白昼夢の視聴覚室

この世は仮の宿

2018年9月の入荷予定

05「トータルテンボス 20周年全国漫才ツアー2017 「YAGYU」

05「さらば青春の光 単独LIVE『真っ二つ』

19「ウルトラセブン落語」(柳家喬太郎柳家喬之助・林家二楽

八月は殆どブログを更新しなかったですね。夏ですからね。仕方がないことです。自宅でシコシコ文章を書いているよりも、外に飛び出して、海とか山とかに遊びに行った方が健康的ですから。……まあ、海も山も行ってないんですけども。八月に何をやったかもう忘れてる菅家です。明けて九月のラインナップは以上のようになっております。大体、過去にDVDを出している人たちが、安定して今回もリリースしているという感じでしょうか。その中でも、個人で事務所を立ち上げ、そのまま何処にも属することなく活動を続けているさらば青春の光の単独ライブがソフト化され続けているのは、有り難いことであります。前作のレビュー、まだ書いてないけれど。……いやー、時が過ぎるの、ちょっと早すぎやしませんかね。

トーキョウシソンヌ旅行記(2018年8月11日~14日)

【8月11日(土)】

午前十時、起床。

前日の夜、家族でビアホールに繰り出し、バドワイザーハイネケンの瓶を空けまくっていたためか、少し頭がぼんやりとしている。

クセの強い味付けのカップヌードルで朝食を済ませ、旅行の荷物を確認する。三泊四日の予定なので、下着を上下三枚ずつと着替えのシャツを二枚、ズボンを一本。パンツは現地で捨てることを前提に、持っているものの中から穴が開きかけている古ぼけた三枚を選んだ。その他、ライブのチケット、T字カミソリ(+替え刃)、手帖などを詰め込む。年に一度の旅行なので、予算についてはあまり考えない。おそらく、謙虚で健全な観光であれば、必要のないだろう程度の金額を用意する。

午前十一時、愛車で家を出る。搭乗する飛行機は午後三時半発の予定だったが、移動中に何かが起きてしまった場合を想定し、かなり早めの出発となった。途中、空港近くのコンビニに立ち寄って、缶コーヒーを購入。駐車場に大型トラックが停まっていて、出るときにそれが邪魔になって道路の様子が見えなくて、少し難儀した。

午後一時半を過ぎた頃、高松空港に到着。お盆休みの時期ということもあって、駐車場はなかなかに混み合っていた。ただ人気はない。皆、午前中の飛行機で、とっとと行ってしまったのだろうか。辛うじて、やや奥まったところが空いていたので、無事に駐車。その場で十二日のオフ会の会場に電話、人数が変更になったことを伝える。その後もしばらく車内で時間を潰していたのだが、あまりにも退屈だったので、荷物の詰め込まれた大きなカバンを抱えて空港内へ。

しばらく中でウロウロしていると、ブックオフが出店しているところに通りがかる。何故に空港内でブックオフを? 艦これや初音ミクのフィギュアが千円で売られていて、少し購入を検討したが、結局、買ったフィギュアを車へ置きに行くことを思うと、ちょっと面倒臭かったので、眺めるだけに留める。

午後三時半搭乗。一時間と少しのフライトを、電子書籍を読みながら過ごす。

午後五時過ぎ、成田空港に到着。徒歩で成田空港駅へと移動し、京成電鉄のスカイライナーに乗り込む。やや車内が混み合っていたので、何処かの知らない中年男性と相席となった。旅行の帰りらしく、ちょっと酒の臭いがした。午後六時半ごろ、上野駅に到着。ひとまず今回の宿であるカプセルホテル北欧へと移動……しようと思っていたのだが、あまりにも空腹だったために、ホテル近くの【てんや】で天丼を食べる。この後、すぐにオフ会の予定だったのだが、朝のカップヌードル以降、ろくに何も食べていなかったのだから仕方がない。食後、ホテルへ赴き、チェックイン。荷物をロッカーに預け、最低限の荷物だけを入れた肩掛けバッグを片手にホテルを出る。

