白昼夢の視聴覚室

この世は仮の宿

『バイきんぐ単独ライブ「ぺあ」』(2019年10月23日)

2019年7月25日・26日に東京・四谷区民ホールで開催されたライブを収録。企画・構成に小峠英二西村瑞樹、渡辺隆(錦鯉)、我人祥太大桶純一。湘南の海でスイカ割りをしていた筈が目隠しをした状態で町中の寿司屋まで歩いてきてしまった『夏』を皮切りに、家賃の見合わない物件の内見中にまさかの事件が発生して……『内見』、見たことも聞いたこともないラジオ局「西村放送局」に委託されて集金にやってきたという業者が少しずつ怪しい空気を醸し出し始める『ラジオ』など、危うい感性の西村と全力でぶつかり合う小峠の死闘のような掛け合いが繰り広げられている。

とりわけ印象に残っているのは『写真』。就職のための写真を撮りに来た小峠が、専用のカメラから発せられる衝撃的なフラッシュで目をやられ続けるコントである。着想もさることながら、ところどころの不穏な要素がたまらない。台本だけを見れば安直な内容なのかもしれないが、写真館の雰囲気と古いタイプのカメラの存在感が独特の雰囲気を生み出していて、ちょっとリアリティが出ているところが良い。いわゆる「怖いコント」としてもそれなりに良い出来なのではないだろうか。地味に面白かったのは『食堂』。サバ定食をやたらと美味しそうに食べている西村が、実はムショ帰りでシャバの飯ならなんでも美味しそうに食べられる状態だった……というコントなのだが、通常のバイきんぐのコントのようにパッションを優先しているだけではなく、刑務所あるあるみたいなものも散りばめられていて、なかなかに味わい深かった。ほのかに哀愁が漂っているのも良い。結局は西村なので、やはり最後は狂気に染まるのだが。

これら本編に加えて、特典映像として、ライブのエンドトークと幕間映像「はじめて2人でグランピング」の完全版を収録。ライブでは定番となっているバイきんぐの二人がバカンスではしゃいでいる映像なのだが、今回も秀逸の出来映え。「よろしく令和」とプリントTシャツのペアルック状態になった二人が、バドミントンにジェンガにバーベキューにと大盛り上がり。特に笑ったのは、シャボン玉で盛り上がるくだり。小峠がシャボン玉を大量生産するときのウィザード感がたまらなかった。

・本編(56分)
「夏」「内見」「遅刻」「ピザ」「写真」「ゾンビ」「ラジオ」「食堂」「マジックバー」

・特典映像(28分)
「幕間映像「はじめて2人でグランピング」完全版」
「エンドトーク