『M-1グランプリ』の魅力のひとつに“返り咲き”というものがある。かつて決勝進出を果たすも敗れ去ってしまった漫才師が、しばらくの期間を経て、再び決勝の舞台へと舞い戻ってくる状態を表した言葉である。当時のパフォーマンスからどれほどの進化を遂げているのかを確認できるエンターテインメント的な意味でも楽しめるし、リベンジャーとして抱え込んでいるドラマ性はテレビショーとしても魅力的なので、制作にとっては非常に有り難い存在といえるだろう。今回の記事では、そんな返り咲きを果たした漫才師たちについてまとめてみようと思う。
まずは旧M-1(01年~10年)における返り咲きを見てみよう。ちなみに、06年大会において、03年大会以来の決勝進出を果たしたフットボールアワーに関しては、優勝後の再参戦のため除外する。
03年:麒麟(2年ぶり)
05年:チュートリアル(4年ぶり)
06年:トータルテンボス(2年ぶり)
07年:キングコング(6年ぶり)
07年:千鳥(2年ぶり)
09年:東京ダイナマイト(5年ぶり)
09年:南海キャンディーズ(4年ぶり)
09年:ハリセンボン(2年ぶり)
こうしてリスト化してみると、印象に残っているコンビとそうでもないコンビの落差が激しいような気がしないでもない。個人的なところでいうと、チュートリアルとキングコングの返り咲きが記憶に残っている。記念すべき第一回大会ぶりの進出ということもあるし、苦汁を飲まされた当時から飛躍的に進化を遂げたことも大きく影響しているのだろう。また、こうして並べることで、09年大会の返り咲きの乱発は改めてどうだったのか、という気持ちにもさせられる。ハマカーン、磁石、三拍子、流れ星あたりがバキバキの漫才をやっていた時期なんだけどなあ……。
続いて、復活後のM-1における返り咲きを見てみよう。今回の記事でも、旧M-1とは別の大会という認識でまとめているので、タイムマシーン3号とスリムクラブは除外する。
17年:ジャルジャル(2年ぶり)
20年:アキナ(4年ぶり)
20年:マヂカルラブリー(3年ぶり)
21年:ハライチ(5年ぶり・敗者復活)
21年:ゆにばーす(3年ぶり)
22年:さや香(5年ぶり)
22年:ウエストランド(2年ぶり)
23年:モグライダー(2年ぶり)
旧M-1に比べて、新M-1の方が、やや返り咲きの組数が多いようである。特にここ数年は、二年に一回のペースで返り咲き組が二組ほど選ばれるケースが続いているようだ(21年大会のハライチは敗者復活からの勝ち上がりなので除外)。そして、その二組のうち、片方が必ず優勝している*1。しかも、どちらも前回の出場時には、まったく評価されていなかった*2……ということは、今年の決勝戦では二組の返り咲き組が選出されて、そのうち一組が優勝するのかも……というのは、流石に与太話が過ぎるというものだろう。
とはいえ、4年連続でファイナリストに返り咲き組が選ばれていることを思うと、今年も入ってくることはほぼほぼ間違いないだろう。今年の決勝の舞台には誰が帰ってくるのか。今年がラストイヤーのトム・ブラウンかロングコートダディあたりか……。あっ、ラストイヤーについてもそのうちまとめるので、その時はどうぞよろしく。では、また。