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そのままオフ会の会場である【マグロ婆娑羅 上野店】へ。しかし、店の前に来ても知った人が見当たらなかったので、ちょっとだけ近くのTSUTAYAで涼を取る。アニメ版「ゲゲゲの鬼太郎」が好評だからなのか、やたらと妖怪事典の類が売られていたのが気になった。しばらくして再び外へ、店の前まで戻ってくると、今回のオフ会を主催してくれたウダガワ氏の一行と遭遇する。ウダガワ氏と対面するのは、何年か前の飲み会以来だ。挨拶もそこそこに会場へ。飲み放題・食べ放題と聞いていたのだが、よくよく話を聞いてみると、どうも食べ放題に関しては限られたメニューだけが適用されるらしく、結果的に延々と肉寿司と婆娑羅(店のオリジナル魚料理)ばかりを食べ続けることになってしまった。とはいえ、テレビ好きなメンツが集まったため、話がスーパーボールのように弾む。SNSがつまらなくなってきただとか、黒塗りの件をどう処理したものかとか、そういった話が延々と繰り広げられた。

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午後十時、店を出る。しかし、まだまだ飲み足りなかった私は更なる飲み会の開催を要求、すぐ近くにある【銀座ライオン】での二次会を敢行した。ただ、既に閉店間際だったため、一時間ぐらいしか滞在できず。その癖、何の話をしたのかもまるで覚えていない。きっと、楽しい話をしたことだろう。

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午後十一時、解散。そのままホテルに戻った私は、すぐさま大浴場へと赴き、身体中から溢れ出る汗を洗い流した。やはり北欧の大浴場は広々としていて気持ちいい。入浴後、すぐ寝た。

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「クローズアップ!サザン~40周年プレミアム~」(2018年8月8日)

「茅ケ崎に背を向けて」(1978)

いとしのエリー」(1979)

 インタビュー映像

「YOU」(1990)

「SHE SIDE WOMAN BLUES」(1997)

 インタビュー映像

「闘う戦士たちへ愛を込めて」(2018)

「壮年JUMP」(2018)

「涙の海で抱かれたい ~SEA OF LOVE~」(2003)

 メンバー紹介(+インタビュー映像)

「東京VICTORY」(2014)

ミス・ブランニュー・デイ(MISS BRAND-NEW DAY)」(1984

HOTEL PACIFIC」(2000)

みんなのうた」(1988)

 インタビュー映像

「LOVE AFFAIR ~秘密のデート~」(1998)

勝手にシンドバッド」(1978)

クローズアップ現代」の枠で放送されたサザンオールスターズの四十周年特番。放送時、なんとなく録画しながら横目に視聴していたのだが、想像以上にたくさんの楽曲が披露されていて、ちょっと気になったのでこうしてセットリストにまとめてみた。七十分の特番で十三曲。他のミュージシャンの場合を知らないのではっきりとはいえないが、けっこうな本数のような気がする。実際問題、こういった番組ならではのメンバーインタビューはかなり短めに編集されていて、楽曲中心の構成になっていたのではないかと。有り難いネ。

披露された楽曲は多種多様。過去の名曲もあれば最新曲もあり。先日、ベストアルバム「海のOh,Yeah!!」をリリースしたばかりなので、これに収録されている楽曲を中心に披露されるかと思っていたのだが、むしろバンドとしてのサザンオールスターズを再認識していただくためのラインナップになっていた印象を受けた。ああ謙虚。

どの曲も素晴らしかったが、とりわけ『みんなのうた』のイントロは素晴らしかった。セクシーな水着ダンサーズとともに駆け抜けた『HOTEL PACIFIC』の喧騒が静かに幕を下ろし、しっとりとした原由子の伴奏とともに知らない曲が始まったかと思ったら、最後にこれが『みんなのうた』のフリだと気付かされた瞬間……あれはカッコよかったな。

「神宮前四丁目視聴覚室」で取り上げた作品のリストなど。

どうも菅家です。

ご覧のとおり、ブログの更新が滞っております。三十歳を過ぎて、そろそろ他所に引っ張り出されるような存在になりたいという欲が出てきて、別件向けの文章を誰に頼まれたわけでもないのに書いています。私のことなので、とっとと頓挫してしまう可能性もありますが、生暖かい目で見守っていただけますと幸いです。

