NOT FOUND -見つかりませんでした-

また性懲りもなく瓶蓋ジャムを買い求める

「女芸人 No.1決定戦 THE W 2025」の感想を聞かれた人。

(電話のコール音)

 

はい、菅家です。
……どうもどうも、いつもお世話になってます。
いや、そうなんですよ。
キングオブコント2025』の感想が全然書けてなくて……。
なんかモチベーション上がらないんですよね。
もう、お笑いのことをあんまり追えてない、
自分みたいな人間が感想を書いたところで需要がないんじゃないか、
みたいな気持ちがあるんですよね。
「そういう自分だからこそ書けるものがある!」
……っていう気持ちがまったくないわけではないんですけど、
だとしても他に同世代で感想文を書けている人もいますし……。
なんかちょっと気持ちが上がらないんですよねえ。
……え? 弱音を聞きたくて電話したんじゃない?
またキツいこと言いますね。優しくしてくださいよ。

 

あ、『THE W』ですか。
見ましたよ、リアルタイムで。今年も面白かったですね。
……いや、面白かったですよ。なんですか、疑うようなこと言って。
なんか……アレですか。ほら、アレですよ、アレ。
M-1』や『KOC』に比べて『THE W』は面白くない、みたいな。
なんだったら、それを理由に「女芸人は面白くない」みたいな。
そういう小学生のガキの悪口みたいなの引き出そうとしてるんでしょ。
まあ、正直なところ、言われていることも分かるんですよ。
M-1』や『KOC』に比べて、明らかに洗練されていないネタもあるので。
男性芸人のファンの中には、
「これだったら自分の推しの方がずっと面白いのに!」
みたいに思う人も出てきてもしょうがないでしょうね。

 

ただ、だからイコール面白くないかっていうと、そうでもないかな、と。
むしろ、『M-1』や『KOC』が賞レースとして競技化されていく中で、
『THE W』はそこのところが整備されていないところに、
むしろ強みがあるというか。
それこそ第一回大会における牧野ステテコみたいな、
テレビとは縁が無さそうな異分子が飛び込む余白があるのは強いですよ。
でも、そこんところが分かってない人が、
「他の賞レースで予選敗退してる女芸人が『THE W』決勝進出してる!」
とかはしゃぎだすんですよね。何を言ってるんですかね。
別に『M-1』や『KOC』の評価が絶対というわけじゃないですからね。
それでいえば『M-1』はDr.ハインリッヒや金属バット、
デルマパンゲなんかを決勝進出させなかった大会ですから。

 

……以前から危惧しているところではあるんですよね。そういうの。
M-1で評価されているから素晴らしい漫才なんだ、みたいな感じ。
ネタじゃなくて情報で笑っているんですよ、ああいう人たちは。
スゴい時代ですよ。僕は以前から、
「お笑い評論家はこの世で最も必要のない仕事」と言ってるんです。
例えば、小説とか漫画とか映画とかの場合は、
多角的な楽しみ方が出来る分だけ、多角的な評価も出来ますよね。
だから、それを解説することで、
観客がこれまで意識していなかった楽しみ方に気付けるわけです。
でも「お笑い」は、「笑える」「笑えない」しかないんですよ。
だから解説して、その評価点を教えられたとしても、
その人が笑えなかったら「笑えない」なんですよ。
それはもう本人の気質とかタイミングで決まってしまう。
だから、お笑いを解説する「お笑い評論家」なんて、必要無いんです。
どんなに明解に解説したところで、
結局は個人の「笑える」「笑えない」の判断軸がすべてなので。
ところが、M-1やKOCのような賞レースが説得力を持つようになって、
そこで評価されている笑いが素晴らしいという勘違いが起きている。
違うんですよ。答えは常に自分の中にあるべきなんです。
だから、本当に……スゴい時代ですよね。

 

