白昼夢の視聴覚室

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『M-1グランプリ』ラストイヤーに関する余談(追加調査)

先日の『M-1グランプリ』におけるラストイヤー組についてまとめた記事に対して、Twitter(現・X)にて「10年目~15年目では実力の比例の傾きが少なくなっている(経験値に差がつかなくなっている)からでは?」と指摘するコメントを頂戴した。正直なところ、元の記事が目的としていたのは、旧M-1における"最後の挑戦"であることをクローズアップしたドラマ性の獲得するための演出としてのラストイヤー枠を近年のM-1は手放したのではないか?という自分の仮説を確認することだったため、本題とはあまり関係のない指摘ではあったのだが……それはそれとして興味深い視点であるように感じたので、これはこれでちょっと調べてみることにした。

調査対象としたのは、結成10年目~15年目の漫才師。各大会ごとのファイナリストにおける彼らの比率を割り出すことで、実際にラストイヤー組の減少への影響を及ぼしているのかを確認する。なお、今回もストレートでの決勝進出組を対象とするため、敗者復活戦の結果は含まない。(カッコ内は活動年数・太字表記はラストイヤー)

・2015年(4/8)
タイムマシーン3号(15年)
ジャルジャル(12年)
初:スーパーマラドーナ(12年)
銀シャリ(10年)

・2016年(4/8)
スーパーマラドーナ(13年)
銀シャリ(11年)
スリムクラブ(11年)
ハライチ(10年)

・2017年(5/9)
初:とろサーモン(15年)
ジャルジャル(14年)
初:かまいたち(13年)
和牛(11年)
初:マヂカルラブリー(10年)

・2018年(6/9)
ジャルジャル(15年)
スーパーマラドーナ(15年)
初:ギャロップ(15年)
かまいたち(14年)
和牛(12年)
初:見取り図(11年)

・2019年(4/9)
かまいたち(15年)
初:ミルクボーイ(12年)
見取り図(12年)
初:ぺこぱ(11年)

・2020年(4/9)
マヂカルラブリー(13年)
見取り図(13年)
初:ウエストランド(12年)
ニューヨーク(10年)

・2021年(4/9)
初:ランジャタイ(14年)
初:ロングコートダディ(12年)
初:モグライダー(12年)
インディアンス(11年)

・2022年(4/9)
ウエストランド(14年)
ロングコートダディ(13年)
初:男性ブランコ(11年)
真空ジェシカ(10年)

・2023年(5/9)
モグライダー(14年)
初:ダンビラムーチョ(12年)
初:ヤーレンズ(12年)
初:マユリカ(12年)
真空ジェシカ(11年)

こうして見ると、ラストイヤー組が食い込んでいない近年においても、結成10年以上のコンビが一定数組み込まれていたことが分かる。特に21年大会と23年大会においては、結成10年以上で初の決勝進出を果たしたコンビが目立つことから、M-1という大会が必ずしも若手重視の青田買いを狙っているわけではないことが見受けられる。そして、その事実が却って、今のM-1がラストイヤーのドラマ性を求めていない(=実力重視の評価志向になっている?)ことの証明にもなっているように思う。

こうなると、今度は活動10年未満のユニットのファイナリスト比率も出したいところだが、それについては、また後日。