白昼夢の視聴覚室

この世は仮の宿

好きなYouTubeの話をさせてくれないか

相変わらずYouTubeを見る毎日を過ごしている。日々の喧騒の中で、作り込まれた作品を真正面から向き合うように鑑賞する時間を設ける努力を怠った結果、他愛のないテーマの戯言を繰り返している動画ばかりを黙々と眺めている。私の日常において、それぐらいの温度が丁度良い。いや、だからって、YouTubeばかり見ていたら、このブログのアイデンティティが揺らいでしまうのだけれども。

 

このところは『ママタルト本物チャンネル』の更新を毎日楽しみにしている。好きなマンガレビュー、オリジナルゲーム、クイズ企画など、その方向性は『しもふりチューブ』と重なっている部分もあるが、超巨体として知られる大鶴肥満の特異性と、お笑いに対するストイックな姿勢を滲ませながらも微笑みを絶やさない檜原洋平の包容力が、動画全体に良い意味でのユルさを漂わせている。一方で、肥満のメンタルの弱さが垣間見られる場面もあり、単なるキャラクターではなく一個人としての奥行きを感じさせられるのも良い。

 

更新を楽しみにしている……といえば、春とヒコーキのぐんぴぃをメインとしたYouTubeチャンネル『バキ童チャンネル』もたまらなく面白い。番組の街頭インタビューでの「バキバキ童貞」という発言から生まれたチャンネルということもあって、内容はやや下ネタに偏向しているのだが、実在するネットニュースの文章の締めのウザい一言をテーマにしたクイズ、ネットミーム化した人たちへの真面目なインタビュー、匿名掲示板のコピペ朗読など、ネットカルチャーに特化した企画の精度が抜群に高い。ぐんぴぃと同時代のインターネットを経験している人間ならば、きっと楽しめることだろう。最近は料理系の企画にも手を出していて、これもまた面白い。工程がシンプルなだけに、春とヒコーキというコンビの個性が際立っている。毎回、その動画の企画担当者の名前を詳細に表記しているのも良い。

 

芸人ではない人たちによるYouTubeチャンネルでは、『オモコロチャンネル』が相変わらず面白い。ウェブメディア「オモコロ」を運営する株式会社バーグハンバーグバーグの社員が主に出演しているのだが、いずれも芸人に負けず劣らず個性豊かなキャラクターの持ち主ばかりで、まるで引けを取らない。むしろ、絶対にウケなくてはならない宿命を背負わされている芸人よりも自由な立場にあるため、その言動はよりアヴァンギャルドであることが多く、瞬間的な爆発力という点では勝っているといっても過言ではない。だからこそ、「ボードゲームで遊んでみる」「いろんな〇〇を食べてみる」「漫画クイズで競い合う」などのようなシンプルな企画でも、その面白さが映えるのなんの。ただ、個人的に好きなのは、言葉遊び系の企画。漫画のキャラクターになりきった面々が、そのキャラクターの定番の台詞をもじった言葉をひねり出し続ける定番企画が、クイズとバカの中間あたりの絶妙なツボを突いてくる。脳が嬉しい。あ、あとAI絡みの企画も良いんだよな……。

 

そんなオモコロチャンネルとコラボしていたことをきっかけに登録したのが、クイズ企画を中心に配信している『カプリティオチャンネル』。他の企画バラエティメインのチャンネルほどマメにチェックはしていないのだが、その動画の質の安定感から、ちょっとしたスキマ時間を見つけるたびにクリックしてしまう。また、クイズ企画といっても、その内容がバラエティに富んだものばかりなのが良い。いわゆる「ウミガメのスープ」のようなオーソドックスな企画もあれば、市章を見て何処の市なのかを考察したり、フリー素材のタイトル当てをしたり、他のクイズプレイヤーの誤答だけを見て問題文を考えたり、変化球タイプの企画も様々。最近の企画では、クールポコ。のせんちゃんのフリ部分だけを見て、小野まじめが何と答えるのかを当てるクイズをやっていた。手広い。

 

そして今、最も熱心に見ているチャンネルが、『散歩するアンドロイド』である。2017年に東京ゲームショウで「本物のアンドロイドみたいなモデル」として注目を集めたSAORIによるYouTubeチャンネルで、これがとにかく素晴らしい。SAORIが全国各地を旅する様子が撮影されているのだが、基本的に余計な演出を付け加えない彼女自身によるモノローグだけで構成されているため、その土地の風景と音がダイレクトに伝わってくる映像になっている。視聴後には、きっとあなたも旅に出かけたくなることだろう。私も出かけたい。ちなみに2023年5月現在、JRの最長片道切符の旅に挑戦中である。ストイックだ。

 

この他にも、VTuberの兄妹による謎のユニット“ぽこピー”による『ぽんぽこチャンネル』、オモコロチャンネルの弟分的な『ふっくらすずめクラブ』、仲間内のノリが学生時代を思い出させる『SUSURUのミッドナイトTV.』、歌うま系VTuber・富士葵のチャンネルなのに妙に企画力が高い『Aoi ch.』、漫画に登場するヘンテコな飯を自宅で再現しようと奮闘する姿が面白い『ズボラの漫画飯再現料理』など、面白いチャンネルは他にもいろいろとあるのだけれど、それらはまた次の機会に。こちらからは以上です。