それはそれとして、ブログをまったく更新しない日が続くというのはなんだか不安で落ち着かないので、つい先日までコンテンツリーグのアレをナニしていたこともあって、過去にコンテンツリーグのフリーペーパー【SHOW COM】での連載「神宮前四丁目視聴覚室」で取り上げた作品のリストを公開したいと思います。……そうです。連載も五年目に突入して、もう過去に取り上げた作品を覚えられなくなってしまっているのです。要するに完全に自分のためのリストです。私用もいいとこ。

とはいえ、ここでタイトルを挙げている作品はいずれも名作なので、お盆休みを利用して鑑賞されるのも良いのではないかと思います。その間、私は東京でシソンヌライブ[sept]を観てきます。ふっふっふ。皆さまはどうぞお楽しみください(態度がヒドい)。

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2018年8月の入荷予定

15「NON STYLE LIVE コンビ水いらず ~「漫才行脚」の裏側も大公開!~

22「千原ジュニア「1P」

どうも菅家です。猛暑ですね。私はそろそろバターになりそうです。皆さんはバターになりましたか。海はバターになりますか。山はバターになりますか。風はどうですか。空もそうですか。元ネタが分からない人は放置していきます。分からない人を放置して、私は毎年恒例の東京旅行へ出掛けます。何があるわけでもないというのに。

というわけで、きっと暑い日が続くであろうことが予想される八月ですが、お笑い芸人のDVDなんか観ている場合でもないような気がしないでもないですね。それこそ海だ山だの大騒ぎではないでしょうか。夜はナイトプールで大運動会。そのままドッタンバッタン大騒ぎしちゃったりなんかして。朝は渋めの珈琲なんか頂戴しちゃったりして。いや参ったね。そんな季節の到来でも芸人のDVDは出るのだから仕方がない。気になるのは千原ジュニアのライブ。天才のやることですので、きっと面白いでしょう。amazon限定でジュニアによる新作落語CDが付いてくるとかいう話なので、気になる方は是非に。

あと、『ゲームセンターCX ベストセレクション Blu-ray 赤盤』『ゲームセンターCX ベストセレクション Blu-ray 緑盤』なんてのも出ます。過去の回をBlu-rayで再収録しているようですが、画質とかその辺はどうなっているのか、ちょっと気になるところですね。また、けっこう期待していたコメンタリーが、どうも特定回のみの収録になるようで……それは少しビミョーではないのかしらんね。とはいえ買うことになるでしょうが。こちらは8月2日リリース予定となっております。ボーナスはたいて買おうぜ!

「南海キャンディーズ初単独ライブ「他力本願」」(2018年4月11日)

2018年2月16日・17日に東京グローブ座で開催されたライブを収録。

結成十五周年という節目の年に初めての単独ライブを敢行した南海キャンディーズ。ライブタイトルは『他力本願』。これはプロの芸人がラジオリスナーの考えたネタを舞台で演じる企画ライブ“他力本願ライブ”に由来している。そして“他力本願ライブ”と同様、この舞台でもリスナーたちが投稿した漫才台本によるネタが数多く演じられている。イベント性の高い“他力本願ライブ”のシステムを自身の単独ライブに持ち込む姿勢は、南海キャンディーズ……もとい、TBSラジオでディスクジョッキーを務める冠番組山里亮太の不毛な議論』を抱えている山里のリスナーに対する絶対的な信頼を感じさせられる。

本編を再生すると、ライブの幕開けを告げるように、ドキュメンタリー番組「情熱大陸」のテーマが流れ始める。劇場ではお馴染みとなっている南海キャンディーズの出囃子だ。そして一本目の漫才が始まる。医者になりたいという山里に対して、火を恐がるイノシシを演じようとする山崎。彼らが注目を集めるきっかけとなった「M-1グランプリ2004」決勝戦で演じられた、伝説の漫才だ。だが、観客のウケを見ると、あまり芳しくはない。当然といえば当然の結果なのかもしれない。何者でもなかった当時とは違い、今の南海キャンディーズはそれぞれのキャラクターがはっきりと自立している。観客が求めているのは、あの時代を振り返ることではなく、今の彼らに出来る最新の漫才なのだ。

