令和時代のお笑い公論

心が腐る、その前に。

「M-1グランプリ2019」ファイナリスト決定!

インディアンス(2010年結成)
オズワルド(2014年結成)
かまいたち(2004年結成・昨年ファイナリスト)
からし蓮根(2013年結成)
すゑひろがりず(2011年結成)
ニューヨーク(2010年結成)
ぺこぱ(2008年結成)
見取り図(2007年結成・昨年ファイナリスト)
ミルクボーイ(2007年結成)

来年は世代交代の年になるかもしれない。昨年のM-1グランプリが幕を下ろした直後、そんな話を耳にした。確かに、その予感はあった。後に“お笑い第七世代”を提唱する霜降り明星による優勝は、新しい世代による時代の幕開けを思わせた。また、復活後のM-1において、確かな存在感を見せていた常連組のジャルジャルスーパーマラドーナが、出場規定である結成15年を超えたことも、そう感じさせた大きな理由だろう。新陳代謝が起きる前触れだ。それから、昨年大会において、完全なる“危険球”と目されていたトム・ブラウンが、一部の審査員に高く評価されたことも革命的な事件だった。この判断により、M-1は漫才の枠組みを超越するような漫才師でも評価する、漫才の可能性の幅を広げる大会としても見られるようになった。

その結果が是である。正直、驚きを隠せない。これまで大会の象徴的な存在だった和牛、圧倒的なしゃべくり芸で多くの数寄者を唸らせたミキ、関西では高い人気を誇る実力派漫才師・アインシュタインなどといった、今大会の有力候補が軒並み敗退している。少なくとも、この中から一組は食い込むだろうと思われていた。それが全て落とされている。それだけでも衝撃なのだが、何よりファイナリストの中に、あのすゑひろがりずがいることに驚いた。準決勝戦に勝ち上がったと知ったときにも「上がれたのか!」と思ったのに、まさか決勝戦の舞台に躍り出ることになろうとは。トム・ブラウンを決勝に上げ、決勝の審査員に評価されたことに味を占めた準決勝の審査員が、うっかり調子に乗ったとしか思えない。無論、ベラボーに面白いコンビである。大いに張切ってほしい。

そして、ぺこぱ……『笑けずり』で見せていた漫才は完全に頭打ちで、彼らにはこれ以上の伸びしろはないだろうと勝手に決めつけていたことをここで反省したい。人は生きていれば変わるのである。芸人もまた変われるのである。昨年大会で披露していた漫才には確かに光が見えていた。それでも、それでも、ここに上がってくるほどの成長を見せようとは……。

一般の視聴者向けのメンバーではないだろう。『キングオブコント』ならば、きっとファイナリストをシークレットにしていたに違いない。そして、その認識度の低さが故に、大会全体が盛り上がりきらないかもしれない。だが、本質的にM-1は、もとい、R-1もKOCも、全ての賞レースは若手芸人のためにある。むしろこの選出は、敢えてテレビショウとしての側面を無視して、大会としての矜持を見せつけた結果といえるだろう。ならば、お笑いを愛する視聴者は、その意志をしかと受け止める必要がある。当日は心から漫才を楽しみたい。あと、敗者復活戦も楽しみたい。そっちから和牛かミキが上がってきそうな気がしないでもない。そして、とんでもないマクリを見せるかもしれない。まあ、それもまた醍醐味である。

「M-1グランプリ2019」準々決勝敗退者・オススメの五組(11月19日東京予選)

菅家です。毎年のアレです(以下、過去のアレ)。

ここ最近、公私ともに慌ただしい日々を過ごしているため、悠長に文章を書き連ねられるような余裕がないため、細かい説明は抜きにして、とっとと本題に入ろうと思います。今年のM-1グランプリで惜しくも準々決勝で敗退してしまった漫才師たちの中から、個人的に面白いと感じさせられたコンビを選出しております。私が好きな漫才師を皆さんも気に入るとは思いませんが、興味がありましたらば。

以下、今年のアレ。

三四郎

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マセキ芸能社所属。小宮浩信(左)と相田周二(右)によって2005年に結成。スクールJCA13期生。今やタレントとして確たる地位を築き上げている三四郎だが、こと漫才師としてのイメージはあまり定着していないように思う。少なくとも、彼らが売れっ子となる前のガムシャラにハチャメチャな漫才を知る人は、それほど多くはないだろう。事実、ここ数年の三四郎は、少なくともM-1予選においては保守的な漫才を演じていた。ところが今年は違った。売れっ子になった三四郎は、更にアヴァンギャルドでサディスティックな地平へと辿り着いた。否、辿り着いてしまった。その倫理性の低さが故に今年は準々決勝敗退という憂き目を見てしまったように思うが、とはいえ、その姿勢は称賛に値する。これが令和の三四郎だ。三回戦「ちっちゃいおじさん」準々決勝「開頭手術」

モグライダー

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マセキ芸能社所属。ともしげ(左)と柴大輔(右)によって2009年に結成。芝は東京NSC9期生、ともしげはスクールJCA13期生。シンプルに愚鈍なともしげとキツい見た目とは裏腹に優しさが滲み出ている芝の悪ふざけのような漫才は、ある意味では正統派といえるだろう。ただ、ともしげはそれにしてもあまりにも愚鈍で、芝はそんなともしげの愚鈍さを心から楽しんでいる。相方の魅力をこれでもかと引き出している。そこで描かれているのは奇妙な共犯関係の匂い。とはいえ、ただムチャクチャにやっているわけでもない。漫才コントのディティールは意外と繊細に描き込まれている。才気も技術も愛嬌も備わっている。本来、もっとベラボーに売れなくてはならないコンビだろう。三回戦「マイケルじゃんけん」準々決勝「介護の心得」

