白昼夢の視聴覚室

この世は仮の宿

ボックスについて本気出して考えてほしい。

先日、コント犬のDVD-BOXを購入した。

コント犬とは、空気階段の水川かたまり、男性ブランコの平井まさあき、サンシャインの坂田光、やさしいズのタイ、そいつどいつの松本竹馬の五人によるコントユニットである。DVD-BOXには、彼らの公演映像を収めたDVD四枚が収納されている。コントユニットによる映像作品そのものは過去にも例があるが、同時に四枚ものソフトがリリースされることはかなり珍しく、その内容にも期待が持たれる。これから本編を観るのが楽しみでならない。

それはそれとして、このDVD-BOXにはちょっと引っ掛かっていることがある。ボックスの形状がどうにも実用性に欠けるのである。

通常、DVD-BOXといえば、疑似的な本棚を思わせる紙の容器にDVDケースが差し込まれた、いわゆる“函”の形状であることが多い。蓋を開閉することなく、そのまま容易にDVDケースを取り出すことが出来るためだろう。

無論、例外もある。例えば、ラーメンズのDVD-BOXは、蓋と身が完全に分離した“被せ箱”の形状をしている。かなりしっかりしたつくりになっていて、頻繁に視聴するのには不便だが、DVDを大切に保存したい人には向いている。

いずれにしても、DVD-BOXの形状は基本的に、実用性か保存性を優先したつくりになっていると考えてもらっていいだろう。

そして、肝心のコント犬のDVD-BOXなのだが、これがありとあらゆる箱の中で最もシンプルな“キャラメル箱”なのである。キャラメル箱とは、文字通りキャラメルを入れるために作られた箱で、左右の小さなフラップを内側へと折りこんで、最後に真ん中の大きなフラップで蓋をする形状となっている(この説明で理解できないという人は「キャラメル箱」で検索してください)。

で、このキャラメル箱という形状なのだが、かなりDVD-BOXには不向きなつくりになっている。というのも、開閉の度に真ん中のフラップの隙間へ指を差し込む必要があるため、その部分に折り目や凹みが発生しやすいからだ。しかも、開けようとすると、真ん中のフラップが左右のフラップに引っ掛かってしまって、どちらかに破損が生じる可能性も高い。これが単なるティッシュ箱であれば気にもならないが、一万円前後の高価なボックスであることを考えると、あまりにもお粗末なつくりになっていると言わざるを得ない。

しかし、それ以上に私が引っ掛かっているのは、このキャラメル箱の中に特典としてTシャツが封入されている点である。キャラメル箱の外ではない。キャラメル箱の中に封入されているのである。つまり、この特典であるTシャツを取り出した後に、キャラメル箱の中にはTシャツが収められていた分だけの空間が発生するのである。まったく有り得ない。本来ならば、このような事態は事前に想定されるもので、だからこそ基本的に、こういった特典は厚紙などを応用してボックスの外に別途貼り付けられるようになっている。なのに、どうしてこのようなことになってしまっているのか。

おそらく、このボックスは単なる梱包として見られているのだろう。ユーザーの手元に届いたら、もう後は単なる箱として処分するだけ。そのように想定しているのだ。そうでなければ、安っぽいキャラメル箱を採用し、その中に特典のTシャツも一緒にまとめてしまうことなどするわけがない。だが、それはあまりにも、ファンの心理というものを分かっていない。どんなに安っぽい箱であろうと、取り出すのに不便であろうと、中身に空間が出来ていて歪であっても、それを取っておきたいと考えるのがファンというものである(人によるところもあるだろうが)。まして、コントという演出脚本によって丁寧にパッケージされたパフォーマンスにこだわりのある面々による初の映像作品が、こんな雑な仕様になってしまったことは、本当に残念でならない。

……ていうか、同じレーベルからDVDを出しているジャルジャル友近NON STYLE佐久間一行は、ちゃんと従来の函形状のDVD-BOXを出していたのに、どうして今回に限って、こんな雑な仕様にしちゃったんだろうなあ……いや、マジで残念……。