白昼夢の視聴覚室

この世は仮の宿

ネクライトーキー『明日にだって』とナインティナインの一年。


ナインティナインのオールナイトニッポン』の放送が再開されてから、間もなく一年が経とうとしている。その間、ナインティナイン自身にも、所属する吉本興業にも、また彼らを取り巻く周辺の人々にも、様々な変化が巻き起こった。そして気付けば、どうしてナインティナインが復活するに至ったのか、なんとなく忘れてしまっていた。忘れるべきではないだろう。だが固執することでもないだろう。その後、岡村隆史の考えがどのように変化したのかは、番組の熱心なリスナーではない私には到底分からないことだが、たまに気まぐれに番組でのトークを聴いてみると、当時のような重苦しいトーンは消滅したように感じられる。それを恋しいと思うリスナーもいるのだろうが、今の方が安心感はある気がする。気がする、だけなのかもしれないけれど。

そんなこととは無関係に、ふと「そういえば『ナインティナインのオールナイトニッポン』になったことで、番組のエンディングテーマも変わったけれど、あれってどんな歌詞なんだろうな」と思い、歌詞を読んでみたところ、なんだか当時の彼らの状況そのもののようで、こういう曲を見つけてくるスタッフの有能さに舌を巻いたのだった。歌っているのはネクライトーキーというバンドで、曲名は『明日にだって』。

かきむしって 踏ん張ったって
諦めが悪いなって 笑われるのさ

そんな歌い出しで始まる『明日にだって』では、ただただ手探りで前へと向かおうと足掻きもがく様が描かれている。ただ、そこに綴られている言葉には、何かを掴めたような描写は見受けられない。それはまさに、自らの発言によって窮地に追いやられ、試行錯誤する岡村隆史の姿そのもののように感じられてならない。

かきむしって 熱を上げて
これだけは譲れないと守ってきた
明日にだって 明日があって
諦めの悪い僕らが笑うのさ

あれから一年が過ぎようとしている。もう一年なんだ。でも、まだ一年なんだ。そして一年が過ぎてからも、明日は忘れずやってくる。昨日を無かったことにしない明日がやってくる。いつかはその場を譲る日が来るのだろうけれど、まだしばらく、もうしばらくは、諦めの悪い彼らが居座り続けそうである。ワーワー。