一本目の漫才が終わると、クールなオープニング映像が始まる。『不毛な議論』オープニング曲を採用しているところがニクい。映像が終わると、今回のライブのメインともいえるラジオリスナーが投稿した漫才パートへ突入。山崎が山里のセッティングする合コンで大暴れする『カレーよりハヤシの作品』、干支に入りたいという山崎が現在のメンバーを独自の解釈で倒していく『注文の作品』、普段は自由奔放にボケ倒している山崎が逆に山里のフリに対してノリツッコミを強いられる『月ムーンの作品』などなど……いずれのネタも従来の南海キャンディーズの漫才とは少しズレている感が。しかし、そんな両者の齟齬によって、むしろ二人がこれまであまり見せられていなかった魅力を引き出している。

そんなラジオリスナーたちの投稿作品の流れの中に、何故かラブレターズ・塚本による作品も。クラブで刺激的な女との出会いを期待している山里の前に、独特の雰囲気を漂わせながら我が道を貫き通す山崎が現れ、なんやかんやあって恋に落ちてしまう『#15点の女』というコントだ。南海キャンディーズがコントを演じているというだけでも新鮮味があるのだが、純粋にネタとしても面白い。しかし中盤から、話は思いもよらぬ地獄の展開へ。実に面白く、恐ろしかった。

ここからライブは後半戦へ。まずは新作の夢占いをテーマにした漫才。夢占いが特技だという山里が山崎の見た夢の内容から深層心理を読み解こうとするのだが、話を紐解いていくと、それらの夢には理由があることが発覚する。版権を取り扱っている点が少し引っ掛かるが、細かい要素が鮮やかに回収されていく様は見事だった。今後はこういうスタイルのネタもやっていくのだろうか。

そして最後は、M-1の予選用に作られたという漫才。ママタレやドラマの主演女優やモデルになりたいという山崎のために、山里がそういった職業の人たちの人となりを全身全霊込めて解説する漫才で、そのあまりの熱弁ぶりに40分以上にも渡って繰り広げられる。山里のママタレ・女優・モデルに対する悪意と山崎の我が道を行くディープなボケを混在させながら、今回のライブで披露してきた漫才をフリとしたフレーズも詰め込まれ、まさに圧巻の出来映え。M-1予選ではウエストランド井口と比較する声も散見されたが、こうしてフルバージョンで見ると、きちんと現在進行形の南海キャンディーズの漫才として完成されていることがよく分かった。南海キャンディーズにとってM-1ラストイヤーの年となる今年、彼らはどんなネタを用意しているのだろうか。楽しみだ。

これらの本編に加えて、特典映像として、ライブのおよそ十日後に放送された「山里亮太の不毛な議論」(2018年2月28日)の模様を撮影した映像を収録。この日、番組は「単独ライブ延長戦」と題し、ライブでは時間の都合で演じられなかったリスナー投稿作品をオンエア。きちんと舞台衣装を着て、センターマイクも用意して、漫才師として投稿作品に臨む二人の姿勢はとても真摯で、改めて漫才・リスナー・番組に対する愛を感じさせられた(あんなにママタレや女優に毒をブチ撒けていた人とは思えない)。更にライブ本編には南海キャンディーズの二人(+構成作家・セパタクロウ)によるオーディオコメンタリーまで収録されている。ああ、なんと揺るぎないサービス精神!

個人的には、初単独への思い入れが強すぎて、喜びの感情がダダ漏れになってしまっている山里に注目してもらいたい。きっと心の中で「漫才楽しい!」と思っていたに違いない……いや、それはまた別のコンビのフレーズか……。

■本編【145分】

「漫才①(医者)」「オープニング」「漫才②「カレーよりハヤシの作品」」「漫才③「注文の作品」」「漫才④「月ムーンの作品」」「VTR しずちゃんVR体験」「コント「ラブレターズ塚本の作品」」「VTR ラジオディレクター」「漫才⑤(夢占い)」「VTR 楽屋の山ちゃん」「漫才⑥(○○になりたい)」

■特典映像【25分】

南海キャンディーズがライブを振り返るオーディオコメンタリー」

「「山里亮太の不毛な議論」(2018年2月28日)・単独ライブ延長戦」

「各公演のジャケット撮影写真スライドショー」

「にちようチャップリン」(2018年5月27日)

