土曜深夜の視聴覚室

Saturday midnight audio-visual room.

「にちようチャップリン」(2018年4月29日)

  • ザ・ギース【90】

「コント:笛」。放課後の教室に残ってリコーダーを吹いている生徒のことを心配した担任が「いじめられているのではないか?」と訊ねるのだが、生徒は笛でしか返事してくれない。今年の単独で披露されていたコント。リコーダーを使って会話を持ちかけるコミカルな設定もさることながら、コントの中で演じるレベルを振り切れたリコーダーの演奏技術の高さが笑える。結果、メロディが美しければ美しいほど、大きな笑いが起きるという不思議な状況に。とりわけ尾関が二本目のリコーダーを取り出したシーンは素晴らしかった。不意を突かれた。

「漫才:カーナビ」。野沢雅子がカーナビの声をやったら。ベタな設定にベタなツカミで笑いを取りながらも、「画面にずっと野沢雅子が映っている」「多岐に渡る声優レパートリーの最後に普段の野沢雅子が登場」「野沢雅子がカーナビから飛び出して後部座席に一声」など、単なるモノマネの領域を超えたボケを随所に散りばめているあたりに、漫才師としてのプライドを感じさせられる。終盤の畳み掛ける展開も漫才師らしかった。ただ、オチは微妙。意外性という意味でも、ドラゴンボールネタという意味でも弱く、わざわざオチに持ってくることもなかったような。

  • はなしょー【72】

「コント:恋愛相談」。友達に教育実習の先生を好きになってしまったことを相談すると、「先生に恋するの広瀬すずみたいな美人じゃないと許されない」と断言されてしまう。友達の提言に振り回される女生徒を演じる杵渕はなの演技力が、観客から強引に笑いをもぎ取っていく様は見事としか言いようがないが、テレビで目にしたはなしょーのネタの多くが、本作のような「ブスがブスであることの立場をわきまえるように抑え込まれる」設定で、他にバリエーションはないのかと心配になる。彼女たちと同じく演技力で笑いを引っ張り出すニッチェがとっくにそのスタンスから脱却していることを思うと、この方向性以外のネタもやっていかないと……厳しい。

  • 天狗【70】

「漫才:物忘れ」。物忘れがヒドくて一週間の曜日を英語で言えなくなってしまった川田に、相方の横山が思い出せるようにレクチャーする。愚鈍で不出来な川田を優しい目で見守っている横山というコンビの関係性を見せたい漫才だというのは理解できたのだが、肝心の内容が頭に入ってこない。思うに、導入の「頭を引っ叩く→耳鳴り」のくだりのテンポが悪くて、それ以降の流れに関心を持てないためだろう。もとい、はっきり言って、あのくだりは必要無い。オチへの伏線のつもりなのだろうが、そこまで笑いに昇華されていなかったし。そんな小細工がないほうが、この漫才は見やすかったように思う。ただ、横山が観客に「なんでみんな応援したらへんのーっ!?」と訴えかけるくだりは、それまでの流れからの意外性があって笑った。

「コント:クズ男」。幼馴染みが紹介したいという彼氏は、身なりはきちんとしていないわ、彼女の金でギャンブルに手を出すわ、彼女に手をあげるわ、どっからどう見ても典型的なクズ男で……。とにかく設定が上手い。一般的なクズのイメージをそのまま反映したような男に怒りの鉄槌を振り下ろそうとするも、意外と堅実でちゃんとしている人間と知り、何も言えなくなってしまう。なにやら、ある特定の状況を一般化して、紋切り型に批判してしまいがちなネットユーザーのことを皮肉っているようにも見えて、その意味ではとても現代的なコントといえるのかもしれない。ネタの内容もさることながら、振り上げた拳の行き場を見失って、ただただ口ごもる森本の演技も良い。

「漫才:弔辞」。相方の葬式で読む予定の弔辞を完成させたので読み上げる。勝手に相方の弔辞を考えてきて、漫才師のように「どうもーっ!」と声高に読み始めるまでのくだりが漫才のピーク。それ以降はボケを混ぜ込んだ弔辞が読み上げられるだけで、特に目立つところはなし。正真正銘、絵に描いたような竜頭蛇尾。そもそも、ツッコミの後にボケが提示されるトリッキーなスタイルの漫才で注目を集めたコンビなのだから、もっとひたすらにムチャクチャなことをやってしまってもいいと思うのだが。どうして、ここにきて無難で手堅い漫才をやろうと思ってしまったのか。

「丸腰侍」。全裸にお盆の丸腰侍が今日も行く。人斬りの犯人を追いかけるストーリーであることを考慮すると、主人公は侍じゃなくて岡っ引きのような気がしないでもないが……細かいことは置いておこう。基本的には全裸の刑事が犯人を追いかける『丸腰刑事』とやっていることは同じなのだが、妙に濃くなっている化粧とヘンに仰々しい台詞回しのせいで、なんとなく差別化されているような気がしないでもない。気のせいかもしれない。

1位のザ・ギース、2位のトンツカタンが勝ち上がり。

【次回の出場者】

小島よしお

ジャイアントジャイアン

2丁拳銃

ネルソンズ

宮下草薙

ヤーレンズ

レインボー