場した“モロゾフ後藤”が再登場するネタだったらしい。恐らく、版権絡みのネタだったのだろうが、なんとかして収録してもらいたかったなあ……。

これら本編に加えて、特典映像としてTKOが声を当てているショートアニメ「三角関係ギドラ」「キツイ言葉とオブラート」を収録。ライブの幕間で流された映像らしいのだが、本編で披露されているようなTKOのコントの世界観とは打って変わって、こちらは徹底的にシュールで不可思議な内容となっている。“オモコロ”に掲載されているような漫画が好きな人ならハマると思う。しかし……誰が仕込んだんだコレ。

◆本編【61分】

「BBQ」「お化け屋敷」「フラッシュ暗算」「ヒーローと怪人」「関係者受付」「エキストラ」

◆特典映像【6分】

【TKOショートアニメ劇場】「三角関係ギドラ」「キツイ言葉とオブラート」