  • オテンキ【86点】

「コント:小ボケヒーロー」。木の高いところにある枝に風船を引っ掛けてしまった少年の元へ、小ボケまくるヒーローがやってくる。オテンキの代表作『小ボケ先生』からの流れを感じさせるコントだが、フィクション性の高い設定が故に、持ち味である“小ボケ感”が薄まっている。その結果、小ボケどうこうというより、単純に役立たずなヒーローもののコントに落ち着いていて、面白かったけれども少し物足りない。GO演じる少年が割れた風船で満足しちゃうくだりが好き。

  • ジャンゴ【82点】

イカ」。昔ながらのロックンローラー風の二人が、世の中の気に入らない人たちに凍ったイカで喉をドゥーン。意識しているのかどうか分からないが、ギター演奏+歌担当とコミカル+動き担当の二人組があるあるネタを披露するスタイルはテツandトモの『なんでだろう』を踏襲していて、決して新しくはないのだが、この路線に光を見出そうとするコンビが出てきたことは興味深い。『なんでだろう』レベルのキラーワードを見出すことが出来れば一気に売れそう。スリムクラブ内間のくだりは笑った。理不尽で笑わせられるのは強い。

「コント:コールセンター」。光回線の工事の後、ネットに繋がらないのでコールセンターに電話したところ、担当者が本日付で辞めるので「めちゃくちゃやってやろうと思って」いる人で……。『キングオブコント』決勝の舞台でも披露されていたコント。相手の状況が窺い知れない電話だけのやり取りがもたらす不安を上手く取り入れている。ヘッドセットを変に付けるという冗談が相手に伝わっていないくだりなど、よく出来ている。ただ、シチュエーションにあまりにも忠実で、「めちゃくちゃやってやろうと思って」と導入で言っていた割にはきちんと作り込まれ過ぎていたようにも思う。要するに、もうちょっとめちゃくちゃになっているところが見たかった。

  • インポッシブル【60点】

「コント:ケンタ」。いじめられっ子のケンタは、いじめっ子を見返すために通りすがりのボクサーからボクシングを習い始める。ドラマや映画の世界で起こりそうなシチュエーションを忠実に再現しながら、最後の最後で大胆に裏切ってしまうスタイルのコント。こういう一つの展開だけで笑いを引っ張り出す手法は、起爆力に定評のあるインポッシブルだからこそ出来ることだろう。とはいえ、ケンタがいじめっ子をやり返すくだりは、もうちょっと色々と見たかったような。

「漫才:スーパー」。妹の美穂さんが経営するスーパーマーケットを、姉の江里子さんが買い物にやってくる。自分たちの見られ方を理解しているからこそ出来るテーマ、ネタ運びには一種の安心感が。それでいて、ツッコミとしてクロスチョップを食らわせたり、長渕剛のパロディソングを歌ったりして、イメージとのギャップを生み出す笑いも散りばめている。そのバランス感が丁度良い。買い物かごを駕籠屋に置き換えてノリボケするくだりが好き。

「コント:万引き」。コンビニで万引きしてスタッフルームに連れてこられた高校生が、そのことを知らずにやってきた夜勤のバイト店員と出くわして……。好き。こういうコントが本当に好きだ。余計な説明がないまま話が進行する自然な導入もさることながら、はっきりと片方がボケで片方がツッコミという役割分担になっていないところも良い。たいの演技力の高さも見事。「こういう人っているよなあ」というキャラクターを違和感なく見事に演じ切っている。ネタの中枢となっている“立ち読みおじさん”なるキャラクターも素晴らしい。オチも好き。「『こち亀』か! 長ぇぞぉ~」の絶妙な温度。売れてほしい。

  • ニューヨーク【66点】

「漫才:正解」。屋敷が経験した腹が立つ出来事に対するリアクションの正解を嶋佐が示してみせる。『痛快TV スカッとジャパン』でやっているようなことに、ニューヨークの持ち味である偏見を微かにまぶしているようなネタ。ただ、偏見がやや弱くて、ただ『スカッとジャパン』をなぞっているだけのような後味が残ってしまっている。もうちょっと、なんとかなったような気もする。嶋佐がネタから逃げ出すオチは好き。

1位の阿佐ヶ谷姉妹やさしいズが勝ち上がり。

【次回の出場者】

アイロンヘッド

石出奈々子

EXIT

なすなかにし

バンビーノ

四千頭身

ラフレクラン