2001年2月にシアターブラッツで開催された初の単独ライブを収録。
ドランクドラゴンは1996年に塚地武雅と鈴木拓によって結成された。コンビ名はカンフー映画『ドランクモンキー酔拳』と『燃えよドラゴン』に由来している。2000年4月にオーディション番組『新しい波8』に出演、2001年4月よりキングコング・ロバート・北陽・インパルスとともに若手バラエティ番組『はねるのトびら』のレギュラーへと抜擢される。『ドランクドラゴン単独ライブ「火の位」』は、そんな若手芸人としての明るい未来が開かれようとしている時期に開催された公演である。
ちなみに、公演日とリリース日の間に三年の月日が空いていることからも分かるように、本作には本来であればソフト化される予定ではなかった映像が使用されている。元々、記録用に撮影されたものが、先述の『はねるのトびら』やお笑いブームの中心的番組のひとつだった『エンタの神様』への出演によるドランクドラゴンの人気上昇に伴い、わざわざ掘り起こされてリリースされたのである。そのため、本編に収録されている映像は、一般流通する作品としては画質・音質ともに芳しくない。とはいえ、本作にしか収録されていないコントもあり、アーカイブとしては非常に貴重な作品といえるだろう。有り難いですね。
本編に収録されているネタはすべてコントだが、バリエーションはかなり豊富。例えば、“17才はキレやすい”というテーマについて、当事者である17才の学生たちが討論しているのだが、とある学生の語り口がインテリぶっていて鬱陶しい『17才』や、レンタルビデオ店のバックヤードでの店員同士のやり取りを描いた『未散Ⅱ』は、塚地のキャラクター演技を堪能できるネタだ。ちょっとクセのある人間を演じさせると本当に上手くて、随所に盛り込まれているボケよりも、その人物像が頭にこびりつく。
その一方で、ギャグに主軸を置いたネタも強い。例えば、新郎の友人代表として二人でスピーチを始めるのだが、何故か塚地がふざけたことしか喋らない『結婚式』は、漫才のように球数が多くて観客の笑いがまったく途切れない(エロ怪獣のくだりが好きで好きでたまらない)。また、鈴木がボケ役を務める『バカボクサー』は、バカな言動を取り続けるボクサーに対するオーナー(塚地)のノリツッコミが、いちいち滑稽で面白い。大阪で育まれたリズム感が、身体に根付いていることをまざまざと見せつけられたような気持ちになる。
対して、「一瞬で至福の喜びを得る感性を養う」ことを目的とした会において、歩く感性と呼ばれる代表による“一瞬の至福”が次から次へと繰り出される『基本的感性育成会』……という名の一発ギャグのコーナーは、完成前の未熟さが感じられるパートになっていた。ネタそのものはある程度には完成されているのだが、シンプルにギャグのキレが良くない。むしろ、だからこそ、稀少な映像であるといえるだろう。
それにしても塚地が若い。今よりも痩せていて、あまり華が感じられない。ちょっと登録者数が増えてきたYouTuberのような見てくれをしている。特に驚いたのは、ミュージシャンとして活動している無職の男が、恋人の父親に「娘さんをください!」と気持ちをぶつけに行くも、そこで思わぬ告白を聞かされることに……『娘さんをください』での一幕。塚地演じる恋人の父親の存在を知った鈴木演じる無職の男がカンフーで対決するくだりがあるのだが、とてつもなく躍動しているのである。ジャンプして回転蹴りを食らわせたり、横になった状態からジャンプして立ち上がったり、バク転したり、今となっては考えられないような動きを見せている。この塚地の躍動だけでも、本作を見る価値はあるように思う。
これらの本編映像に加えて、四本の特典映像を収録。これといった見どころはないのだが、後に『ドランクドラゴン ~カンフー~』にMVが収録された『ドランクドラゴンのテーマ』と、ニイルセンが手掛けているイラストコント『告白』は一見の価値があるかもしれない。……今見ると『告白』の内容、かなり酷いな!
・本編【87分】
「超能力」「17才」「殺したかもしれない」「結婚式」「娘さんをください」「バカボクサー」「基本的感性育成会」「未散Ⅱ」「鬼の息子とおじさん」「ストリートミュージシャン」・特典映像
「基本的感性育成会(本編とは別物)」「ドランクドラゴンのテーマ」「告白」「良い子の絵描き歌」
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