【ストレッチーズ】

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太田プロダクション所属。福島敏貴(左)と高木貫太(右)によって2012年に結成。慶応義塾大学お笑い道場“O-keis”出身。漫才には“定番の設定”が幾つか存在する。それだけ演じやすいシチュエーションなのだろう。だが、定番と呼ばれるほどに多くの漫才師たちによって演じられているということは、それだけの数の対抗馬が存在するということとだ。余程、突出して面白い様を見せていないと、あっという間に視聴者の記憶の屑籠の奥へと押し込まれてしまう。今回の予選でストレッチーズが披露したネタもまた、ありがちな設定である。だが、彼らの漫才に登場する人々は、誰もが僅かにズレている。本来、その場で求められている人材とは、僅かにズレている人が登場する。このズレが、また絶妙だ。フィクションと呼べるほど非現実的ではなく、とはいえ、ノンフィクションと呼べるほどに現実的ではない。その絶妙な合間を上手く通り抜けている。とりわけ準々決勝で披露していた漫才は笑った。「不良生徒を注意する教師」というありがちな設定に「教師が実は教育実習生」というありがちなボケを経て、怒涛の勢いで繰り広げられる「教育実習生」漫才。派手ではないが、面白い。三回戦「お客様の中に」準々決勝「不良生徒を説教する」

【ダイヤモンド】

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吉本興業所属。野澤輸出(左)と小野竜輔(右)によって2017年に結成。野澤は「エレ―ン」、小野は「アルドルフ」「セクシーパクチー」というコンビでそれぞれ活動していた。ダイヤモンドの漫才は、まず野澤の話から始まる。その内容は率直に言ってヘンテコだ。例えば、色々な言葉に“半”を付けてみたり、“スポーツ”を付けてみたり、何の話をしているのかがよく分からない。面白いといえば面白いし、つまらないといえばつまらない。どちらかといえばつまらない寄りの内容である。だが、その明らかに異様な話に対して、相方の小野はまったくツッコミを入れようとしない。何の感情も込めていない目で野澤をただ見つめるばかりだ。だが、野澤の話が一通り終わると、それまでの不可思議な話が全てフリとなって、次々に笑いへと昇華されていく。個人的に、私は構成を意識した漫才はあまり好きではないのだが、彼らのネタは反射的に「好きだ」と思ってしまった。恐らく、私は前半の敢えて捨てている野澤の話のパートの持つシュールな雰囲気が、それはそれで好きなのだろう。M-1で勝てる漫才ではないのかもしれないが、良い。三回戦「半」準々決勝「スポーツ」

 

【ドンデコルテ】

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吉本興業所属。小橋川共作(左)と渡辺博基(右)によって2019年に結成。小橋川は「デビルポメラニアン」、渡辺は「マンキンタン」というコンビでそれぞれ活動していた。ネガティブな感情と良心による暴走がぶつかり合ったブラックマヨネーズ、ありきたりな事物への異常な執着が平凡な優しさに襲い掛かるチュートリアルの例を見ずとも、M-1グランプリという大会において、ある種の熱狂は高い評価を獲得することがある。その意味では、ドンデコルテは今後の飛躍に期待を持てるコンビといえるのかもしれない。小橋の平々凡々とした話に対し、渡辺が強烈な持論を展開、自らの世界へと小橋も観客も飲み込んでしまう姿は圧巻だ。三回戦の時点ではまだ偏執的価値観の域を出なかったが、準々決勝では完全にその世界観を剥き出しにしてしまっている。ただ、あまりにもよく出来たネタなだけに、これっきりなのではないかという不安も残る。来年、更なる飛躍を見せるか、それとも静かに姿を消してしまうか。それまで絶対に名前を憶えておきたいコンビの一組である。三回戦「原付」準々決勝「ディフェンス」

以下、準々決勝戦(大阪予選)の出場者。お気に入りは★マーク。

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2019年12月の入荷予定

25「コント集団 カジャラ 第四回公演「怪獣たちの宴」
25「タロウ4」(ハナコ
25「カロ」(かが屋

どうも菅家です。皆さんは孤独ですか。私は先日お見合いした方と交際中なので孤独ではありません。しかし、いつ何時、私のひとでなしな本質を見抜かれて、縁を切られてしまうか分からないので、今はただひたすらに戦々恐々とした日々を過ごしております。とはいえ、もしも私が結婚という運びになった場合、コレクション活動の日々に終止符を打つかもしれない……ということで、ジレンマに陥っております。一体どうなりますやら。

そんな十二月ですが、地味に豪華なラインナップがクリスマスに控えております。まず小林賢太郎率いるコント集団・カジャラの単独公演。なだぎ武をゲストに迎え、これまでの公演とはまた少し違った味わいの舞台を展開しております。そういえば、来年のカジャラによる公演の予定が発表されていませんが、どうするつもりなのでしょうか。一人芝居の舞台『うるう』を控えているので、2020年は休むのかしら。続いてキングオブコント王者・ハナコによる単独ライブ……をベースにした撮り下ろし映像集だそうです。最近はこのパターンが当たり前になってきてますね。ちゃんと整えた状態で残したいのかもしれません。新ネタも収録されるらしいですよ。そして最後に、かが屋念願のベストコント集……が、どうしてスタジオ収録なのか!!! そこは客入れして収録してくれよ!!! バカじゃないの!!! バカじゃないの!!! バカじゃないの!!!(大事なことなので三回言いました)

今年は以上! バーカ!(投げやり)