え? ネタ? ネタの話ですか?
そうですね……やっぱり最終に残った三組は強かったですね。
予選では特にエルフのネタが印象的で。
“ポジティブなギャル”という荒川のキャラクターをネタに取り入れるのって、
めちゃめちゃ難しいことだと思うんですよ。
ボケ役にせよ、ツッコミ役にせよ、ちょっとでも悪意が出たら矛盾しますから。
でも、お笑いってネガ寄りの発想の方が、ウケやすいじゃないですか。
ここをすり合わせるのが難しい。
でも、今回の決勝では、その点をクリアにして、見事にネタとして昇華してましたね。
お見それしました。
……でも、二本目はやっぱり、ニッチェでしたねえ。あれは強かった。
正直、一本目のコントに関しては、エルフの方が好きだったんですよ。
でも二本目の、あの……小市民的な不安が暴走する感じ。
ちょっとたまんなかったですね。一定の共感が得られるラインを見事に突いた。
だからこそ、オチがちょっと惜しかったんですよねえ。
あそこは無理に笑いを獲りに行かなくても良かったんじゃないかな、と。
でも、それを差し引いても、良いネタでした。
紺野ぶるまも良かったですけどねえ。
一本目のネタは、ちょっと同じタイプのネタをさらば青春の光がやっていて、
それがどうしても頭を過っちゃって、集中できませんでしたが。
二本目のネタの悪意、ちょっとスゴすぎましたね。
往年の中山功太が降臨したのかと思いましたよ。とんでもなかったです。

それ以外の人たちも面白かったですよ。
漫才組は全員面白かったですね。電気ジュース、パンツ万博、ヤメピ……。
電気ジュースは陰のボケと陽のツッコミというキャラクターが魅力でしたけど、
陽のツッコミが陰のボケが引き立てるほど安定してなかったのが残念でしたね。
そのせいなのか、ちょっと流れがクチャクチャになっちゃってたような。
地盤としてのツッコミが手堅くなれば、一気に面白くなりそうでした。
パンツ万博も良かったですね。
四つん這いになって犬のフリをする動きが異常に洗練されていたのが笑いました。
普通、もうちょっとモタモタしちゃうと思うんですよ、あのくだり。
なんですかねえ、あの精密機械みたいな動きは。
だからこそ、審査員を務めた粗品の指摘には、ちょっと唸りましたね。
そういうところを見るのか!と。
ヤメピはめちゃめちゃAマッソでしたね。Aマッソ強めでした。
でも、あのずっとやかましい感じは、またAマッソとはちょっと違いましたね。
……あんまり記憶に残ってないですね、この辺は。すいません。

 

ネット上ではとんでもあやに対する酷評が飛び交っているみたいですね。
ああいうのが見られるところに『THE W』の魅力があると思っているんですが。
個人的には、霜降り明星せいやと同じオーラを感じました。
今回、けっこう厳しいかな……と感じたのは、トップバッターのもめんとですね。
若手がやるネタにしては、設定も内容もオーソドックス過ぎて、
賞レースで見る意味があんまりなかったように思いました。
ボケとか展開にも意外性がありませんでしたし……。
ハイテンポでリズム感だけで、
「ここが笑いどころですよ」と説明されているような感覚を覚えました。
逆にいえば、技術力は高いということなので、あと中身の問題なんですよね。
来年以降の進化が楽しみです。

 

……しかし、粗品の審査は凄かったですね。
なんか審査員って、基本的に漠然とネタ全体の話をするじゃないですか。
テーマとか、構成とか、そういう話で落ち着くじゃないですか。
だから今回、粗品がちゃんと細かい問題点と評価点を拾い上げて、
伝わるように解説していたのはちょっとたまらなかったですね。
審査員としての厳しい姿勢だけを見て、
往年の立川談志島田紳助らと比較する人がXで見受けられましたが、
まったく違いますよ。彼らもあんな細かく言いませんでしたよ。
ていうか、言わなくていいんですよ。
審査員だって若手芸人の将来に関わるようなこと、あんまり言いたくないですよ。
そんな他人の人生を左右する責任を背負いたくないですよ。
だから、あれは本当に、生半可な覚悟では出来ないことなんですよね。
それをやってのけたっていうのが……ちょっと凄かったですね。
あ、もちろん、粗品の意見はあくまで笑いを取ることに特化した意見なので、
それが表現という意味では正解とも限らないんですけどね。
いやー、でもちょっと、凄かったなあ……。

まあ、そんな感じですかね。
来週はもうM-1ですよ。早いですねえ、一年が過ぎるのは。本当に理解できない。
今年は誰が優勝しますかねえ。一応、応援しているのはドンデコルテなんですけど、
ここでママタルトが優勝したらアツいですよ。
いつぞやのマヂカルラブリーみたいな大躍進ですからね。たまりませんね。
じゃあ、また来週……ですかね。お電話お待ちしております。
では、また。

 

(電話を切る音)